140話 劇薬を混ぜるな危険

 こんばんわ、パーティー会場の海くんに見とれてる優姫だよ。

 

 

 バンパ王国の王様は若いけど頼りなくない?なんか疲れてるのか病気なのか顔色が悪いよね?

 

 海くんが貴族がいっぱいの会場内でも1番のイケメンだし、オシャレするといつもと違ってて、見てるだけで楽しいよ。

 

「失礼、ダンジョンマスターと聞いてどんな恐ろしい人かと思っていましたが、可愛らしい女の子で驚きました」

 

 誰?なんか取り巻きもたくさんで顔色が悪い・・・あっ王様だった気がする。向こうから来るんだね。私からは用事ないし行かないけどね。

 

 とりあえずお礼したら帰ってくれるかな?貴族とかの挨拶多いでしょ?

 

「わざわざありがとうございます。パーティー楽しでます」

 

 お料理は普通だし、お酒ばっかりで飲むのもないけど、海くんが楽しめてるから嘘じゃないよ。

 

「それは良かった。お恥ずかしい話ダンジョンには入った事もないのです。ダンジョンについていろいろとお話しいただけませんか?」

 

 ダンジョンについてと言われても何かあるかな?

 

「魔物増やしたり、トラップとか部屋とか作ったり、宝物を準備するだけですよ」

 

「おお素晴らしい、宝物はどのくらい準備できるのだ?」

 

 なんか顔色悪くて疲れてるのに偉そうになってきた。じゃなくて王様は偉いのか。

 

「たくさんは無理です。資源に限りがあります」

 

 DPの仕様とか今のDP量とか説明するのはめんどくさい。そんな事をしてたらパーティー会場のレアな海くんを観賞する時間が減るじゃん。早く次に行ってくれないかなぁ?

 

「それは初耳だ。資源があれば宝はいくらでもつくれるのか?」

 

 王様って暇なの?本当に帰ってくれないかなぁ。

 

「いくらでもは無理です。ダンジョンの大きさも時間も有限なのですよ?わかってますか?」

 

「何も知らんのでな。それでは仕方ない。単刀直入に言おう。我が国にダンジョンの恩恵を提供しろ。今より増やせないのならシバル王国と分け合う事は出来ない。返事は今すぐとは言わんが、そなたらが帰るまでに聞こう」

 

 はぁ?なにそれ?黙って帰ってやろうか?こっちも要求あるし帰らないけどさ。

 

「考えておきます」

 

「ユウキ様、サイオン様、楽しんでおられますか?」

 

 今度は切れやすいお爺さん改め、面白いお爺さんで自称偽物宰相さんだね。

 

「アシ侯爵家の隠居した老人が陛下の邪魔をするとは何事か!」

 

 取り巻きがキレたよ。バンパ王国はキレやすくて怖いねぇ。仲良く出来る気がしないよ。

 

「吸血種として当然の行いをしたまで、何しろサイオン様はセルファナス皇族の直系血族なのです。そして封印からサイオン様を開放されたのがユウキ様です。そうでしょう?」

 

「確かにサイオンは地下の部屋に閉じこられてたね」

 

「ユウキ!!バラしゃだめでしょ!決定的な証拠はないし僕はセルファナスを継ぐつもりもないから良いけどさ。ハァ~、めんどくさい事になったよ」

 

「なんだと!?それではそこの娘が正当なるセルファナス帝国の後継者というのか!」

 

「我が国の法も民も全てはバンパ王家よりセルファナス皇族を優先いたしますな」

 

「証言以外の証拠が無かろう?認められぬな」

 

「状況証拠はまだあります。セルファナス家の家系図には皇帝陛下の娘として名があり、結婚歴も死亡歴も葬儀の記録もありません。そしてなぜか魔王の氷結封印が同時期にされておりますが封印された魔王も場所も不明です。そして、本来は喧伝されるべきこの封印は隠蔽された形跡もあります」

 

「なんだと!?」「それなら我々が仕えるべきなのはサイオン様では?」「セルファナスの後継者として、優先すべきは血筋か?それとも彼女の意思か?貴族としてどうすべきだ?」「バンパ王国なのだ、今更セルファナス帝国に戻れるのか?」「決定証拠はない偽物かもしれん」「陛下と子をなし確実にセルファナスの血筋の王を誕生させればよかろう」

 

 なんだかザワザワしてます。このお爺さんやらかしたよ。私のせいじゃないけどサイオンが大変なら謝らないとね。

 

「えっとなんかサイオン、ごめんなさい」

 

「これはあのアシ元宰相はこうする気だっただろうからユウキは悪くないよ。でもどうしようか?」

 

「黙って帰る?」

 

「それしたらネイとレイナが禿げちゃうよ」

 

「それはだめだね」

 

 名前も聞いてない国王がいつの間にか高い所にいて叫んでいる。

 

「今日の晩餐会はここまでとする!王家がセルファナス帝国と資料を確認し対応を決める」

 

「しかし陛下!アシ侯爵家の隠居とはいえ元宰相閣下ですぞ、怪しい資料などではこんな事はしないはずではないですか!!」

 

「先にダンジョンに行っておる口裏を合わせるくらい簡単であろう?念の為すぐに確認するだけのことだ」

 

「陛下の口裏合わせを否定できませんぞ」

 

「念の為ならば彼女を政治からはずために幽閉し陛下と子を成してバンパ王家が確実にセルファナスの後継者と成れば良いでしょう」

 

 貴族達がなにやら言い争ってる。サイオンは私の家族みたいなひとなんだけど?扱いひどくない?


「サイオンの事を物扱いとか最低だね」

 

「政治なんてこんなモノだよ。特に後継者とか、血族とか相続は揉めるからね」

 

「ここにいても仕方ありません。一度、応接室に戻りましょう。」

 

 キアリーさんの提案してくれる。

 

「今夜は寝て明日考えよう。頑張れ明日の私」

 

「もう最低だよ。戻ろうか」

 

 こうして晩餐会は変な終わり方をしたのでした。

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