025話 黒剣団襲来

 ヴィシリアからの情報でまずダンジョンの存在を冒険者ギルドは知ることになった。

 

 最終的には国に売る事にすると冒険者ギルドの幹部で決定された。

 

 ヴィシリアはダンジョンマスターの優姫ちゃんに気が付いておらず報告されていない。

 

 船で運ばれていたダンジョンコアはこの国で売却予定は無く、秘密になっていて誰も気が付くことは無かったのだ。もちろんダンジョンコアの出所は不明だが発生の理由も理屈も不明なので誰も気にしてない。そのため船に乗せられて運ばれていたなんて考えもしない。荷主も高確率で死んでいると思われる。

 

 国にダンジョンの情報を高く売る方法だが先ずは場所の確認をする。そして魔物や宝、採掘などが出来るか。

 

 収益が高ければより高く売れる。カスのようなダンジョンならば制圧し場合によってはダンジョンコアを破壊して治安維持、魔物討伐ということで報酬を受け取る。

 

 ダンジョンは金の成る木なので信用できる冒険者に指名クエストが出される事になるだった。

 

 

 黒剣団 リーダー ワスレ side

 

「新規ダンジョンが報告されました。本当にダンジョンがあるか、ダンジョンの難易度や採掘などの調査をお願い出来ますか?」

 

 資料は地図とアクセサリーが手に入る可能性があるのみ。

 

 Cランクの冒険者パーティーで戦闘力はBランク相当のステータスだ。ランクアップの年数規定によりCランクにいる若いパーティーで元貴族の男4人の幼なじみと女2人を誘った冒険者ならよくある構成だ。

 

 女性の冒険者は少ないから男からナンパしてパーティーに参加してもらうのだ。

 

 もちろん下心ありありだが、女性側は良い待遇を受けられて守られるから比較的安全性が高く稼ぎ平等に分けられるから良い仕事で、しかもモテるとウィンウィンの関係だ。

 

 そんなパーティーなら結婚して安定するにはダンジョン担当はいい仕事だ。ダンジョンは迷路や魔物の配置などある程度決まっているから、初見よりは同じのダンジョンを何度も潜る方が安全性が上がる。

 

 ダンジョンも1度には無限に採掘出来きないし魔物も限りがある。もちろん宝物も無限ではない。たくさん冒険者が入っても旨味は少ないのだ。

 

 だから担当を決めて、確実に素材を持ち帰れるようにしていることが多い。あまりにもダンジョンが大きい場合や危険度が高過ぎるなど例外もあるが、安全に入口にたどり着けるダンジョンの土地を魔王に奪われたところもあり、管理されたダンジョンは減っている。つまりダンジョン担当は非常においしいが狭き門なのだ。

 

 冒険者ギルドとしては調査で大量の死人を出して難易度が高いと思われても困るがカスダンジョンの可能性もあり調査の費用は抑えたい。

 

 ダンジョン専門冒険者枠などは国によってはなかったりするが、ダンジョンに馴れたベテラン冒険者を逃がさないためにも初見の攻略人数制限くらいは管理している場合が多い。

 

 つまり既存のダンジョン担当に割り込むのは難しいが新規ダンジョンなら第一人者になれるのだからから危険度が分からなくて、格安設定の報酬の指名クエストでも価値がある。

 

 上手く行けば国に仕えて、貴族への道に繋がることすらあるのだ。逆に金を払っても新規ダンジョンの調査をやりたい冒険者は多いだろう。

 

「調査依頼を受けよう」

 

 パーティーリーダーとして受付で即断し仕事を受ける。そしてメンバーのところに伝えに急いで戻る。

 

「次の仕事は新発見ダンジョンの調査だ」

 

「本当か!?ワスレやったな!でも俺のスキルで大丈夫なのか?」

 

 狼獣人で発言したのはオーエテ、パーティーの斥候担当だ。彼は斥候としは優秀だが、ダンジョン用の探知スキルは持っていない。

 

