198話 いつかのバトル再び? 1

 やっと海くんの勇姿を見られると、ワクワクしてる優姫だよ。

 

 

 海くん一人に対してヴィシリアは、黒光りカサカサ悪魔退治の時の、ファーレンがいるよ。後は見るからに歴戦の強者なおっさん、おばさんな冒険者達5人でパーティーなのかな?の合計7人が相手だよ。

 

「あれはAランクパーティーの深淵の光ですね。二十代後半に個人でAランクの冒険者が集まって結成されて今で25年ほどでしょうか?私が冒険者していた頃にはもう有名でした。近接戦闘スタイルで魔法は補助しか使わないらしいです。」

 

 ビッグネームの冒険者なのね。そしてヴィシリア以外は前衛を揃えて来たのか。

 

「カイがヴィシリアだけを狙いにくくしたつもりかな?その気になれば瞬殺だろうけどね」


「カイ様の相手には不足かもしれませんが、全員を瞬殺は難しいのではないでしょうか。」


「ならライフルの銃身よりも近づかないと海くんの銃撃を止められないってサイオンも言ってたし、ヴィシリアの眉間撃ち抜いて瞬殺するのかな?」

 

「カイ様なので、ヴィシリアで遊ぶ可能性は高いと思います。」

 

 ヴィシリアは股間蹴られたり、不味いご飯プレゼントされたりしてたね。うーん海くんの気分次第なのかな?

 

『そろそろいいか?』

 

 海くんが演説会場から闘技場に移動して観客も満員、ヴィシリア達が配置についたのを確認して声をかける。

 

『打ち合わせも終わったのじゃ。いつでも構わんのじや』

 

『そうか。好きなタイミングで来いよ』

 

 ヴィシリア達は構えるけど海くんはアンチマテリアルライフルを背負って、立ったまま微動だにしない。この海くんの態度は余裕と貫禄を感じさせてくる。

 

 海くんは微動だにしないまま、私の用意した水の半分が海くんの水魔法により、水が海くんの周囲に螺旋状に浮遊して回転する。それはまるで龍が海くんに従い守ってるかのようだよ。

 

 残りの半分はさらに8分割されて球体状になり、回る螺旋のさらに外側で、海くん八方に浮遊して静止する。

 

「絶対にカイのオリジナル魔法だよ。混沌神マゼマに魔法について教えてもらってたから、練習した成果なのかな」

 

「エレンティア!!そんなことよりも!!海くんが水魔法を主体で戦闘するの初めてのじゃない!?永久保存版だよ!!」

 

 最後のとどめには使うけど、こんなふうに魔法ありきで戦うのは初めての見るよ。

 

「えぇ、カイ様にしては珍しいですね。おそらくは観客に魅せるためかと思います。」

 

 ヴィシリア達は警戒するけど、やっぱり海くんは微動だにしなくて、螺旋回転させるだけで待ってるからヴィシリア達は先制攻撃を選択する。

 

『オールダウン!!ウィンドプレッシャー!!マジックダウン!!アタックダウン!!ディフェンスダウン!!スピードダウン!!オールダウン!!これでもその余裕も崩れるのじゃ』

 

「あー、デバフは卑怯だぞ!!しかもオールダウンが2回!!」

 

 ヴィシリアが海くんにデバフを連打する。これは海くんピンチだよ。レールガン行くか?いつでも撃てるぞ!!

 

「ユウキ、カイにデバフ効果ないからね。ステータス無し、ゼロだよ?どうやって下げるのさ?」

 

「確かにカイ様は信仰心がありませんから、ステータスは無いと思いますが、人間にはデバフ魔法は効果的なのでは?」

 

 キアリーさんが疑問を言う。

 

「魔物と同じでカイの強さは身体能力そのもの。デバフはステータス値に一時的に影響する。だから効果が無いデバフ魔法はMPの無駄遣いだよ。私がカイには、付与魔法の効果を弱めることしか出来ないのは確認してあるよ。ウィンドプレッシャーだって風はそよ風くらいだしね。何十とウィンドプレッシャーを多重詠唱すれば効果あるけど、たぶん自分達も強風で吹き飛ばされるよ」

 

「なるほど、それでカイ様は余裕なのですね」

 

「デバフ無効化とか、海くんラスボス感あるなぁ。そういえば、ずっと昔にヴィシリアと海くんが戦った時も、ウィンドプレッシャー使われてたっけ?海くんに効果なかったみたいなのはそういう仕組みだったんだね」

 

「デバフしかない不人気の闇魔法を覚えてることに驚きかな。上位の影魔法は強いけど、MP消費が激しいからね」

 

「そうなんだ。ヴィシリアは思ったよりも強い魔法使いなんだね」

 

 デバフ魔法を解除する様子のない海くんに、仲間とチラつく確認しあい、2メートル50センチのファーレンが大きな両刃の剣で突撃する。海くんのよくやる威力偵察かな?

 

 深淵の光のメンバーはヴィシリアの護衛として、様子見も兼ねてまだ残ってるみたい。

 

『だりゃーー!!』

 

 ファーレンが叫び声をあげて大きな両刃の剣を振り上げる。

 

 そこへ海くんの操る右斜め前の水球が槍のようになり先端だけが凍りつき、高速でファーレンの大きな両刃の剣の横っ腹に激突する。

 

 ファーレンは予想外の衝撃にバランスを崩して大きな両刃の剣を地面に叩きつけるもなんとかたたらを踏みながらも、転倒は免れる。

 

 氷は砕けるけど、水球に戻った水槍に吸収される。そして水球の大半が地面に叩きつけられた大きな両刃の剣と地面に纏わり付くと、凍って地面と大きな両刃の剣を固定してしまう。

 

「なに!?こんなのありかよ」

 

 ファーレンが悪態をつくけど海くんはやっぱり、微動だにしないで、まるで従う水龍の戦闘を眺めるみたいだよ。全て操作してるのは、もちろん海くんだけどね。

 

 そして水球の残り僅かな水は氷槍になり両刃の大きな剣に凄い勢いで刺突をするとファーレンの両刃の大きな剣も、海くんの氷槍も、粉々に砕けたのです。

 

「うそだろ!?なんで氷で金属が砕けるんだよ??」

 

 ファーレンには砕ける原理が分からないらしい、私にもそんなの分からないよ。海くん何をしたんだろう??

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