009話 閑話 兄の苦悩
兄アスク side
妹のアーリィは三歳になった。
まだまだ赤ちゃんだけど、あんまり泣かないし、ボディーランゲージはとても上手い。
エルフは五歳くらいから少し言葉を喋れるようになるって大人が言ってた。
でもアーリィは早いかも知れない。身振り手振りとかすっごく上手いから頭がいいと思う。
僕は難しいことは苦手だけど妹を村の中でも魔法が得意で強い父のようにかっこ良く守りたい。
だってアーリィはワガママだけど、とっても可愛い。
オムツ換えてあげると、すっごく照れるみたいなんだ。照れ隠しにぺしぺし叩かれるけど、それもまた可愛いしそんなワガママをいつまでも言えるようにアーリィを守らないといけないと思う。
村の外はヴィーザ大森林で僕はまだ出ては行けないんだ。村を出て森に行けるのは魔物がいて危ないから大人だけなんだ。
早く強くなりたくて今日も闇陣営の神様ヴィーザ神にお祈りするんだ。
大森林にはそこまで強い魔物はいないらしいけど、一番危ないのは黒光りカサカサ悪魔って魔物なんだ。オークよりも強いってびっくりだ。
黒くて気持ち悪い虫なんだけど、大軍で飛んだり走ったりするんだ。弱いけど数が多いから倒しても倒してもキリがないらしい。そして魔物だからちょっとは攻撃してくる。
耐えきれなくてこちらが力尽きると食べられちゃうらしい。ゴブリンやオークよりも危ないって数の暴力はすごいよ。そして小さいから柵とかで防げなくて、村に入ってくるんだ。
だから僕がアーリィを黒光りカサカサ悪魔から守るんだ。
村はガーデンバードっていう飛べない鳥型の魔物がクロビカリカサカサ悪魔の天敵なんだ。それでガーデンバードを飼って黒光りカサカサ悪魔を食べて貰って駆除してる。ほとんど駆除出来るから村は安全なんだ。魔物だけど家畜化出来るんだ。
僕はガーデンバードが駆除しきれない黒光りカサカサ悪魔からアーリィを守ることを目標に魔法の練習をしてたらMPが尽きちゃた。
神様にお祈りして時間と共にMPが回復したら魔法の練習をする。
「ファイヤボール!!!」
僕は火魔法が得意でファイヤーボールの練習をしてるんだ。
少しファイヤボールが大きくなったかな?スキルレベルは上がらなくてもステータス値が上がってるはずだ。
「オギャーオギャー」
可愛い妹が泣いて呼んでるから急いで行く。えっと、このジェスチャーはお腹減ったのか。
三歳になって乳離れしたけどアーリィはお肉が冷たくても熱くても食べない。
スープが好きだから器によそうと火魔法で温める。
「ファイヤボール!!!」
アッやべぇ全力でスープの入った鍋にファイヤーボールしたら完全に沸騰してる。
「フーフーしたらきっと大丈夫だ!」
火傷しそうなほど熱いので鍋つかみで持っていく。
机に鍋を置いて掬ったスプーンにフーフーと息をかけて冷やしてアーリィに食べさせてあげる。
スプーンも熱くなってたけどフーフーしたから冷めたよ。
「アーン」
アーリィにアーンしてあげる。
「うぎゃ~~~~!!!」
熱かったかな?ギャン泣きされて叩かれる。痛くないけど嫌われたかな?お兄ちゃんちょっとショックだ。
なんとか宥めると、スープがいい具合に冷めて、美味しそうに食べてくれた。
妹を守れるお兄ちゃんになるには大変だなぁ。もっと魔法の練習しなきゃ。
魔法の練習で魔力が上がりさらにスープが激熱になり食べられなくて、怒られるというループにアスクは気がつかないのであった。
練習するため屋外に出ると、またアーリィが泣いている。
「うぎゃ~!!!」
泣き方から普通じゃない!!まさかベッドから落ちたのか!?そう思いまたまたアーリィの元に急いで戻る。
そこには泣いてるアーリィと、黒光りしている虫がいた。
「お兄ちゃんがやっつける!」
アーリィの近くでファイヤーボールは使ったら怒られるからパンチだ!アーリィは魔法からまだ身を守れないから危ないんだ。
お兄ちゃんとして妹を守るべく魔物である黒光りカサカサ悪魔に挑む。
カサカサ、カサカサァー!!速いなでも負けない。
素早くて結局追いかけても、逃げられて攻撃は当たらないのに部屋から出て行かない黒光りカサカサ悪魔の討伐は出来ず、父が狩りから帰って来るまで、僕は部屋で走り回るのだった。
「スヤァスヤァ」
アーリィはいつの間にか寝ていた。
魔物がいても近くで走り回ってても寝れるアーリィのメンタルはオリハルコンより頑丈なんじゃないかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます