117話 閑話 久しぶりな新人冒険者

 新人冒険 side



 それなりに経験を積んだからこそ魔物の知識に満足してはいけない。今日は蜘蛛の魔物タランクト種について調べまくろう。


 Eランク


 ベビータランクト


 生まれたての弱い蜘蛛の魔物で毒は非常に弱く糸は脆い。

 進化派生する前の全ての蜘蛛系の赤ちゃんである。


 体長は40センチ



 スモールタランクト


 まだまだ弱いが大きくなっている蜘蛛の魔物で僅かに強くなっている。大きさ以外は変わりないと思って問題ない。


 体長は60センチ



 この二種が大量発生した場合上位の進化した個体が親としている可能が高いため注意する事。


 また上位の個体が出ないように討伐が推奨されている。


 また肉食で獲物が少ないと共食いするため大量に共食いする頃には大量発生よりさらに危険な特異個体が発生している可能性が高い。


 このくらいのランクの魔物なら囲まれなければ平気だな。特異個体は後で調べよう。



 Dランク


 タランクト


 蜘蛛の魔物では弱い方だが毒も糸も強くなっており油断すると危険である。また少ないが卵を産む。


 糸は火に弱いため対処し易い。また糸はなんとか使えるくらいは強度があるため安いが売れる。


 体長は80センチ



 俺は互角の相手になるな。パーティーを組んでるからこちらが多ければ負けないな。



 Cランク


 タランクト種はここから派生進化する。タランクトまでの経験により派生先が分岐すると言われている。


 デスタランクト


 物理系攻撃進化のタランクトで飛びかかり噛みつきを多様する。また足による突き刺しも使用するが威力は噛みつきより下がる。搦め手である糸も毒もない。


 しかし瞬間的な速度と力は強い。正面から向かってくるため実力が上回って入れば勝てる。


 逆にいえば格下の実力なら絶望的である。


 体長1,5メートル



 ポイズンタランクト


 毒系進化のタランクトで毒は致死性が高いが糸はない。毒は飛ばしてくることが稀にあるため注意が必要である。


 毒は調合により薬になるため売れるが、採取するには討伐しなければほぼ不可能である。


 毒さえ対処出来れば勝てる。


 体長は1メートル



 ネットタランクト


 糸系進化のタランクトで糸を使い巣で罠を作るため気が付かなければ勝ち目はない。少し燃えにくいが糸は燃やすことは可能である。糸を飛ばし拘束を狙うことも稀にある。


 糸は強度もあり売れるため、燃やさない対処が出来るなら推奨される。進化するほど糸が燃えにくくなり強度も上昇する。


 体長は1メートル



 アサシンタランクト


 夜行性かつ小型進化のタランクトでスモールタランクト程度の大きさだが音もなく夜間や洞窟で寝ている獲物を奇襲する。


 糸も毒もないためとにかく奇襲が危険だが戦闘力は高くないため発見さえ出来れば問題ない。



 アーマータランクト


 防御系進化のタランクトとにかく外殻が硬いため並みの攻撃は無視してカウンター攻撃をしてくる。力は強いため、瞬間的にだけ速いが移動を苦手とするため逃亡はしやすい。


 外骨格は防具素材として優秀である。


 体長は1,5メートル



 パーティーで挑んでも大きな怪我のおそれがあるし1体で俺たちと互角のレベルだな。



 Bランク


 各種ハイタランクト


 基本的にはそのまま一回り強くなっており、産む卵の数が増えてくる。


 アサシン以外のネット、ポイズン体長が50センチ程度、アーマーとデスは1メートル程度大きくなっている。



 ランク的に俺達は勝ち目がないな。



 Aランク


 各種アークタランクト


 ハイタランクトよりさらに強くなっており、熟練パーティーでも逃亡の検討が必要レベルに達している。特に卵を産む数が多めのためにランクが低いだろうが大量発生しており、連戦の覚悟が必要である。


 アサシンの場合発見が特に難しく犠牲者は多い。


 ポイズンとネットで2メートル、デスとアーマーでは5メートルの巨体になる。



 Aランクまで進化したら出会わないとこを祈るレベルだな。



 Sランク


 各種クイーンタランクト


 産卵数が多くなる進化でクイーンによるタランクト種の大量発生は数の暴力である。個体の戦闘力とサイズはアークより僅かに上回っている。個体というよりは数暴力に対処するためのSランク指定をされている。



 各種キングタランクト


 産卵数はアークと同じながら個体の戦闘力は別格である。戦闘スタイルこそ各種タランクトから変わらないが全体の能力が破格の上昇をしているため、アーマー相手でさえ逃亡は不可能だろう。


 デスとアーマーが10メートル、ネットとポイズンは3メートルにまで巨大化している。



 Sランクまで強くなるとどうしようもないな。ベビーやスモールを減らさないとな。



 特異個体と進化について


 タランクト種は進化による分岐で能力を失うほど差がつくが、糸を多様するとネットタランクトになり、飛びかかりを多様するとデスタランクトになると言われている。


 その中でも過酷な環境であるとより特化したり、ハイブリッドのような個体が現れる。


 特異個体は全体的に通常個体より厄介で危険な存在であるためタランクト種を増やしすぎない事が大切である。


 環境により新種はまだまだ増える可能性がある。



 発見された特異個体タランクト一覧

 ※タランクト→ハイタランクト→アークタランクト→クイーンorキングと進化するのは共通する


 ステルスタランクト


 アサシン系の特異個体で非常に高い擬態能力でベビータランクトとほぼ同じサイズである。アーク程度まで進化すると発見が不可能に近い。戦闘力はアサシンよりも低いが顎の力は十分に強いため、奇襲の一撃で殺されるだろう。



 へヴィーアーマータランクト


 防御力を高めるため外骨格がより分厚い個体である。アーマーより鈍重であるが、重さは増しているため攻撃力も油断ならない。アーマータランクトと戦闘スタイルは同じだが倒すための攻撃力をより必要とし、遅いため逃亡がしやすい。但しカウンターの回避は難しく討伐難易度は高い。。



 ガーディアンタランクト


 クイーンのガーディアンをするようなタランクトでポイズンとアサシンのハイブリッドな存在である。

 毒は三段構えで、解毒の報告はない。

 クイーンにのみ張り付き隠れて獲物を見つけると襲いかかり倒して食べた残りをクイーンに分け与える生態からガーディアンと呼ばれる。



 サイスタランクト


 デスの特異個体で前の足が鎌になっており、飛びかかり噛みつき、足による突き刺し以外に、鎌による切断攻撃を繰り出す。

 単純だが攻撃力の高さが驚異である。



 トラップタランクト


 糸がより細く強度がより高い上に同じランクならネットよりも燃えにくいが、糸を飛ばすような使い方はしないため、巣でひたすら待つスタイルである。巣というトラップのみなために名付けられた。



 ヴェノムタランクト


 毒の致死性がポイズンより高く、なにより全身に毒があるため体液全般に触れることすら出来ない。また非常に目立つ色をしている。麻痺毒により獲物の動きを止めることもある。



 パワードタランクト


 デスとアーマーの両方の長所を併せ持つハイブリッド個体である。攻撃力と防御力そしてスピードのすべてが高いが搦め手は使用しないのが救いといえる。大食いで大量の獲物がなければ餓死するという弱点もある。



 シールドタランクト


 前の足が平たく大きな盾状に成っているアーマーの特異個体でへヴィーよりも素早さが高いが軽いためカウンターの威力は低めだ。シールドの貫通はへヴィーアーマーの外骨格よりもさらに難しい。



 フライタランクト


 アサシン系の特異個体で飛びかかりの速度が尋常でなく水平に飛んでいるように見えるため呼ばれる。攻撃力そのものは低めがとにかく速く臆病で逃げるときも飛ぶように移動するので討伐しにくい。


 格下を瞬殺し獲物にする。



 イリュージョンタランクト


 糸と毒を持つタランクトで無色の気体幻覚毒と糸による拘束無力化を行うネットとポイズンのハイブリッド個体。


 戦闘力は低いが毒に気付きにくく幻覚の夢の中で殺される。もし幻覚から抜け出しても糸で拘束しているという二段構え、もしくは糸で拘束し、幻覚により脱出をさせない作戦を取る。先に発見できなければ非常に危険である。




 なんだろう、特異個体がキングまで進化したら人間が倒せるレベルを超えてるかと思うな。


 俺は世のため人のためにベビーとスモールタランクトを狩ろう。派生前のタランクトなら勝てて魔石もそれなりに売れるしありだな。

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