066話 間話 真面目に冒険者は儲かってる

 エマーシュ side

 

 

 報告書の返信が来るまでざっと2週間くらいかかるはずです。

 

 前金はありますが美女が一人で仕事もしないで村にいるとか目立って仕方がないので、冒険者の真似事をしますかね。

 

 冒険者ギルドで手続きをして、地下2階へ行きます。

 

 明るくて草原になっておりガーデンバードとホーンラビットがそれなりにいて、少し離れた所に3階層目に続く下り階段が見えます。

 

 冒険者ギルドでの情報によれば、2階層はトラップはないし、安全らしい。暗殺者の強さは隠すべし、ということでFランクの家畜魔物ガーデンバード狩りと行きましょう。

 

 ガーデンバードは害虫駆除が上手い魔物で基本虫を大量に食べるだけで、戦闘力は高くないから数発で倒せばいいでしょう。

 

「チェスト!!」

 

 盛大にスカ振りするけどわざとです。


 突き刺し以外苦手だからって首を狙ってナイフを振って空振りなんてしてないから。

 

「コッケーー」

 

 ガーデンバードが雑魚なの?こっちは魔物なんだぜ!!という目で私を見てくる。

 

「こんにゃろー!チェスト!」

 

 必殺の突きを繰り出します。

 

「なんだと・・・」

 

 ガーデンバードが私の渾身の突きを頭だけ下げて首がめり込むような動作だけで回避しました。

 

「コケコケ〜♪ココ♪ココ♪」

 

 魔物で知性はないはずだがバカにされているのは理解した。

 

「ならば戦争ですよ、チェスト!!チェスト!!チェスト!!」

 

 三連続の突きでなんとかガーデンバード狩りを成功させて首から血を出して血抜きをします。

 

「ぜぇぜぇぜぇ、楽勝でした」

 

 なんか、おじいちゃんドワーフが大量に魔法でガーデンバードの首を切り離して、仕止めてる気がしますが気にしてはいけません。

 

 もう数匹仕止めるために駆けずり回って、なんとか自分に課したノルマをクリアしてダンジョンから出て、冒険者ギルドの不法持ち出し検査を受け無事に通過します。

 

 そして、換金すべく豪商のサビス兄弟商会にやって来ました。

 

「こんにちは」

 

「へい、らしっしゃい何かようかな?」

 

「素材の買い取りをお願いしたいのだけど、これをお願いできますか?」

 

 鳥人で熟練商売人という雰囲気の男性が対応してくれる。

 

「兄貴の客ですね。お待ち下さい。兄貴~!客だぞ~!」

 

 奥に叫んで買い取り担当を呼ぶようです。

 

「おやおや、かわいらしいお客だ」

 

 鳥人がもう一人奥から出てくる。まだ愛人の座を狙うのは早い見極めなければならない。

 

 商人というよりは頑固職人といった雰囲気である。

 

「ありがとう、この素材の買い取りをお願いします」

 

「血抜きをしてくれてるのか!いいねー買い取りに上乗せするぜ」

 

 頑固そうに見えるだけでフレンドリーかもしれない。私が美人だからかな?こんなことは、兎獣人で美人なのでよくあることです。

 

「冒険者なんだから、血抜きくらい当たり前ですよ」

 

「一匹じゃないし、大量持ち込みだな。ボーナスを上乗せして銀貨五枚でどうよ?」

 

「えっ高過ぎじゃないですか?」

 

「ドワーフの爺さんは金貨は稼ぐぜ、姉ちゃんはまだまだだな」

 

 相場の5倍はしてるから何か買わさせられたり、脅されないか心配になります。

 

「兄貴ぃ~高く買いすぎだぞ」

 

「それ言うなら安売りしすぎだろ?でも儲かってるんだからいいだろ?」

 

「まぁな。これだけで儲けてるからな。不思議だよな?何回計算しても赤字になるはずなんだぜ?」

 

「どう見ても儲かるように聞こえないのですけど?」

 

 誰が見ても聞いても、売られてる食用肉は買い取り価格よりも安く売られている。

 

「俺もなぜ利益があるのか不思議なんだ。計算は弟に任せてるが謎は深まるばかりだ」

 

 これは裏でマフィアと繋がってるという証拠でしょう。

 

 深く聞くと恐ろしいことになりそうです。シェア拡大してその後で資金回収とか、貴族の恨みを買った商人を潰すためとか、絶対に恐ろしい事があるに違いない。

 

「不思議ですね」

 

 そう言って流すのでした。

 

「上手く行ってるからいいんだよ、ほら銀貨5枚だ」

 

「安く買ってくれたらもっと儲かるのだぞ。兄貴だからしゃーないけどさ、ハハハ」


「それを言うならお前がもっと高く売れば儲かるぞ、ハハハ」

 

 銀貨を受け取りつつもまだ愛人計画は様子見をしようと思います。だって今日の収入ならそれなりの生活は送れますからね!!


 こいつら本当にただのアホという可能性もありますからね。

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