057話 閑話 清潔感の大切さ

 ラスボスがヤバいダンジョン冒険者ギルド受付嬢ナーシャ side

 

 

 今やダンジョンの攻略拠点というより村の開拓ようになってます。

 

 ガムイとモナという夫婦がやって来てダンジョン洞窟内で農家として準備しているほどです。

 

 モナというエルフは回復魔法の使い手なので、ダンジョンに潜る冒険者の怪我の治療で稼ぐつもりみたいです。そして農家と兼業すれば安定した裕福な生活が送れるのは間違いないでしょう。

 

 シバル王家が建築費の立て替えと5年間の税を無しにするそうで、来年から建築費は35年分割払いで支払いすればいいそうです。金利を取るので実際には金をためて早く返す者が多いと思います。

 

 洞窟の中で農業とは無理な気がしますが、朝昼夜と明るさが変わるし、外と変わらない環境なので可能性は十分にあります。水も川?湧水?があるので大丈夫でしょう。

 

 モナは恐妻家みたいですが回復の仕事をしてもらうだけなら私に被害はないでしょう。

 

 それと、ウレナイとライバルになりそうな商人の、サビス兄弟がやって来てウレナイと話して店を構えることになた。ラスボスがヤバいダンジョン商人ギルドを作ったって冒険者ギルドに報告に来ました。


 ギルドにより安売り競争を防いで利益を確保する。相互扶助組織で、このタイミングで出店ならシバル王国がバックアップしているでしょう。この新規ギルドに加入しないことは国に喧嘩を売ると言えます。

 

 サビス兄弟は素材屋兼肉屋を営むそうで、兄がアカラブ・サビスで買い取りと解体担当、冒険者ギルドのライバルです。

 

 依頼の手数料と冒険者の持ち込み素材の販売が冒険者ギルドの収入元ですからね。まぁ素材屋も仕入に冒険者ギルドも使いますからお得意様でもあります。

 

 弟のマイナン サビスが販売担当ということです。肉をウレナイのレストランに卸すそうです。

 

 なんでも冒険者にギルドを通して依頼するより安いらしくウレナイが喜んでました。その肉冒険者ギルドより高く買ってますよね?赤字じゃないですか?安い肉の販売程度は気にしませんけども。

 

 そしてウレナイの宿に一人の冒険者が泊まっています。

 

 ヴィシリアというドワーフで主に二階層目でホーンラビットとガーデンバードを狩ってアカラブ・サビスに売って生活してるそうです。発見者でBランクなので探索許可はあっさり降りましたよ。

 

 冒険者ギルドとしては出張所ギルド運営費としてダンジョン二階に入るための手数料をもらっています。この手数料と国からの業務依頼料だけで、冒険者ギルドは黒字なので今のところは余裕です。

 

 冒険ギルドは黒字ならあまり金の出入りは気にしない組織なのです。

 

 ダンジョン産の装備品以外は冒険者のものにするとシバル王国が決めており、冒険者ギルドはチェックしダンジョン産の装備品を全て国に納めるています。装備品は国が強制買い取りなのです。買い叩いてますがそんなものです。

 

 残りの業務はダンジョンの異常がないか監視などですがダンジョンマスターと対話出来るのだから無いようなもの。

 

 素材の依頼の場合は冒険者ギルドで素材受け取り、報酬を冒険者に支払います。


 素材の配達は低級冒険者の仕事として出されています。街や村の外でも街道なら低級冒険者でも大丈夫なのです。遠い場合は近場のギルドからギルドへ細かく依頼が分割されます。


 その分はもちろん依頼者持ちです。

 

 素材屋の仕入れは冒険者ギルドからが多く、自前で輸送したりして販売します。


 冒険者ギルドは大量保管する倉庫はありますが、遠くに輸送するには量が少なく遅いのに輸送費は高いです。


 個人やパーティーで持てる量なんて限られますし、乗り継ぎのように細かく配達依頼するので仕方ないのです。高ランクの冒険者は配達依頼なんて安くてやりませんから即日送れないことも多いですしね。

 

 意味のない考え事をするほど暇をもて余していると、ヴィシリアが今日もダンジョンの狩りを終わらせて帰って来ました。

 

「冒険者として長くやって来たのじゃがここは最高の職場じゃ」

 

「お帰り、それでは身体検査と荷物の確認をします」

 

 装備品の勝手な持ち出しがないかのチェックは必ず必要です。

 

「そんなに稼ぎ良くないでしょ?入るための手数料も安くはないですからね」

 

「安全でアカラブが解体はサービスする上に高値で買って貰えるのじゃ。宿代も手数料も簡単に儲けれるじゃよ」

 

「マイナンが肉を安く売ってるから、買い取りは安いのでは?」


 やっぱりライバルは倒産しますね。仕事が増えても私の給料増えないので潰れなくても気にしませんが。

 

「買い取りは相場より高いのじゃ、商人がそうしとるのじゃから大丈夫じゃろ」

 

「そうですか。荷物も大丈夫です。お帰りください」

 

「またくるのじゃ」

 

 冒険者ギルドとしてはまだダンジョンが成長しているのと、国からのお達しでDランク以上の冒険者は手数料だけで他の制限はしていません。許可証の発行申請だけは必要ですが、経歴に問題語なければ通ります。

 

 ヴィシリアは最初は不潔で酷かったのですが、宿に泊まると綺麗になってました。

 

 モジャモジャの髭は整えられて豊かなストレートひげになってます。

 

 服もボロボロから冒険者らしい装備と洗濯されたオシャレな服になってます。

 

 髪はてっぺんハゲですが、散髪されて清潔感が漂う、ダンディーな老ドワーフになりました。

 

 装備や生活必需品は冒険者ギルドに依頼を出して王都ローフから届けて貰ってます。金持ちなBランクの冒険者です。

 

 建築労働者達は王家がまだ依頼を追加したらしく何軒か建てて帰るそうです。

 

 宿兼レストランを建てたウレナイが雇った建築労働者は帰りました。

 

 宿にはミュウニーという鳥人の女の子がいて料理から配膳までレストランを任されてます。

 

 かわいいし、美味しいので食事はレストランを利用しています。

 

 なにかしら悪さをするやつがいたら私の社会的抹殺魔法の股間漏らして成敗します。

 

 ただ水を少量胯間付近に召喚してるだけですがね。

 

 私は地図作成や攻略情報整理も終わらせてますし、勤務時間が終わるのをぼーと暇しながら待つのでした。


 ダンジョンに冒険者が増えたら攻略情報整理に死者の対応、鑑定買い取りに地図販売そして絡まれたら胯間濡らしなどで忙しくなるので暇は今だけでしょう。

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 裏話

 

 清潔になったヴィシリアが優姫達に会ったときのこと。

 

「これだれ?」

「僕、ドワーフのおじいちゃんに知り合いいないよ」

「はて?見覚えがない方です」

「はじめまして、キアリーと申します。今後ともよろしくお願いいたします。」

 優姫、サイオン、ネイ、キアリーの順番である。

 

「これヴィシリアだぞ」

 

「「「「えーーー!!うそだ、ヴィシリアのアイデンティティーが失われてる」」」」

 

「声を揃えるところじゃないじゃろ。いったいワシはなんだと思われとったのじゃ?」

 

「不潔モジャモジャてっぺんハゲ」

「不潔でキモい髭ドワーフ」

「不潔な肉壁」

「不潔な便利屋ドワーフ」

 優姫、サイオン、キアリー、ネイ全員酷い覚え方である。

 

「酷いのじゃ、グレるのじゃ」

 

「どんまい、これ食べて元気出せよ」


 海くんに肩を叩かれて慰められましとさ。もちろん海くんの手料理を口に放り込まれ悶えました。

 

「ありがとうなのじゃ。ガッハ!!不味い!!!ノォーーーーーーーーーー!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る