055話 間話 敵の敵は味方

 優姫が遊ばれて疲れきり、寝た後海くんは満足してうみにエサやりにラスボス部屋に行ったリビングである。



「ねぇーねぇー、僕思うのだけどカイが一番好きなのはユウキじゃない?」


 サイオンがキアリーとネイに質問をぶつけている。


「確かに私達への特別とユウキさんへの特別ならユウキの方が上でしょうが女性と子供ですよ?ー♪」


「カイってさ恋とか知らないしって感じで、そもそも女の子の身体とかに欲情してなくない?」


「女の身体を触るので満足してますね。」


「翼がお気に入りだよー♪」


「それってさ、ユウキが大人になったらエルフだからさ胸はあるし、美形で僕達は年をとってる。ヤバくない?」


「・・・ユウキ様に勝てる気がしません。」


「時間はあるけどー♪カイさんの一番はまだ無理そうかなー♪」


「だからさ僕思ったんだ、足の引っ張りあいしてるとユウキに全部持っていかれるって」


「なるほどー♪二人は降りるべきだと言いたいのでしょ?ー♪」


「私はカイを諦めたくありません。」


「違うよ。僕達三人でカイ落とそうよ。カイでも三人でせまれば既成事実で女の楽しみを知れば、最低でもユウキと引き分けに出来るでしょ」


 意外なことにヤンデレで独占欲が強そうなサイオンがハーレム化の提案をしている。


「それでもみんな一番が欲しいから同じことでしょう?ー♪」


「カイはハーレムになるべきだよ。それなのにこのままだとユウキが正妻になって見向きもされなくなっちゃうよ。庶民は知らないけど男は女の子を囲うものでしょ?血が繋がって無い養女から愛人とか妻って多かったし」


 セルナファス帝国の常識は大丈夫だったのだろうか?もう滅亡してる原因じゃないかと心配しても良いかもしれない。


「妾や愛人を後継ぎのために、政治的な繋がりで年の差なんて関係無く結婚しますが貴族だけです。カイ様は関係ないのでは?」


 キアリーは庶民派みたいというかまともな感性持ってる。そして貴族に該当するとは思っていない。


「貴族は武力で権力を握った人の子孫だよ。ダンジョンの支配者のカイとユウキなら爵位もらう可能性があるよ。その時にまだならもう公式には側室にも成れないかもよ」


 正室が妻、側室は愛人、妾となり、子供に継承権がある。もちろん継承順位の決まりなど色々面倒はあるが継承権は大切だ。


 なぜなら継承権が無ければ家族とも認められない。もちろん母親も家族とは認められない。


「!?確かに上ではシバル王国による村作りが進んでいます。ネイ様が居るにしても貴族にして安心を王家が求めてもおかしくありません。」


 キアリーさんがサイオンに落とされた。


 爵位という褒美と同時に鎖なのだから繋がりを深くするのは当然なのだ。そして優姫ちゃんが女の子、ならその親のカイが政略結婚のターゲットになる可能性は高い。


 なぜなら男を出すと継承権やら乗っ取りの疑いやら面倒だし婿養子にしてもぽっと出の平民相手、プライドが邪魔してトラブルの予感しかない。そんなことは王国は望んでいない。


 逆に女の子は男の貴族の子弟が冒険者になることが多いため結婚相手には苦労する。男の総数が足りないから側室になるのだ。爵位を授けられた平民でも正妻ならなり手は居るだろうから適正が高い人を選べる。


「もし爵位を貰わなかったら、妻は1人だけ、そしてユウキも絶対狙ってて、カイ様子からの一番だよね?かわいいって言われてるのユウキだけだし」


「「!!!」」


「そうですねー♪奪い合いしてる間に出し抜かれそうですねー♪」


 まさかの、工廠のプロであるネイも説得されるようだ。


「それならさ。カイを平等に分け合えばいいよね?既成事実があれば側室にも可能性があるし、貴族が送りこまれても私達が先だしハーレムをカイの常識にすれば上手くいくよね?」


