020話 高難易度クエスト

 お待たせしました優姫です。



 さてドワーフのヴィシリアをキープかフラグ折るか判決しなければですね。


 判決はお爺さんなのは無罪だが、不潔な髭とモジャモジャヘアは有罪です。テッペンハゲは・・・うーん、個性なので良し、全体ではギルティ!


「一緒に住むとかやだ。お外に居るのならいいよ。助けてあげたお礼は、美味しいお菓子がいいな。そうそう調理器具、特に鍋以外が欲しいかな」


 刃物と鍋だけはエルフから貰えるけど他の物は手に入らないからフライパンとかお玉とかいろいろあると助かるのよね。


 刃物もエルフのやつはすぐに切れ味が落ちるし品質も悪いから多くて困らないしね。海くんは研いで使ってるけど良い物ほしいよ。


 道具があっても美味しい物は食べられないけど、だからこそバリエーション増やしたい。不味いけどね。


「家も金もなにもないのじゃ・・・」


「あそこの洞窟ならいいよ、引き払う予定だけど私達も住めたし大丈夫だよ」


 今まで住んでたところなら問題ないはず。海くんがエルフに貰ったベッドとか全部持ち出すけど私なんて赤ちゃんなのに、初めは何も無かったよ。


 今は海くんが少しでも住みやすくするために、岩を削ったり、木で簡易家具作っくたりして、改良してあるだけ良いよね。


「そもそも、手に入れる金も装備も仲間もいないのじゃ、お菓子とか調理道具なんて礼も出来そうにないのじゃ、と言うか仲間を探すことすら出来ない条件じゃよ」


「助けてあげたのにお礼ないの?お礼欲しくて助けたわけじゃないけどね」


「お礼がなしでいいなら、それがよいのじゃが?」


「蘇生して助けなかったらヴィシリア死んでたよ」


「人は助け合いじゃろ?」


 自分でお礼するって言ってたのに家なしだと、踏み倒すつもりなの?


「えー、ボランティア扱いならご飯も仲間探しもお金も私達が気にしなくていいよね?私達も嵐で保存食材とか減ったし集めないといけないしね」


「お礼するから力を貸して欲しいのじゃ」


「それじゃ、甘くて美味しいお菓子と、フライパンと包丁におたま、それと服もあると嬉しいな♪」


「難易度が上がっとるのじゃ・・・」


「まだまだ余裕だって?服は可愛いのをよろしくね♪」


「分かったのじゃ、それは高難度クエストじゃ、達成には時間がかかりそうじゃぞ」


「いいよ~、全部ちゃんとよろしくね♪」


「恐ろしいおなごじゃ」


「恐くないよ♪かわいいよね♪ね♪」


「・・・そうじゃな」


 交渉の結果は更に洋服も追加されました。この世界に大きな船があるなら街もあるはず、なら村より良いものがたくさんあるだろうから持って来て貰えると助かるね。


 元派遣社員の交渉力ですよね♪下手に出てるとどんどんサービス残業とめんどくい仕事を押し付けられるからね。給料変わらないし昇給にも成らない仕事を誰が好き好んでするんですか?定時内に最低限の仕事しかやらないでしょ。



「ツンツンしないでよ!なにかな海くん?」


 海くんがほっぺたツンツンしてくる。海くんなりに空気を読んで交渉終わりまで待ってくれたみたい。


 何か私に用事があるのは間違いないけど、内容は深刻かくだらないかは分からないけどね。でも反応しないとエスカレートするので対応しないとね。


「もー!なんで耳引っ張るのよ!ちょっ指嘗めないで!」


 海くんが楽しそうに耳引っ張るから手でガードしようとしたら指を嘗められたですよ。反応を楽しんでるというか、軽く私が嫌がるのが楽しいみたい。つまり海くんはSだ。出会ったときからSなのは知ってるけどね。


「壁って壊していい?」


 ツンツンも指嘗めもいらなかったよね?ツッコミをすると延長戦があり得るのでやめておこう。今は人前で恥ずかしいからね。


 そして海くんの興味は魔物意志疎通リングからダンジョンに移ったらしいね。


「崩れない程度ならいいよ~」


「了解」


 海くんがダンジョンの壁に後ろ回し蹴りをするとダンジョンの壁にヒビが入る。


 ダンジョンでなくてもさ、人間なら素手で岩の壁にヒビを入れれないよね?海くんの身体能力バグってない?暫くすると壁のヒビが修復される。


 ダンジョンの不正防止かな?薄い壁ならショートカット出来そうだけどそれ以外はよっぽどの威力じゃないと無理そう。


 ファンタジー作品だとSランクとか、SSランクとかいてダンジョンもろとも破壊はあるかもだけど普通は大丈夫かな。


「物理的な修復というよりは原子か分子レベルでの修復か?エネルギーとかどうなってる?」


「魔法だからで済まさないのね」


 確かに壁が元に戻るのは不思議で、物理法則だと意味不明だけどね。


「ワシが放置されとるのじゃ」


「魔法なら物理法則は無視できるのか?見ただけじゃわからないな」


「シカトしないでくれなのじゃ。壁が修復されるならダンジョンじゃろ。ダンジョンなのだから壁を壊してショートカットが出来ないのは当たり前じゃろ?」


「誰?」


 海くん貴方が蘇生した人ですよ。絶対覚えてるよね?知らないじゃなくて名前聞きたいのかな?それにしても雑すぎるよ。


「ワシの扱い酷すぎじゃ!ヴィシリアじゃ!」


「どうして修復するのか?ではなくどうやって修復しているのかだ」


「混沌神がダンジョンコアを作ったのじゃから混沌神のおかげじゃ、だいたい教義でそんなことを調べることは禁忌とされとるじゃろ?どの神を信仰しておる?」


「神とか興味がない」


「信仰がなければステータスさえも失うのじゃ、そうなれば生きていけんのじゃ、お主ではその子を守れないのじゃ、ワシが責任を持って街の孤児院に預けるのじゃ」


「守れてるから問題ない」


「神への信仰が無いことは不幸じゃ、ワシはBランクの冒険者なのじゃ、ステータスを失っているお主は力ずくで簡単に勝てるんじゃぞ」


「負けるつもりはない」


「すまん、この子のためじゃ」


 ヴィシリアが海くんに攻撃を仕掛けて戦闘が始まったのであった。

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