027話 黒剣団の実力
海くんが心配な優姫です。
水魔法の攻撃はバリアで拮抗したけど海くんは再び接近を開始する。
「何度でもシールドバッシュで防ぐさ、見ていてくれよモナ!」
シールドバッシュでガムイが防御をするけど海くんは水面を地面の様に蹴り、キュッと真横にスライドしたことによりフェイントになり大盾を違う方向に向けさせる。
どんな理屈で水面でそんな急な動きが可能になるのですか?足が沈むよね?水飛沫こそ立ってるけど沈むよね?ね?物理法則よ仕事して!!
「しまった!」
再び盾を飛び越えるのを警戒してた剣士も反応が間に合わない。
そこへ斥候の狼獣人がフォローのために海くんに斬りかかる。スピードファイターみたいで、タンクに斥候と剣士に防御魔法使いとバランスの良いパーティーだね。
海くんは向かって来る剣を両手で真剣白刃取りをあっさり成功させる。そして全体重を後ろにかけて水中に引き込むように引っ張り、斥候の体勢を崩させる。
まさかの真剣白刃取りに斥候の獣人の男は剣を手放すなんて対応は出来ない。そのまま海くんは足場の側面を蹴った力も使って後方に跳ぶようにして、斥候の狼獣人を水中に引きずり込む事に成功する。
後ろをチラッとも確認しないで相手の行動から目を離さないのは凄いだけど、普通は出来ないと思う。
海くんの戦闘は堅実で派手さはないけど、確実にダメージを与えるために急所を狙うし、防御もすり抜けたり、攻撃は全回避したりと地味だけど強いよね。
そういえば、私をオークから助けてくれた時は、明らかに肉食で生き物を食べた直後の謎人型生物に私が触れたりしないように、一撃で葬るためと、手を使わなくていいようにするために大技を選択したって言ってたよ。
血が着くと病気になるかもって私に気を使ったらしいよ。海くん優しいよね?
私を抱いたまま足で出せる技で一番の威力があるのがあのサがマーソルト式脳天落としだったんだって。
海くんは引きずり込むと底と狼獣人を氷で固定して水面に上がれなくしてしまう。金属の装備品も多いし放置しても沈みそうだけどファンタジー補正のありえない力で浮上できるかもだけど、あれだけ固定されたらどうにもならない。
「えげつないよ」
目の前で仲間が水中に囚われたら溺れる前に助けないといけないから焦りが出て、判断ミスと連携の崩壊を狙ってるのかな?
これが本来の海くんの接近戦闘スタイルで、卑怯とか非情な攻撃をためらいなく行って、圧倒的な回避力と命中力で急所に当てて相手を削って行く。
海くんは底を蹴って一気に水面に上がってくる。
『オーエテ!!すぐに助けるからな!!』
リーダーが叫ぶも海くんは気にしない感じで水面から飛び出すと水面蹴りを前進して攻撃を開始する。
ところでいつでも倒せるからって水中放置で止めを指さなくて逆転されないよね?何分かすれば溺れると思うけどファンタジーって平気で何時間も息止めそうじゃん?海くんフラグ建ててたし心配です。
私の心配も知らない海くんは大盾のシールドバッシュをギリギリで回避している。というかどう見ても当たってない?
リーダーの冒険者が槍で突いて、剣士が斬りかかる。海くんは槍をギリギリで回避するとか剣はナイフで受け流して、モテない女性の腕に剣が当たりフレンドリーファイヤとなる。これも狙いなのかな?
「すまん、モナ手当を頼む。」
「ファイヤボール!分かったわ!」
モテモテのエルフが魔法で援護すると海くんは直撃してしまう。それでもナイフを盾のように使ってダメージは受けてないみたい。いや相手の懐に入るためにあえて受けたのでなく受け流してダメージを無くしたのかな?