「ハーレムに慣れていて、ここのルールがあれば誰が来ても蹴落とされませんね。」


「ユウキに一番をとられたら私達の勝ち目ないし、確かに三人で協力して迫るのはありでもー♪誰から既成事実をするのですか?ー♪」


「僕は初めてで怖いし、三人同時がいいなーて」


「初めてが怖いから巻き込むつもりですか?」


「ダメかな?喧嘩しなくなって僕もしやすくて名案だと思ったんだ」


「ありですねー♪順位とかなく、ユウキに負けない同盟でカイさんをゲットしようというのですねー♪私はセフレでもいいし出遅れてるのでラッキーですー♪」


 ネイ様ぶっちゃけすぎである。男は種馬だったのが子供にも王位継承権がない形だけは国外追放の公爵なのだが、自由すぎる。ネイの交渉テクニックなのだろう。


「私は一人でカイ様に愛されたいです。いきなり複数プレイとかハードルが高過ぎます。」


「でもカイが望めばいいんでしょ?」


「・・・どうしてもとカイ様に言われればやりますが、こちらからは嫌です。」


「私が思うにカイさんって性欲ないから生半可な押しでは無理よねー♪だけど押し倒すには強いしー♪待ってるとユウキが大人になるというリミットもあるんだよー♪協力しましょうよー♪」


「ネイはセフレ狙いなんですから、余計に協力したくないのです。」


「私も初めてだからどうしたらいいのか分からないからー♪キアリーお願いー♪」


「えっ御二人共に未経験なんですか?」


「僕は皇女なんだけど、姉妹兄弟が多くてもう嫁ぐ相手がいなくて結婚相手がまだ子供だったから」


「私は結婚する前に女王になってー♪婚約者を討伐しましたからねー♪結婚なんて出来ませんでしたよー♪」


「キアリーお願い!僕も女になりたいから助けてよ」


「えっと私も19歳でまだ未経験なんです。初めてくらいロマンチックに愛されたいです。」


「「「・・・・・」」」


「えっと、キアリーごめん。僕、平民は早くてキアリーならもう経験済みかとおもったよ。本当にごめんなさい」


「キアリーさんごめんねー♪私はキアリーさんを応援してるよー♪私一人は自信ないからサイオンさんと頑張るねー♪」


「んー、僕は無理に一緒にしたいわけじゃないし勇気が出るならそれでいいかな」


「問題はカイさんを欲情させる方法だよねー♪」


「えっと僕が脱いだらカイに任せたらいいのかな?」


「脱がせてもらった方がいい気がするよー♪」


「そこはムードとか、お酒とかいろいろありませんか?」


「子作りが出来たらいいんだよー♪王家を絶やしてはいけないからねー♪もう継承権ないから出来なくも困らないけどー♪」


「私も一緒に誘惑します。」


「キアリーいいの?ロマンチックに僕出来ないよ」


「放っておくと大変なことになりそうなので仕方ないです。カイ様を早く落としましょう。」


 たぶん先に2人が海くんを落としたらヤバいと焦ってるのだろう。相手にされなくなるのはそりゃ嫌に決まっている。


「キアリーありがとう。僕、キアリーもネイも好きだよ」


「これで私達の立場も欲も安泰ですー♪」


「はぁ、そうなんですが何か納得がいきません。とりあえず私のロマンチックを諦めたのでいろいろと納得が出来るようにお願いいたします。」


「キアリーさんに感謝してるから私が稼いだDPなら少し提供しますー♪」


「僕はキアリーもネイ守れるように侵入者撃退と、新人をなるべく増えないようにする」


「そういうことじゃないです。カイ様の落とし方を相談しましょう。」


「作戦はキアリーに任せるよ」


「キアリーさんがなるべく良くしていいですー♪三人だけどロマンチックになるように頑張りましょうー♪」


 ロマンチックな海の押し倒し作戦はこの後即時決行されて三人共に愛されたのでした。

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