076話 閑話 ペットとサイオン
サイオン side
エマーシュが侵攻してきてからは何事もなく平和なダンジョンです。
ユウキがぐったりして使い物にならなくなるまで遊んだカイがペットのうみにエサやりするからついて来た。
それにしても、うみは長生き?なのかな?スライムって勝手に増えるし肥料になるし普通は見分けつかないから寿命なんて知らないけど、うみはすぐ分かるよ。
知能があるからだと思うけど、冒険者などの侵入者から逃れるために、ほぼラスボス部屋に住んでて、しかも侵入者が来る前に上手いこと逃げて隠れるよ。
普段は水の中で漂ってるかラスボス部屋近くにいるけど、スライムって陸生なんだよね?知性あるしカイお気に入りのペットだしラスボス部屋の掃除してるからいい奴だ。細かいことは気にしない。
「今日もご飯食えよ」
カイが生ゴミのバケツを持って、ぽちゃんと水から出て来たうみにエサをあげてる。
「待て、・・・・・・・良し」
「おおー取り込む寸前で止まってる!?」
「お手、おかわり」
「スライムに手ないからって、なんか出来てる!?」
「始めてなのに言ってみるものだな」
「天才スライムだ、スッゲー」
カイがうみをワシャワシャしようとして、モフモフな毛がないのでなでなでになる。
「気持ちいいか?」
嬉しいそうに身体をプルプルさせる。
「スライムだけどうみは知能なら犬よりも優秀だ!カイになでなでとか幸せなやつめ」
僕もうみをなでなでしてやる。うみがかなり空気読めるのは知ってるから、気持ちいい良くなくてもカイが喜ぶ反応をしてるだろう。
カイは至高で世界の全てなのだから当然全てに優先させるべきなのだ。もちろん必要な意見は言うし、提案はする。イエスマンは望まれてないからね。
「うみは僕の相棒にふさわしいな」
「相棒?ならサイオンもペットになりたいのか?」
これは難しい質問がきたぞ。
なりたいのか、ならカイが望めばペットになるけど、カイの役に立つのか?僕に存在価値があるのか?だと・・・ペットも価値あるな。しかし仕事での関係も捨てがたい。だってサブマスター直属の部下だよ。プライベートはペットで、仕事は部下なら完璧か?
しかしプライベートは男女の関係もあるし悩む。
「わんわん!」
答えはとりあえず一発芸だ!ワンちゃんだよ。
「ち○ち○」
「僕、女の子!その芸は酷いよ!?」
「サイオンが可愛いからついついな」
「えへへ、カイ好きー♪」
可愛いって、僕可愛いって、えへへうれしー、そのまま抱き付きもいいよね?むしろ御返しで私のおっぱいどうぞー。
「えへへ、カイは素敵だよ」
もちろんカイの動きを邪魔しないように気を配って密着だよ。そのまま僕を食べてもいいよ。
「うみのご飯終わったし、少しサイオン付き合えよ」
ご指名だよ!カイからのご指名だよ!!恋人に成れって命令だよね?そうだよね!?
「もちろんいくらでも付き合うよ」
「伯爵の所で暴れ足りないし、発散でちょっと戦闘訓練するから、うみ逃げとけよ」
恋人じゃなくて殺り合いですね。僕の早とちりだったか~残念。でもカイの相手は僕しか出来ないからね。
カイの欲求を僕を使って好きなようにぶつけてやってよ。
「そりゃー!!」
うみが逃走を開始するのと同時に僕はカイの腕を捕りにいく。
「フッハァッ」
不意打ちで腕を取られたカイが全力で脱出をするべく声を出して力比べになるけど、不意打ちが成功したから立ち位置的に僕が有利だ。フフッ手加減なんてしないのだよ。
えへへ、カイが声を出すほど要るほど全力出させた!冒険者相手に鍛えてる僕はカイを楽しませるほど強いよ!
ステータス補正がなくて僕が有利な体勢でも互角という身体能力は素敵だよ。さぁもっと僕にだけ見せてよ。
カイが一瞬力を抜くことで僕の姿勢をほんの少し崩すと、その崩れを基点に僕を振りほどき距離を取られる。
カイが離れちゃったよ。突撃してまた密着だー!
「ストーンアロー!」
クロスボウに得意のストーンアローをセットして、カイに向けて放ちつつ僕もカイを追いかける。
2~3発撃つと僕の有利が無くなる。ここはとにかく接近するしかない。
カイはしなやかで密度の高い筋肉は素早い回避と正確な動作、そして抜群のセンスによって確実に急所を狙う戦法だ。
もちろん力も弱くはないけど怪力じゃない、だからカイは、力技で押し勝つのは苦手なんだ。
そのためにカイはヒット&アウェイ、相手の攻撃で足を止められない戦い方をしてチャンスに一撃離脱、これを崩すのが僕の狙いなんだ。
決して触りたいわけじゃないんだからね。
「捕まえた~!!」
カイに執念で抱き付きホールドを成功させる。別名大好きホールドだ。
両腕を胴にくっ付けてしまえば吸血鬼の僕の勝ちだよ。
「いただきます♪かぷっちゅーちゅー」
「あー!しまった!吸われた!」
この後サイオンと海くんは何度か訓練?をして海くんは魔法無しでも勝ち越したそうな。
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