 狼獣人は瞬発力が高く、連携が上手い種族と言われているがダンジョン攻略経験のない彼が連携が上手いだけで無条件に問題ないと思う事はない。斥候のミスは仲間を危険にさらすからだ。

 

「ダンジョンの場所の確認から難易度まで全て調査対象だから分からないが無理をする必要はない」

 

「俺達の実力はBランクだ。トラップに気を付ければ攻略できるだろ」

 

 同じく狼獣人で自信家のテナイが発言する。回避型剣士でスピードと剣技は本物だが攻撃に拘りすぎて前に出過ぎることがある。慎重とは正反対の存在だ。

 

「無茶して大怪我しないで下さいよ」

 

 次に発言したのは女性エルフのモナで回復魔法メインに、火魔法も使いこなす後衛の要だ。エルフだけあって巨乳の美人なので斥候のオーエテ以外は恋敵だ。

 

 エルフなので当然に魔法が得意だ。

 

「ヤバイのは俺が防いでやるさ」

 

 オーエテをフォローしたのは狼獣人のガムイでパーティーの盾役だ。大盾を武器にも使う防御の要で仲間のピンチを何度も救った奴だ。彼が居なければ仲間は欠けていただろう。

 

「何度も入れるのですから無理は禁物ですよ」

 

 最後に発言したキアリーは睡魔人で銀髪のバランスプロポーションの持ち主だ。種族特性として人の夢を操作出来るが訓練が必要で、キアリーの実力は同意があっても半々も成功しない。

 

 障壁魔法と付与の使い手で修行と現場を知るためにパーティーに参加している。元メイド見習いという冒険者では珍しい経歴を持っている。

 

「そうだな、確実に情報をもって帰りダンジョン担当に成るのが目標だ。攻略はゆっくりでいい。とにかく情報を集めることが優先だ。装備を整えて遠征の準備をするぞ」

 

「「「「「了解」」」」」

 

 翌日、鍛冶屋で武具の整備と予備の武具を買う。

 

 剣は基本魔物を何百体も斬れる物じゃないから消耗品で防具だって攻撃を受ければ痛む。それでも魔法で強化できるから、地球よりは遥かに強くたくさん斬れるし、防具も長持ちする。

 

 壊れる前に交換は必要不可欠だが街に近ければ戻れば直ぐ買えるが今回は情報を揃えて帰還する予定だ。予備を多く準備するのは当然である。

 

 食材はキアリーとオーエテが買い出しに行っている。二人は恋人なのかは微妙だがオーエテが口説いているしいつも一緒にいるのは間違いない。

 

 食材と言っても基本は現地で採集狩りで手に入れるが調味料や塩はなくなると困るし現場で手に入らないときの保存食も必要だ。

 

 武器のメンテナンスが明日の昼までかかるから明日の昼飯後に出発することになった。

 

 歩いて10日なら専用馬車で行く黒剣団は7日ほどで着くかというところだ。

 

 御者は男で交代しながらやる予定だ。そうして馬車に揺られて8日の昼過ぎ、崖の下に洞窟を発見する。予定より時間がかかったが見落とさないように探しながらなので誤差の範囲だろう。

 

 情報が正しければダンジョンの入り口だ。すぐにボス部屋の扉が見えるのが心配であるが、先ずはボス部屋なので情報の通りにダンジョンを発見する。

 

「トラップと隠し通路の確認、ボス部屋がラスボスか確認をするぞ、近くにダンジョンが他にないかも確認だ」

 

 仲間に方針を伝えて俺達、黒剣団は動き出した。あまりにダンジョンとして構造が変わっているので周辺やボス部屋の手前の部分を先にきっちり調べることにしたのだ。

 

 このあとモナと行動するメンバーを誰にするかで半日揉めに揉めて夜になり、キアリーとオーエテに4人は一晩中説教されるのであった。

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