163話 このダンジョン鬼畜すぎない?
あの酔っぱらいテンションすげーなと思う優姫だよ。だって私は、海くんにショートケーキを口に放り込まれたら27時間気絶したんだもん。
「歪曲魔族がさ奥まで進むために、すっごい食料運んでるのに申し訳ないけどその先って、たぶん行き止まりなんだよね」
「そうなんですねか?ー♪」
独り言をネイに聞かれたらしく返事が帰ってくる。
「分かりにくいけど、この先はハズレのはずだよ」
「ん?ー♪なんですか!?これー♪」
そこには立体的に組まれた巨大な迷路がある。スロープや階段を駆使して複雑で絡まるような作りになっている。階段で車輪を使っての、大量輸送を阻みつつ大量の分岐で正解を隠している。
そこには魔物も出なくて、宝物もない。食料の現地調達も許さない上に、高さ30階層に50キロ四方の立方体的な三次元迷路になってる。
「これはー♪・・・最短経路でどのくらいなんですかー♪」
「設計した海くんいわく、536キロメートルらしいよ」
「最短経路でー♪みっちり歩いて15日ってどうなってるんですかー♪」
「これさ、エレンティアが試したらダンジョン探索スキルが10ないと、最短経路見つけれないってさ」
「これを突破してやっと砲撃ゾーンですかー♪たどり着かないのではないですかー♪」
「これを考えた海くんが言うには正解があるのだから、総当たりすればいずれ抜けれるらしいよ」
「それ年単位で掛かりそうですー♪もう数ヶ月でこの進捗ですよね?ー♪」
「置きっぱなしで見張りがいないと荷物をいただいてるから、見張りも置き出したけど、そのせいで探索人員が減ってるし諦めるかもね」
「そうですね重い食料と水を背負って、見張りに届けてるのも複雑な迷路のせいで迷子になりそうですねー♪」
「完全に迷子になった人は、サイオンが吸血して身ぐるみをいただいて、村の近くに放置してるね」
「貧血と金欠でダンジョンに強制的な滞在させてー♪DP稼ぐ作戦ですかー♪」
「空腹で衰弱してるし、何人かは復帰に時間がかなりかかりそうだよ」
「なるほどー♪攻略させる気ありませんねー♪」
「これを見てるとDPがめちゃ高くても、転移で移動してる価値があるよね」
「カイ様が直通通路は反対してましたからねー♪ないものはショートカット出来ないー♪あればショートカットされるだろ?って言ってましたねー♪」
そんな会話をしていると、ミレーナがダンジョン内を移動しているのを見つける。魔王を殺したらしいのでマークしていたから、通知が出たのだけどね。
『なぁこっちは違うと思うぞ!ミレーナの恋に焦がれる気持ちがこっちに彼がいると教えてくれてるキャハハハ』
お付きのゼーストが止めるために、情報を提供する。
『ミレーナ姫様そちらは階段見付かってません』
『キャハハ何言ってるの?この地図も先も全部埋まってないじゃん』
ゼーストが苦虫を噛み潰したような表情になる。
『複雑過ぎて地図の精度が出てないのですよ。これでも修正を重ねてマシになったのです』
「海くんの立体迷路を平面の紙にかけないのかな?」
「こんかゴチャゴチャー♪地図あっても進めませんよー♪」
立体的に交差して、複雑怪奇に絡まるような迷路を紙に書けるわけがない。本当に海くんってこういう計算とか人間離れしてるよね。
『ならミレーナの恋に焦がれる気持ちも、試す価値あるぜ!愛しの彼よ、キャハハハ待っててくれだぜ』
『はぁ、あの殺戮的な味をも食べきったミレーナ姫様なので可能性はあるんですかねぇ?』
出来る男ゼーストの口調が崩れるほど苦笑いだ。
「ないとは思いますがー♪正解じゃないですよね?ー♪」
「・・・最短経路を突き進んでるよ。愛であの迷路攻略って、どこのテンプレ展開だよ」
「マジー♪ありえなくないですかー♪」
「海くんに連絡しないとね」
私はサイオンと射撃訓練というか海くんが5キロ射撃をしてるラスボス部屋に連絡する。サイオンは絶対に狙う以前に奥までも届かないらしい。
如何に下り坂で理論的に届くとはいえ、許される銃口のズレは百分の一度以下、反動も抑え込まないとそのズレで届かない。
しかも大口径、大型弾のアンチマテリアルライフルだ。海くんをサイオンは眺めてるが、訓練の意味がないのでそれが、正しいのだった。
「海くん!!歪曲魔族が最短経路を見つけてるぽいよ!」
『ん?優姫か?最短経路で来るなら最速で10日くらいで踏破してくるか?』
『そんなことしたら戦闘できないでしょ?』
サイオンが言う。最近は海くん式訓練しててめちゃくちゃきつい訓練とか、一緒にしてるよ。それでもついていけないらしいけどさ。
『可能性は考えて損はない。10日で最低限の迎撃用意を整えて、遅れた分でよりしっかりした対策を練るぞ』
『了解です!サブマスター様!!彼奴等の回避力は高めですが、弾幕で対処可能ならそれで殲滅、だめなら超高速攻撃で反応させない場合を試します』
サイオンの最初の作戦だけで絶対に、歪曲魔族絶滅すると思うよ。
『それで問題ないだろう。ところでどうやってあの迷路の最適経路を見つけた?ダンジョン探知のスキルか?』
「あのミレーナとかいうハイテンションな女の子が、海くんへの愛で見つけたよ」
我ながら意味不明な報告だね。
『へぇー思ったより見どころあるじゃん。カイに侍るには強さも十分だしありかな』
サイオンがそんなこと言うけどさ、あんな意味分からん女の子と、どうやって接すればいいのか分からないって!!
私はサイオンが仲間に引き入れた時のことを考えて、頭を抱えたのでした。
「戦力としては頼もしいですがー♪仲間にしても信用できますかね?ー♪」
ネイもどうやらミレーナ達歪曲魔族を味方に引き入れるのは反対みたいだね。なるようになるでしょ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます