200話 いつかのバトル再び? 3

 海くんの魔法戦闘は、まだまだ続くよ!!見逃さない優姫だよ。

 

 

 ファーレンが海くんに遊ばれてる時には、Aランクパーティーの深淵の光が素晴らしい連携で、ヴィシリアの魔法を防ぐ海くんに攻撃を仕掛けよう突撃している。

 

 先行するのは、斥候担当の小柄な男だけど、今までダンジョンで見た中でも一番疾いと思う。深淵の光への迎撃に5つの水球が反応してそれぞれ一つが1人に割り当てられる。

 

 それでも一つの水球は予備なのかな?海くん側に残って浮遊してるし、螺旋回転する海くんに従う龍みたいな水もそのまま続いてる。つまりは、水量だけなら海くんは半分も使ってないよ。

 

 そして先行する深淵の光の斥候に、海くんの水球が正対して出迎える。

 

 速度で振り切りを狙ってさらにスピードを上げるけど、それでも反射速度を超えて予知の領域か?というくらい素早く反応して水球は形を変えて、氷の壁と、壁の後ろに柱みたいな円柱の氷が出来上がる。

 

 どうやら深淵の光の斥候は氷の壁が完成するよりも早くナイフを海くんに向けて投擲していた。氷の円柱がナイフを止めたみたいで、氷の中に2本も閉じ込めてる。

 

『チッ、本当に魔法の速度かよ?』

 

「水魔法の発動速度と支配力に関しては神を超えていますからね。これぞ水の支配者と神々が呼び恐れるカイの実力なんだよ!!」

 

「それよりも海くんの反射速度とマルチタスク能力が尋常じゃない気がするよ?」

 

 どんだけ速くてもさ7人個別に未来予測的な防御をしながら相手して、水を螺旋回転させながらって、おかしくない?人間そんなに同時対処は不可能だよ?パソコンでもそんなことしたら処理落ちするよ?

 

「えっと、どういうスキルなのでしょうか?」

 

 キアリーさんが、疑問を口にする。

 

「カイのは、スキルじゃないよ。全部同時に、カイが細かいところまで動かしてるからね。組みあせてとかそんなレベルじゃないかな」

 

 エレンティアが魔法について解説してくれます。それを7人相手に個別にしてるから凄いよね。たぶんそれぞれ見て反応じゃなくて先読み(計算?)してるからね?

 

「それって7人同時に、会話するより難しいのでは、ないでしょうか?」

 

「そうだよ!!海くん支配者云々よりこの複数対応力が凄すぎだと思うよ。あれは魔法を真似するとかじゃ、なくてさ狙撃の真似なんじゃない?」

 

「それは、不可能ですね。」

 

「あんなの計算できないからなぁ」

 

 何十という補正項目を一発ごとに、計算してるらしい。連射するなら、その全弾を個別に計算して、答えの通りに手を動かすと当たる。

 

 理屈は分かるけど、人間には無理なんだよね。その計算は速度がさ、スパコンくらいは必要だよね?パソコンは無理だと思うんだよ。計算出来でもそんな精度で狙えない。絶対に海くん以外は出来ないよ。それとも地球ではそんな化け物達が戦争してるのかな?

 

 そんな話しをしている間に深淵の光の斥候は、壁の側面へ回り込み海くんへ接近を諦めない。ここで氷の壁は斥候へたくさんの丸い玉となり雨あられと、襲いかかる。

 

 進路を塞がれてなかなか海くんに、近寄れない。ここでファーレンがすっ転んで顔面逆立ちで、滑り倒れる。そこは深淵の光の斥候の進路である。

 

『ちょっと待て!?ファーレン!!何やってんの!?(笑)』

 

『もうヤダ』

 

『諦めんなよ!!』

 

 ファーレンを踏まないために無理に回避したところに、氷の玉が容赦なく猛攻を仕掛ける。体勢を崩して、たたらを踏んだところで、深淵の光の斥候の足元に、海くん特性異様にツルツル滑る氷が用意される。

 

『ヤバっ』

 

 深淵の光の斥候が当然ながらスッ転んでしまう。着地する前の空中で、呼吸出来るように顔だけ残して氷柱に、閉じ込められる。

 

『お前こそ何やってんの?』

 

 ファーレンのつぶやきに、いたたまれない空気が流れる。

 

『その・・・なんだ。遊ばれた・・・』

 

 Aランクの冒険者プライドで謝りこそしないが、コミカルな姿勢で凍結されて、精神のダメージは深そうだ。

 

『そうか・・・』

 

 空気を読んだファーレンだけど、海くんは空気を読まない。ファーレンを相手にしてた水球はムカつく感じで、ほら早くかかってこいよ。と煽る。

 

『『(--〆)』』青筋を立てて、怒る二人にも、早くぅ〜まーだー??と煽る。喋れない水球で、しかも操ってるのが海くんとは思えない感情の豊かさだよ。誰か監修したのかな?やるならサイオンかな?

 

 深淵の光の斥候は完全に固定されて動けないし、ファーレンは立ち上がる気力はないみたい。

 

 そこで深淵の光の斥候が投げたナイフを止めていた円柱の氷が解凍される。そして柄の部分に氷が纏わり付くと、ミサイルのように、後ろに蒸気を吹き出して超高速で飛行する。

 

 深淵の光の斥候の顔面スレスレで二本とも急旋回して、拘束してる氷に突き刺さる。

 

『死んだかと思った』

 

『命は保証されてるけど、チビッるところだったな』

 

 深淵の光の斥候とファーレンは心底恐怖した様子で、話すのだった。

 

 小心者な大男のファーレンがチビッたのかは、彼の名誉のために秘密にしておくかな。でも観客は満員だし、バレてる気もするけど、気にしてはいけません。

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