170話 期待にお応えして!?また殺ります

 なんで太ましい勇者に、可愛い娘がいっぱい侍ってるのか分からないのよね?ハーレムに入る女の子ってどんな気持ちなのかな?普通は嫌じゃない?と思ってる優姫だよ。海くん?かっこいいから特別かな。

 

 

 ダンジョンの探知の様子からスティーとかいう斥候よの探知スキルは10らしいです。エレンティアが確認してくれました。

 

 ロリィという、魔法使いも弱くはないのですが、エレンティアの下位交換でしかないよ。というかスキルを組み替えるエレンティアがチートなんだよね。一人で勇者パーティーの仕事の全部出来そうだもん。

 

 だってエレンティアの一人で勇者パーティーの補助役と魔法攻撃は完璧で魔法の知識はすごくあるよ。その上に変則軌道の曲芸投斧とかの直接戦闘も出来る。必殺の改良型大魔法もあるけどさ。

 

『オーソドックスな洞窟型ですがトラップなしで、魔物だけというのは不思議ですね』

 

『休憩場所も細かくあるわよ。魔物の襲撃がほとんどないからだけどね』

 

『収納魔法がなければ長すぎて、食料がつきそうじゃ』

 

 歪曲魔族も保存食を持ち込んで、運搬しながら攻略してたしね。勇者の収納魔法だけはズルいと言いたいけど、ぶっちゃけダンジョンマスターは、DP召喚で解決だしいらないや。

 

『新しい20年以下のダンジョンなのは確かですから残り僅かのはずです』

 

『そうじゃの、ダンジョンは年月ともに深くなり魔物が強くなって難易度を上げていくからの』

 

『魔物はそこまで強くないから深さだけのダンジョンのようね』

 

「あれ?珍しく攻略者なのに油断してるね」

 

「バンパ王国などの被害を知っていれば、もう少し警戒すると思います。」

 

「油断してくれてるなら、こちらとしては有利だしいいことだな」

 

 海くんは戦闘になると容赦ないね。慢心王みたいに強いのに負ける事もあるし油断大敵、私も気をつけよう。

 

 勇者パーティーが次の階層へ階段を下りて行くと、すぐに直角の曲がり角がありその先は、かなり細長く二人で並んで歩くのがギリギリ程度の通路になっている。

 

 上の階層のような迷路ではなく一本道で魔物は全く配置してないよ。終わりが近いのだろうと15分ほど歩くと再び曲がり角があるというふうにスキルでは探知されるような設計になってるよ。

 

『ただの通路ね』

 

「本当にオブジェ扱いだと探知できないのだね。スキルは壁も貫通して探知できないから、薄い壁一枚で隔離された小部屋にミレーナが短距離転移すればバレないし、これなら奇襲は上手くいくね」

 

 海くんは頷くと作戦の確認を始めます。

 

「サイオン作戦準備は問題ないか?」

 

『準備完了。でも兵器を使わなくても僕達だけで勝つよ』

 

 サイオンは階段すぐ横の隠し部屋から答える。

 

「倒しきれなければ2人に任せるが絶対死ぬなよ」

 

『了解しました!!僕は死ぬ前に逃るよ』

 

『ひゃほー、あれがダンジョンの先制攻撃を耐えたら遊んで貰うぜ』

 

 もう一人サイオンの隣に居るミレーナは口調とは別に残忍な表情で言う。

 

「その時は頼んだ、では作戦開始まで待機」

 

 海くんが最終確認を終わらせる。私もダンジョン機能で壊れてもすぐ直せるけど、かっこいいから報告することにする。

 

「72ミリ速射砲の最終動作確認も問題ないよ」

 

「あの勇者を殺していいのか?」

 

 海くんが珍しくこんなことをに問いかけてくる。きっと私が気にして、元気がなくなると面白くない、とか思ってるのかな?

 

「ダンジョンマスターなんだから、平穏を破壊する侵入者は殺すよ。たとえ前世の同郷者で日本人でもね。海くんこそいいの?」

 

「敵は排除するさ。同郷とか気にしないな」

 

「エヘヘ、パパありがと。それじゃ女は突貫よー!パパとの愛の巣に侵入する奴は消し飛ばしたるわ!!」

 

 海くんが頭をそっと撫でくれる。海くんってこういう何気ないところで優しさを、忘れないよね。

 

「紅茶をお持ちしました。勇者はかなり強いらしいですが大丈夫なのですか?」

 

 キアリーさんが紅茶を全員に配りながら質問している。

 

「キアリーさんありがとう。ラスボスまではたどり着かせないよ。ここで消し飛ばすしね」

 

 こっそり頭悪いレールガンも用意してるからね。ここで決めちゃうよ。

 

「オークの魔王を滅ぼしただけでー♪ミレーナよりは弱そうですー♪」

 

 ネイの評価でもミレーナより弱いらしい。というかミレーナが強すぎると思うよ。エレンティアでも近距離だと勝てないからね。新型大魔法はミレーナが無理ってギブアップしてたよ。エレンティアの新型大魔法って攻撃力どんだけ高いんだよ。

 

「確かにミレーナの能力は反則だけどさ、なんとか勝ったんだし勇者級程度なら瞬殺じゃない?」

 

 最後のエレンティアは勇者への評価はさらに低い。エレンティアは条件次第で海くんにも勝てそうだしね。

 

 おっと勇者が角を曲がるね。

 

「ターゲットが迎撃ポイントに到着!先制攻撃行くよ!チート勇者なんかに負けないよ!!女は突貫あるのみ!!ファイア!!」

 

 76ミリ速射砲が砲撃を開始する。しかも異世界のダンジョンなので凶悪な対ステータス仕様の改良が施されている。弾切れはないし、砲は壊れても即時修理というチートダンジョン仕様に耐えられるかな?

 

 ズドドドドドドドドドーン!!!

 

 音速を軽く超越し、音を置き去りにした砲弾が連射で放たれる。

 

「あっ避けられた!?うーん大砲の見た目で日本人でもやばいことくらいは分ったのかな?」

 

「先ずは一人殺ったなこれなら行けるだろ?サイオン、ミレーナ、クロスファイア作戦やれ!死ぬなよ」

 

『『了解!!』』

 

 ミレーナとサイオンが壁を超える転移で現れるとガトリング砲をサイオンが操作して射撃準備する。

 

『回復します!』

 

 聖女シーナが回復魔法を唱えようとした時には、サイオンの射撃準備が終わり銃撃するほうが早かった。

 

 ドゥルルルルルルルルルル!!!

 ドゥルルルルルルルルルル!!!

 ズドドドドドドドドドーン!!!

 

 挟み撃ち(クロスファイア)にさらされた勇者パーティーはあっさりと、何があったのか理解する暇もなく即死全滅した。

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