065話 閑話 この報告書をどうしろと?

 トオイノナンデ家当主ゴルフコース伯爵 side

 

 

 ネイの暗殺に送り出した、エマーシュから報告書が届いた。

 

 内容はこうなっている。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 1、宿とレストランは食事が美味しいく、安全性が高くなっているが値段も高い、ウレナイ商会が直営している。

 

「それを報告されて、どうしろというのだ?」


 突っ込みを入れる報告書など前代未聞である。

 

 それでも報告書なのだからがまんして読み進めるとする。

 

 2、レストランの看板娘が強くて、私では勝てません。看板娘は村に詳しいく彼女によるとネイ元女王陛下はダンジョン内にいるらしい。詳細は不明。

 

「すぐにダンジョン内を探せばよいではないか」

 

 3、レストランの看板娘が冒険者を一撃で倒すほど強い。怖くてこれ以上情報収集は出来ない。

 

「安心出来るよいレストランではないか、情報収集などいくらでも話を聞ける村人がいるだろ?エマーシュはアホなのか?」


 もちろんゴルフコースに情報収集能力などない。

 

 4、鍛治屋に凄い職人ドワーフがいる。

 

「我が領内に来ないか打診させねばな」

 

 5、右手に持ったハンマーで左手を叩いている。

 

「なんじゃそれ?」


 これは万人共通の感想だろう。意味分からない。おかしい。報告書は更に続く。

 

 6、右手に持ったハンマーで自分の左手を叩いて鍛治してオリハルコンナイフが作れるらしい。

 

「なぜ二回書かれているのだ?そして、意味が分からん。オリハルコンは硬度が高すぎて加工は不可能だそんな嘘も見抜けんのか」

 

 7、革製品の手入れも出来るらしいが左手が5倍に腫れていて驚くが腕は間違いなく良い。

 

「下手くそだろ?ホラ吹きにしても、もう少しまともな嘘があるだろ?腕前があるのなら引き抜いてもよいのか?イヤ左手腫れてる鍛治などいらぬな」

 

 8、年中無休で24時間営業の入口ガラス張りな小さな店がある。

 

「ガラス張りの店なら高級店なのか?しかしなぜ村にある?」

 

 9、とにかくなんでも売っているが店は小さい。

 

「なんでもあれば店は大きくなければ置けないだろう。意味が分からん」

 

 10、ここだけで生活には困らないほどの品がある。

 

「余計に意味が分からん、そしてだからどうしろというのだ?」

 

 11、商品は軽食から武器までです。

 

「それを報告する意味を教えてくれエマーシュ」


 もちろんこの場にいないのだから返事はない。

 

「これ要らないところは無視でよいのか?よいよな?良いだろう」


 自問自答をしたくなるほど酷い内容である。

 

 12、豪商のサビス兄弟商会の本拠地もあり、友達だそうです。

 

「村に豪商いるのか、羨ましな。領内になんとか呼び込んで、税を払ってくれないものか」

 

 国家規模の財力なのだから税を多目にとっても大したことないだろうという発想である。もちろん賄賂は当然求める。

 

 確かに払えるだろうが、全ての拠点でその税を支払えば利益は残らないどころか赤字になる。

 

 それだけ投資して価値のある場所と相手にしかそんなことはしないのだが、伯爵は自らにその価値があると思っている。サビス兄弟が豪商といえるのかは実際のところ微妙であるのだが、そんな事は気にしない。

 

「さて金持ちな村を報告されても困るのだが、続きにネイの暗殺に役立つ情報があるのだろう」

 

 13、冒険者ギルドの受付嬢に迷惑かけると大変なことになります。

 

「・・・は?だからどうした?」

 

 14、トオイノナンデ伯爵様におかれましてもくれぐれも冒険者ギルドの受付嬢に言い掛かりをつけないようにお願いいたします。

 

「・・・なめとるのか?」

 

 15、なぜなら公衆の面前で股間が濡れるそうです。実際に酷い目にあっているのを目撃しました。

 

「だからどうしろと?なんの報告なのだ?これは日記か?」

 

 どういう対応をすべきか困る。酷い報告書を破り捨てたい衝動もあるがネイのことが書いてあると不味い。

 

「日記な報告書とか知らねーよ、勝手にしろよ」


 伯爵様のキャラ崩壊させる威力である。ストレス発散して精神を立て直して続きを読む。


 なおオリハルコン級硬度のメンタルを持つ優姫ちゃんなら目的を気にしないで爆笑していることだろう。

 

 16、暫くは冒険者としてダンジョンで稼ぐので指示をお願いします。

 

「・・・えっ・・・」

 

 絶句してしまう。

 

「最後の1文だけで十分だな、指示はネイを探しだして殺せだ」

 

 指令書を作り送りつけるのであった。

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