024話 ダンジョンの日常
おはようございます。優姫です。
海くんは魔法の研究?は行き詰まって諦めてて、食材の狩りをメインで過ごしています。
私はコアルームに専用の個室でエルフに海くんが報酬で貰ったお布団で寝起きしてます。
ベッドを置きたいけど、いいベッドはDPが高すぎるし、石で作る気もしなかったので今までの厚めの敷布団で我慢してます。
個室の大きさは四畳半くらいです。個人の物なんて布団と服くらいなので広くはないけど今は十分かな。DPがあれば部屋の配置も広さも変えられるから、必要最低限で十分だし、洞窟に比べれば、しっかりしたドアと壁ありというかなり文化的な生活になったよ。
ダンジョンメニューから作るのは素材は石や土が安いですけど、タンスにしたら引き出しも扉も重くて、子供の私には使えないので壁に作り付け棚を設置して服とか置いています。木材で作るとDPが急に高くなって手が出ません。
部屋の扉は大人サイズの石製で私はドアノブに手は届かないけど、鍵とかノブの内部構造とかないので押せば子供の体重でなんとか開きます。もちろん閉めないと勝手に閉まったりしません。重いけど仕方ないかな。DP稼いだら作り変えなきゃね。
「海くんおはよー」
「優姫おはよう。布団は干すな」
海くんは寝ないので夜は魔法の研究を一応してるみたいです。結果は全く分からないから変わらないらしいよ。でも魔法の修行の方が近い気もするね。
私が起きたのでお布団を干してくれます。まだまだ身体が小さいから、家事はほとんど出来なくて海くんがほぼ全部してくれます。
赤ちゃんの頃からだしすっかり慣れました。料理だけは死ぬほど不味いので覚えようと手伝いましたが、赤ちゃんよりの子供なのでまだまだ難しいし、味は諦めたのでたくさん作るときだけちょっとお手伝いです。
オムツを海くんになんども交換して貰った黒歴史に比べればもう不味い料理なんて平気なのです。そう思い込みます。どうせ出会った初日に吐いてるしね。
「ありがとう♪」
整理整頓とか掃除とかは海くんは異様に上手いのですよね。やっぱり軍人さんはピシッとしすぎて息苦しい程に素早く揃えるのですよ。
そして料理は何度も考えるほど不味いのです。しかし人間・・・今はエルフな私でも慣れれば不味い物を美味しく食べられるようになりますよ。
ごめんなさいやっぱり無理です。不味い物は不味い食べないと死ぬから食べてるだけなの。死ぬほど不味いし慣れたけど、毒じゃないし腐ってもないし生でもないけど、不味い。
その料理が平気な海くんというか軍人さんってやっぱり超人集団なんだなぁ。
しかし不味くても朝ごはんはやって来ます。海くんが布団を干して朝ごはんの用意をしてくれるからです。
コアルームにキッチンとして作った部屋に設置してあるカマドで海くんが調理してます。
最初にナイフや調理器具を熱湯で煮沸消毒します。
戦闘用ナイフは消毒しないので使ってるみたいです。いろいろ斬ってるから細菌とかウイルスとかヤバそうだけどそれも含めて攻撃なのかな?私はあのサバイバルナイフは形からすでに恐いし斬られたくないなぁ。
煮沸消毒が終わると生きた肉食魚を海くんはナイフで捌いていきます。
お腹を切って手で内臓を出すと、頭をドッスと落として三枚におろします。海くんは骨もナイフで切っちゃうけど体長60センチ程の肉食魚の骨って硬いよね?
出刃包丁でも生きた肉食魚の骨を暴れてるのに押さえて切るのは大変じゃないかな?海くんは細マッチョだけど筋力は見た目より強いのかな?
ヴィシリアを蹴りで天井にぶつけるくらいだし力はかなりあるね。
魚の切り身は塩で焼いていきます。オーク肉の燻製をナイフの煮沸用とは別に沸かしてた鍋に入れて塩とスパイスをぶちこみます。
魚の切り身に火が通ると味を整えるため塩をふります。今日の朝御飯はオーク肉のスープと焼き魚です。
素材の味が生きそうな料理ですよね?もちろん砂糖と塩を間違えたりしてませんよ。
なぜ文字通りの飯テロなクラスの味になるのか謎です。飯テロの使い方が違いますが間違ってません。口の中にテロ行為が行われるのです。もちろんスパイスも不味くない正真正銘、美味しいスパイスなんです。でも海くんの料理は飯テロ味です。
魚は半ば生き造りだよ。頭を落としても身体が動いてたよ。焼かれてもピチピチしてたのに、なぜ不味くなる?生でもなくちゃんと火は通ってるし、手際は良いから鮮度は抜群なのになぜ不味いのかは永遠の謎です。もちろん生臭くもありません。
生まれてから考えるとエルフお母さんの料理は食べれたから異世界食材は悪くないのです。
「いただきます。今日も女は突貫あるのみ」
「今日もたくさんあるからな」
「たくさんは要らないよ。めっちゃ不味いし」
「そうなのか?ま、食べたいだけ食べな」
不味い朝御飯を食べると海くんは洗い物と掃除をします。海くんは味に不満は全くないみたいです。軍人さんは味覚おかしいでしょ。
海くんの掃除と片付けはめっちゃ早いのにピシッと揃うし埃もないし毎回同じ所に同じものがあるし凄いね。こういう整理整頓が上手いのも軍人さんだっただからなのかな?
前世でも整理整理が出来て海くんみたいに、自分の体が汚れない人は仕事がめっちゃ出来たから海くんが凄いのは間違いないね。派遣社員として見てきたから間違いないよ。
洗面台とお風呂も完備ですが、お湯が沸かせないからお風呂はシャワーを使った水浴びになりました。
DPを使えばお湯が出せるけど光熱費が賄えそうにないので諦めました。
トイレはしっかり作ってトイレの水タンクにダンジョンコアを隠してあるけどありきたりかな?
もう少し難しいところを考えてるけど他に思い付かないのだよね。ベッドの下も考えたけどベッドがないしね。
燻製保管棚の中でお肉で隠すという作戦もあるけど食べたら減って見つかりそうだし、ダンジョンコアが清潔な自信がないし、なにより燻製の臭いがついたダンジョンコアって嫌だよ。
トイレタンクは水の入れ替えは1日に何度もされるし、海くんの掃除は毎日徹底的にしてくれるからかなり清潔だしダンジョンコアはめったに触らないし大丈夫かな。
ダンジョンの安全性を向上させるなら魔物とかトラップの配置かな?侵入者が増えてDPが増えたら検討予定だね。
侵入者から守るのに侵入者を待ってるのはおかしいかな?
コアルームは換気も温度湿度、明るさも完璧だから、身体の小さな私は考えるのが仕事なのだけどさ。たぶん海くんの方が頭いいよ。そして換気と光熱費、維持費でDPを常に強制徴収されてるね。DPが減っていくのは精神衛生的に良くないなぁ。
海くんが軍人さんってよく考える日だね。あっ!!そうだ!ファンタジー作品あるあるでミリオタが銃とか戦車作るけど海くんって絶対マジの軍人だよね?もっと詳しいでしょ!!思いついたが吉日!即実行だ。
「海くん!!銃とか大砲とか武器の構造って知ってる?ダンジョンに配備したら最強だよ!」
少し離れてる海くんに声をかけて思い付きを言てみる。
「点検整備はできるけど製造は出来ないな、半導体とか作れないから制御出来ないし、素材強度と加工精度の出し方も知らないしな。そもそも点検整備用の工具もないしな。銃なら構造は知ってるが、ガンパウダー(無煙火薬)の作り方は知らないぞ」
「えっ!?武器ってそんなに難しいの?」
「最先端技術の塊だな。設計図あっても劣化コピーすら難しいからな。いつ動作不良とか暴発するか分からなし最悪の場合、爆発とかしそうだしそんな武器は使いたくないな」
「研究もDPを集めないと無理そうだし、まだまだ先だね。海くんありがとう」
現代兵器でチートって作品はいろいろ無理があるみたいです。時間はたっぷりあるからゆっくり考えましょう。
「可能ならずライフルは欲しいな、射撃が一番得意なんだ」
「そうなの!?!?海くんは避けて殴って魔法で戦うのが得意だと思ってたよ」
確かに今でこそ迷彩服着てないけど元軍人さんなら、銃火器が得意な武装だよね。
「ナイフか手足しか武器ないし」
「んー、何か飛び道具いる?弓とか?」
「弓は使ったことないな、クロスボウはあるけど」
海くんは何を思ったのか私の頬っぺたを突ついて来る。
「矢のつもり!?というかさっきまで向こうにいたよね!?」
「片付けとか終わったし遊びに来た」
今度は両頬っぺたを軽く人差し指と親指で挟まれる。
「あーうーあー」
口を閉じると頬っぺたの内側噛むので抵抗して両手で振りほどこうとする。
「クックックッあまいな」
海くんの手は私の両手が上がったので、無防備になった脇腹に襲いかかる。この時に私の払おうとした手に触れさせないのは戦闘技術の無駄遣いだと思う。
「ギャハハハ、ヒーハハハハくすぐったいってギャハハハくるちーキャハハハ死ぬ~」
「ほんと優姫は可愛いな 」
この後、ノリノリの海くんが満足するまで私は弄られくすぐられ、疲れきったのでした。
楽しかったから許す。
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