モテモテエルフは魔法の詠唱をしながらケガの手当てを始める。女冒険者の出血は酷く止血が間に合わないと命の危険がありそう。
槍の連続攻撃が繰り出されるけど海くんが近くて力が乗っていないのか、海くんが完全に予測しているのか、簡単にナイフで流していると剣士の突撃と大盾のチャージが絶妙なタイミングで繰り出される。
海くんはまるで知ってたかのように攻撃の隙間へあっさり身体を滑りこませる。カウンターの水魔法で自分の背後水にを大量に持ち上げると一気に濁流で冒険者達を押し流そうとする。
冒険者達は素早く大盾の裏に集まり流されないように固まる。海くんは水の勢いも味方につけて剣士の頭を掴みそのまま濁流に任せて足場から引き離す。
「テナイ!」
濁流を乗りきったリーダーが叫ぶけど剣士は水底に氷で接着されて、もがいてる二人目になってしまう。
鍛えてるからなのかファンタジー補正なのか息が長く耐えているけど海くんは魔力変換に使うから止め刺さないのかな?それとも想定外なだけ?
海くんはまた底を蹴って水面上に飛び出す。そのまま空中で半回転すると天井を蹴りリーダーの真上から強襲する。
大盾のガムイは想定外の海くんの挙動に動けないし女性陣はケガの手当てをしているから、一対一になっている。海くんがこうなるように狙ったのかな?
海くんは見事な連携のパーティー相手に各個撃破で一気に倒すのではなく堅実に一人一人削ってる。
リーダーは何とか反応して空中の海くんに槍を繰り出すけど海くんは槍を掴んで引っ張るのではなく、自分をリーダーの懐に入り込ませて、真横に立つとそのまま大外刈のような投げ技でリーダーを投げる。
水面にリーダー頭から突っ込まむようになり、海くんはリーダーを沈めて水底に氷で固定する。確認もせずに即、海くんは水上へ戻る。
『ワスレまでやられるのか!?ここは俺が食い止めるからお前達は逃げろ!』
3人が沈められて敗北を認めて撤退をするみたいで女性陣は扉を開けて出て行く。
『逃げていいぞ、防衛で十分だからな』
『一緒に生きてきたんだ、幼なじみの3人をおいて女は選べないさ』
『なら遊んでやるよ』
楽しそうに海くんが笑ってガムイを挑発している。
あれはあかん笑顔や。確実に海くんが満足するまでイジリ倒されるで。
いつもイジられてる私は思わず関西弁が出てしまうけどギャグモードだよ。関西圏の人じゃないけどね。海くんは戦闘モードから確実にSモード全開にギアチェンジしたと思う。
『死ねー!』
大盾でシールドチャージを出してくる。対する海くんは大盾の端でクルッとターンして回り込み大盾の内側に入り込むと、持ち手を捻りあっさりと大盾を奪い取り投げ捨てる。
冒険者なのでいくら盾専門とはいえ小ぶりのナイフくらいは持っていて、腰から抜くけど即座に海くんは柄を膝蹴りでナイフを飛ばしてしまう。
盾を失ったタンクのガムイは海くんに体格では勝っているから最後の手段で体重と力で海くんを押さえ込もうとする。
海くんはなんとか転けないで踏み留まる。でも力負けしないので精一杯で、押し返したり投げ技に変えたり出来ないみたい。
『あいつらは俺達が冒険者に誘ったんだ、ここで死なせるわけにはいかないんだ!!』
『そっちの都合とか関係ない、防衛をしただけだが?』
案外海くん余裕そうだね。少なくとも歯は食い縛ってないね。なんとかなるのかな?
『だとしても俺もプライドがある!!』
海くんが力を急に抜くことでガムイの体勢を崩し、押さえ込みから脱出すると間合いを空けてお互いに隙を探りあう。
あれ?水中の3人がいつの間にか動かなくなってDPが増えてる。
そんなことを気にしているとガムイがの突進するけど海くんは余裕で回避して、身体が真横に来たらカウンターでみぞおちに拳を打ち込む。
ガムイはカウンターに耐えて止まらずに海くんに再び押さえ込みを狙ってくる。
『うをぉーー!!』
海くんは突進の勢いを利用して後ろに投げる技、柔道でいうところの裏投げ?かなを決めて押さえ込みを防いぐ。
海くんは、背中から地面に叩きつけられて痛みで悶えているガムイの頭を蹴って、意識を奪うのであった。
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