126話 閑話 マジで!?
近衛騎士団長 キーナン side
ワガママでラスボスの本気を確認出来るようにした。シバル王国にとってもダンジョンの実力を確認出来るチャンスなのは間違いない。新しく作ったという部屋に向かって歩いている。
思ったよりも遠いが最後の確認と集中にはちょうどよい時間だ。
ダンジョンマスターと仲間の信頼と評価は高いが奴の戦闘を見るにスピードファイターで特に防御力は低いと予想する。あれだけ避けるなら、防御力や耐性を鍛えられているとは思えない。避けるより防御力で受けてカウンターをする方が強く簡単だからな。
そして素早さがあるため攻撃力は低くないが攻撃ステータスは低いだろう。いくらAランク魔物とはいえ、格下相手に急所を狙い過ぎていた。回避と素早さにステータスを全振りなのだろう。
ならば本来の攻撃はどうするのか?おそらくは魔法か仲間やトラップなどを利用するはずだ。魔法は本人が使うところを見せてないため、全くの不明だがそれしかない。
ダンジョンマスターの発言からおそらくは部屋は満載のトラップ、または彼の魔法を補助すると予想する。トラップは彼を巻き込む可能性があるし、魔法の補助は相手も補助してしまう欠点もある。
欠点が少なく向いているのは毒物だろう。刃に猛毒を仕込むのは暗殺の手口で格上のステータスを突破するメジャーな方法だ。傷さえつければ殺せるのだがそれほどの猛毒なら取り扱いが難しく自傷で死ぬリスクがある。あれだけの回避なら取り扱いがしっかり出来るだろう。なら戦闘中リスクは回避は可能だろう。
そんな程度なら楽勝だが・・・そう簡単にはいかないだろうという予想は裏切らないで欲しい。
『海くんは準備万端だよ。いつでもどうぞ』
ダンジョンマスターから案内してもらったがまだ入口にたどり着いていない。先に着いて待つことはなく始められそうだ。
「了解した。着いたらすぐに始めよう」
そして少し歩き重厚な扉にたどり着く。ラスボス部屋の再現なら開ければ開戦だろう。
一息入れて扉を開けると水と緩やかな坂がある。天井は少し変わった形で高くはないが場所によって高さが変わっている。
スキルに反応はないが殺気を感じ剣を抜き対応しようとすると、ガキン!と凄まじい衝撃をミスリルの宝剣に受ける。無スキルによる投石か?しかし先程の大きな音はなんだろうか?トラップか?
坂の上にラスボスを見つける。3,000メートルという距離があり有効な反撃は魔法を使っても難しい。ならばこの坂を駆け上がるしかない。あの攻撃が連続して可能なら防ぎながらは難しいだろうが行くしかない。
戦場で鍛えた対人スキルを発動させてステータスを上昇させ突き進む。閃光がラスボスの手元から連続で放たれ、先程より強い殺気を複数感じる。
「一撃目は様子見でここからが本気か!!」
遠く、さらに大きな音も発生しており返事はないが、次々と正確無比に何かが飛んでくる。避けて僅かにでも体勢を崩せば建て直せない威力と連続攻撃だ。もちろん防御も失敗すれば同じ事だが、飛ばされている何かのスピードが速すぎて、全てを避けきれない以上最低限の防御をしつつ進むしかない。
※対物ライフのセミオート射撃で大きな反動を受けながらもスコープなしで精密な射撃をするという離れ業を披露しています。
ガキン!!ガキン!!
見てからは間に合わない速度のため、殺気と感を信じて剣を合わせている。それでも凄まじい衝撃が剣に伝わる。鎧で受けては無傷では済まないだろう。鎧が破壊され貫通する威力が十分にありそうだ。
駆け上がる間、1分に30発以上受けている現状では剣を握る握力が持たないかもしれないが、感じる殺気に合わせて剣で防ぐ他に方法がない。
近づくに連れて狙いの精度が上がりついには鎧の隙間をそれも防御姿勢まで考慮して狙われている。それが次々と飛来する。それでも剣を合わせて防ぎ坂の残り半分を超えた。
そこで武器が変わりとんでもない速度で攻撃が放たれる。
急所だけは守り残りは受けたが魔法鎧がなんとか持ちこたえる。一発の威力が低くて助かった。
致命傷は受けていないがノーダメージ出はない。衝撃や飛んできた何かによる衝撃はかなりの痛みとダメージを与えて来ている。
狙いの精度は僅かに落ちているが、それでもほぼ全ての攻撃が私に当たるか回避のすると急所に当たる程度は集中していた。
続けて狙いが正確無比で重い攻撃が再開される。これをダメージのある鎧に受けるわけにはいかない。先ほどのとんでもない連続攻撃出さえ受け続ければ危険なのに、防具を貫通しかねないこの攻撃はヤバすぎる。
この消耗から、接近しても勝てないかもと頭によぎったその時、攻撃を受け止めたミスリル製の愛剣が限界を迎え根元から破壊される。
「なに!?ミスリル製の剣が折れただと!?」
防御魔法が付与が与えられているが薄い鎧とは違い、素材からして強度が圧倒的に高く厚さもある剣が折れるとは思ってもみなかった。
残りまだ1,500メートル魔法で反撃もまだ遠すぎる。
そしてラスボスの攻撃は私の肉体を外し鎧の端々を破壊する。
「まだ手加減する余裕すらみせるか、剣の壊れるタイミングすら見切られていたことだし私の負けだ」
攻撃が止まり、暫くしてダンジョンマスターの声が聞こえてくる。
『えっと勝負ありかな?海くんの勝ち?』
「このまま続けても殺されるだけで無意味だ」
『・・・・海くんもそう言うなら海くんの勝ちね』
少しの間はラスボスの意見を聞いていたのだろう。
『それじゃ帰って来てね』
こうして死合は負けで終わった。
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