191話 蜘蛛は益虫
やっほー!!戦争は任せて、オーク退治を始めた優姫だよ。
ゴブリン軍団と指揮官に、任命したぜーストとミレーナの活躍で戦争は、勝てそうなので私はもう一つの大仕事をやりましょう。
それは地上の魔物退治です。特にオークは私が赤ちゃんの頃に襲ってきて恐かったので、絶滅させるつもりです。
元々は人間で魔力の影響で知性というか感情を失って進化?変化?適応?して魔物化したらしいけどさ。そんな異世界人とか関係ないし、たくさんオーク食べたしやっぱり人間とは認めません。あれはただの豚の魔物だよね。
「それじゃヴィーザ大森林制圧計画を開始します!!」
「それはいいのですが、神々の尖兵の人間と戦争してるのに戦線を拡大して大丈夫でしょうか?」
「ん?海くんが兵站輸送、補給能力を破壊したし攻撃されなくなるから、平気だって」
「そんなことで、軍隊が止まるとは思えません」
「理屈は分からないけどさ。海くんは軍人さんだからね。一番詳しい人が、一番必要な軍隊の能力は兵站管理と情報収集。それが出来て次に迅速で正確な判断って言ってたしね」
「そうですが、別に現地調達したほうが良い兵站をなぜそこまでカイ様は重視するのでしょうね?」
車がない中世的な世界では馬車を、使うにしても、馬は毎日多量の水と食料を消費するため輸送するよりも現地調達(略奪)したほうが効率が良いというか、輸送するのは現実的に無理がある。
馬車の積載量は、自動車よりも少なく、缶詰やペットボトル、プラスチック素材などがないから容器も重い。オマケに冷蔵庫もない。
重くて腐る食料や水を輸送するなどありえないというのが、キアリーさんの常識だ。
しかし、兵が移動してくると、人口が急増し現地の食料や水が足りなくなる事はあり得る。更に装備のメンテナスも必要である。
ここで現地の農地や備蓄食料を失うと大量輸送が不可能なので、たとえ本国に食料があっても、出撃した軍隊は飢えに苦しむことになる。海くんと、エレンティアはこの方法で大規模な兵糧攻めをしているのだ。
現代でも、車や船航空機、艦船などが使えるが、兵器は金属製なので当然重く、水は大量に必要なのに重く嵩張る。更に大量の燃料が必要で、輸送する人員の食料と水、輸送機の燃料まで確保し、最前線の刻々と変化する戦闘地域まで、物資の必要な量を確実に届け続けなければならない。
これが出来なければ、弾切れ、燃料切れ、メンテナンス不足、となりどれほど強い兵器も鉄の棺桶になり戦闘不能、ただの的になる。兵は人間なのだから飢えれば死が待っている。消費した物資を的確に把握し、最前線部隊の位置へ最速で輸送を途切れることなく行う。これが軍隊を機能させ続けるために必要な兵站確保、後方支援だ。
戦闘員よりも目立たないこの非戦闘力の活躍こそが戦争の行方を決めるとさえ言える。
そこまで、壊滅的な打撃を海くんが与えているとは思いもしないキアリーさんと優姫ちゃんは、たぶん海くんだから大丈夫だろと、深く考えずにいる。
「海くんだから間違ってないよ。それよりオークって害虫?害獣?じゃん。だからさ蜘蛛で退治するついでに森もダンジョン化しちゃえば良くない?」
蜘蛛って益虫でたくさん農作物食べるバッタとか、ハエとかゴキブリ、もちろん蚊とか蛾も食べた気がするし、まオークも食べるでしょ。
「オークの魔王は討伐されてますし、こちらにはSランクの特異個体タランクトがいますから負けないとは思います。」
「それじゃ行ってみよー!」
なんかいろいろと混沌神が機能を充実というか制限開放したから、洞窟型以外のダンジョンも作れるように成ったんだよね。なので森林型のサブダンジョンもサブコアで作れる。
最大の特徴はダンジョン型は侵入者がいるとにもできない(目に見えないけどフロアを区切ればどうにでもなる)けど、森林型は侵入者がいてもダンジョン化出来る。その変わりに地形変化とかは苦手で維持費が安い。DP収入が少なめみたい。
「さぁ森を我が領土にするのだー進めー!!」
「なぜダンジョン化するのですか?」
「ダンジョン化すればタランクト達に遠隔支配リングとか不要で、いくらでも戦力出せるから安上がりなんだよ」
オークの群を、見つけると隠れて襲うのはアサシン系統の特異個体タランクトだ。しかも殿を狙いバレないように一匹を確実に仕留めて美味そうに食べてる。
「あれがゴブリンと争って進化したタランクトの狩りですか。洗練されてますね。」
その群に別のタランクトが襲いかかる。前足が鎌のようになってるからサイスタランクト、大きさ的にアークかな?
オークを鎌で切り刻み全滅させて食事を始める。
「これマジでオーク食べ尽くしそうだね」
巣を張ってるタランクトを見てみると、オークがすでに絡まりもがいている。タランクトは大きくない。でも糸は丈夫だからトラップハイタランクトかな。
「これはオークという災害を別の災害で滅ぼしてるので、むしろ悪化してるのではないでしょうか?」
別のところではアーマーアークタランクトはオークに襲われながらも、防御力で耐えてカウンターで倒して食事にありついてる。
「ダンジョンの支配下にタランクトはあるからマシになってるよ。オーク狩りでDPも少し増えてるしこの調子で勢力拡大だよ」
別の場所を見ると、食事中のタランクトがオークに不意討ちされて、逆に食べられてる。元が人間なのだから虫を生きたまま食べないでよ。
「オークが同じ人間だったとは思えませんね。」
「きっと豚っぽい何かがオークになったんだよ」
「そう思いましょう。」
全体としてはオークは急速にタランクトに喰われて数を減らしているのだった。
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