139話 間話 劇薬反応直前

 キアリー side

 

 

 私には執事仕事の兼任は重すぎるので、エルザ様に任せて私はメイド仕事、つまりユウキ様の身の回りのお世話に専念しています。

 

 ユウキ様もカイ様も親子だからなのか、自由人過ぎます。エルザ様さえ驚かせるのですから、ユウキ様に仕えるのは大変です。

 

 今はバンパ王国がのアシ元宰相が帰って晩餐会の準備中です。

 

「キアリーさんは参加するの?」

 

「側に控えております。」

 

「話す人いないかもかぁ。海くんと人前で遊ぶのはやだしな」

 

「バンパ王国の貴族達が話しかけてきますので、食事が出来るか心配したほうがよろしいかと存じます。」

 

「ご飯はキアリーさんの方が美味しいだろうからいいや」

 

「食べないと大きくなれませんよ」

 

「大丈夫だもん。エルフだし巨乳になるもん」

 

 ユウキ様は胸のサイズにこだわります。大きいと重いですし大変ですよ。カイ様は大きさはそこまで、お気になさらないので、そこまで気にする事ではないと思います。

 

 ユウキ様相手にはからかうためにカイ様は、小さいと言ってますがそれだけです。さて着付けから髪のセットまで終わりました。

 

「ドレスとても似合ってますよ。」

 

「エヘヘ、ありがとう。海くんはどう思う?」

 

「優姫は何を着ても可愛いけど、今のドレスもとても可愛いな」

 

 いつもの服装も褒めつつ、ドレスアップした姿の感想もしっかりと、言葉数こそ少ないですがカイ様は気が回ります。

 

「ありがとう。海くんのオシャレな姿も堪能したし、もう晩餐会とかどうでもいいかな」

 

「晩餐会のためにドレスを着替えたのですから、参加して下さい。」

 

「はーい。頑張ります」

 

 やる気はなさげですが、ユウキ様はなんだかんだとやることはやるでしょう。

 

 私はフリル付きのメイド服で、サイオンはドレスアーマー、カイ様は護衛なので金属性の鎧が正装なのですが、重いと嫌がってレザーアーマーを着ています。

 

 ユウキ様がダンジョンメニューから作ったので性能はそれなりに高いですが、それ以上に色がメタリック深紅と目立ちます。あくまで見た目は、ドレスコード用で実戦向きではありません。ありえない色ですがダンジョン産で押し通しました。

 

 いつもは動きやすく地味な色の服装が多いカイ様ですが、この姿はカッコいいです。

 

「カイにこの深紅は似合うよ。控え目に言って最高だよ」

 

「だよね!!思い付いたキアリーさんは凄いよね」

 

「実行したユウキもグッジョブだよ」

 

 サイオンとユウキ様が盛り上がっています。深紅をメタリックカラーにしたのはユウキ様ですが、黙っていましょう。

 

「キアリーも素敵だな」

 

「ん~~!ありがとうございます。カイ様のイメージにとても合って好きです。」

 

 カイ様はこういう不意打ちがあるんです。いきなり褒めるんですから卑怯です。

 

「そうか、なら私服はこの色で揃えるか?」

 

「「「!?お願いします!!」」」

 

 一瞬でサイオンとユウキ様と私の心は一致団結しました。カイ様のオシャレな姿はたまりません!!

 

「晩餐会より海くんの私服を考えなきゃ!!」

 

 ユウキ様それは・・・カイ様の私服なら許容しましょう。適当に場に居ればどうにかなります。

 

「青いスーツに深紅のスカーフとかいいよね?」

 

 サイオンはワンポイントですね。ありですがスーツはカイ様が普段は着ないのでは?いえ頼めば着てくれるはずです。青と深紅のコントラストは素晴らしいでしょう。

 

「カジュアルな深紅のシャツは外せません。下着も合わせましょう。」

 

「キアリーが一番ムッツリだよね。でも下着も合わせないと行けないのは納得するよ」

 

 サイオンが一言多いですが、今は許容しましょう。カイ様の私服は尊いのです。

 

「青いデニムとメタリック深紅のシャツはどうかな?」

 

 上下のコントラストなんて素敵です。

 

「やっぱり白シャツに深紅のボトムスはどうかな?」

 

 サイオンそれも素晴らしい。白と深紅は絶対似合います。やっぱり皇族や宮仕えしてたサイオンのセンスは良いです。

 

「黒に金色で刺繍して深紅のマントはどうかな?」

 

 ユウキ様!?想像だけで何回もイケます。

 

「マントもいいけど、深紅の花を胸ポケットに入れてもカッコよくない?」

 

「きゃーー!!サイオンそれは採用!」

 

「白地に深紅の刺繍も良いと思います。」

 

「おおキアリーいいね!やっぱりカイあの赤を中心に青か白を合わせてるのが良さそうだよ」

 

「あえての深紅と緑はどうですか?」

 

「やっぱり・・・カイなら似合う。カイそのものが最高だから何でも格好良くなってしまう。あぁ早く帰って服をつくりょうよ」

 

 サイオンが半ばとけてます。晩餐会が終わるまでは耐えて下さい。

 

「ごほん!これからこの国の国王の晩餐会なのです。皆さん大丈夫ですか?」

 

 エルザ様が見かねたのか、咳払いして注意します。

 

「僕はバンパとか興味ないよ」

 

 サイオンはやる気を失っています。

 

「晩餐会はちゃんとします。早く帰りたくなっただけだよ」

 

 ユウキ様はギリギリアウトのヤル気ですね。小言を受けますよ。

 

「国王陛下の晩餐会は王家の威信がかかってますのでしっかりとお願いします。失礼なことをすると大変な事になりますよ」

 

 ぶっちゃけサイオンがセルファナス皇族と言う方が大変な事になりますが、黙ってましょう。

 

「紳士淑女としての心構えはですね・・・・・・・・ガミガミ・・・・・・」

 

 エルザ様の説教とアドバイスは開始時間ギリギリまで続いたのでした。

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