083話 間話 ゲーヘルの行方

 ゲーヘルの目的と手段が逆転してしまっている。復讐のために強くなるはすが、素材を手に入れる手段が目的となり、殺して奪うことが手段となっている。

 

 そして生きていくに、兵器の素材を得るために、最初は行商を襲っていた。行商が減ると村を襲い、指名手配されると逃げて、ついに闇陣営の領域へ逃走してきている。

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「しけてんなぁ、女もいないしハズレだ」

 

 ゲーヘルは慣れた方法の数十メートルの狙撃で行商と護衛を抹殺し荷物をあさっている。銃を見たことないため近づいて狙いを定めても逃げられないから簡単なのだ。

 

 殺された行者の背中には翼がある。鳥人種である。

 

「亜人種ばかりだしここは闇陣営か、獣姦は趣味じゃねぇし、美形らしいエルフでも探さないとな」

 

 社会から排除され孤独になったゲーヘルは思考をそのまま口にする。聞かれて問題なら殺せばいいくらいに思っているのだろう。

 

 食糧や金属など必要な物を選り分け奪うと残りは放置し、対物ライフルのような大口径の中二病ポイ銃を背負う。

 

 他にもいろいろと迫撃砲ポイのとか盾とかいろいろと持っている。

 

 連射性能は低いし、メンテナンスや製造コストなんて考慮させておらず、ゲーヘルがカッコいいと、強そうと思ったデザインである。

 

 そもそも銃が存在しないので向けて射線から逃げる敵はいないので発砲しても、回避されずステータスを貫通する火力を求めてひたすらに大口径を指向したのだ。

 

 工業製品ではないし弾の空気力学とか知らないし、万人の使い勝手も気にする必要がない。おかしなデザインでも何の問題もないのである。

 

「村でも探して鉱山なり聞き出して殺るのが楽そうだな」

 

 こうしてゲーヘルは行者が通っていた街道を進んで行く。

 

 暫く進むと人影をゲーヘルは見つける。

 

「冒険者か?軍を呼ばれると面倒だしさくっと殺るか」

 

 ゲーヘルは三脚を建てると、中二病対物ライフルをセットし狙いをつける。

 

「女はなしか、どいつもこいつも獣人ばかり、やっぱしけてんなぁ、死ね」

 

 バン、バン、バン、バンと間をあけた銃撃により冒険者を撃ち抜き即死させる。

 

「さてと、せめて金持ちでましな戦利品があれよ」

 

 銃をまた背負うと、冒険者の死体からゲーヘルにとって有用な物だけを剥ぎ取ってまた歩いて行く。追い剥ぎよりも悪どい存在に落ちている証拠だろう。

 

 闇陣営でゲーヘルは危険らしい程度しか認知されておらず上手く対応をすればすぐには、敵対しないで済むが、今までは見かけただけで大軍を差し向けられるほど、指名手配されていた光陣営に居たので思い付かない。

 

 殺戮を繰り返しながらゲーヘルは村を見つけた。魔力もステータスも失ったゲーヘルだが抜け道がある。

 

 魔道具なら魔石をエネルギー源にして使えるのだ。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 脱線しますがダンジョンのDPと魔石の違いについて解説しておきます。魔石は内包魔力の量があり、莫大な魔力を使うには強い魔物の魔石か、大量に用意する必要があります。

 それに対してDPは、形が存在しないために全量を消費することも可能で出力が高く、ダンジョン内のみという制限はあるものの、補給もしやすくダンジョン内なら魔道具を起動出来るます。

 魔道具とは、付与魔法によりスキルを道具に込めて魔力(MP)を注ぐ事で発動させるアイテムを指します。

 ダンジョンマスターは有り得ない性能の魔道具を作り出すことも出来ますが、火薬の開発にこだわる優姫ちゃんはチート性能を発揮していません。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「制圧して情報を聞き出しますか」

 

 迫撃砲に杭よりはドリルに近い物をセットする。パイルバンカーだ。ゲーヘルは真面目だが海くんに見せればムダの一言であろう。

 

 傾斜装甲ならよほど上手く角度を調整しなければ、傷すら付けられない可能性もあるし、大質量兵器として使うには軽すぎる。装甲貫通するなら専用の徹甲弾を使った方がいいし、砦や城壁などの建物相手なら榴弾を使えという事である。

 

 ただ地上の建物ならミサイル、地中ならバンカーバスターがおすすめである。兵士ならサーモバリック爆弾も良いだろう。

 

 なぜ海くんが砲弾に詳しいのか?軍人なら敵に合わせて兵器を選択するのは基本だからだ。

 

 そんな知識がないゲーヘルはドリルが一番建物に効くと考えたのである。そして水平に構えると村に容赦無く撃ち込む。

 

 村の家と柵をボロボロにしたゲーヘルは、対物ライフルに武器を変えると村に侵入した。

 

「どいつも、翼があるのか、抵抗したら殺す」バン、バン「村の中心に、死にたく無かったら集まれ」バン、バン、バン

 

 少しでも抵抗する素振りや素直に従わない者を銃殺している。

 

 集められた村人の中でも村長ポイ人物がゲーヘルに交渉というか命乞いをする。

 

「女子供は許してくれ、望むものは何でも差し出す」

 

「近くの鉱山か大量に金属があるところを教えろ、そうだなエルフが居る所もだ」

 

 装飾過多の対物ライフルが村長ポイ人物の眉間に向けられる。

 

「ヒッ、鉱山なんて知らないが、エルフがダンジョンマスターをしているダンジョンがあるらしい」

 

 流石に村人を虐殺した武器が向けられた事くらいは理解出来る。

 

「ほぉ、ダンジョンねぇ、そのエルフは女か?」

 

「少女らしい、頼むこれ以上は許してくれ」

 

「ああ、いいぜ解放してやる」

 

 ゲーヘルはその後集めた村も人も全てを破壊し尽くした。死は開放というか、言葉の意味も気にしてはいない。交渉なんてする気もないのだから。

 

「辺境はしけてんなぁ、さてエルフ女とダンジョンを手に入れにいきますか」

 

 ゲーヘルは自らの装備に自信を持っておりダンジョンなら囲まれる心配も少なく自らの兵器が有利だから完全攻略しダンジョンの資源で、更なる強化と欲望の限りを尽くすつもりである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る