069話 間話 サイオンの努力
サイオン side
カイの隣は僕の居場所で存在価値の全てだ。
役に立つことは重要で、カイに認められることは何より尊く、至高なことだ。
僕の仕事は侵入者の撃退と情報収集によりカイの役に立って、ユウキからDPを貰うこと。そのために自慢の迷路階層を作った。例え探知スキルがあっても簡単には地図を作らせない。ここで遭難させて終うのも撃退なのだ。
そしてカイの手を煩わせる侵入者は私が全て追い返すのだ。
それなのにあのウサミミは邪魔で仕方がない。
攻撃が通じないということしか分からないのだから僕が役立たずになってしまう。僕の存在価値を失ってしまう。
そんなことは許されない。許容出来ない。いつものように撃退出来ない。そんな存在は消さなければならない。
僕はは自らの存在価値を確保するためにウサミミ美女、エマーシュに立ち向かうのである。
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自身の攻撃力では威力不足なのは理解している。
しかし僕の仕事は撃退なのだ。要するに撤退させれば、攻略を諦めさせれば、良いのだ。むしろ殺さずなるべくDPをむしりとるのが仕事だ。スキルを使わせて、DP収入を増やし、疲れて休むあいだも村でDP収入原になって貰わねばならない。
それならやりようはいくらでもある。
僕の攻撃力不足でも奇襲により休ませないという作戦は防ぎようがないはずだ。スキルを使わないし、魔法も使わない居るだけDPのウサミミはここにいても役に立たない。
「そりゃ!」
ターゲットが食事中の手元にボウガンを放ち食糧を貫きます。
「アーー!?私のごはんが粉砕された!?」
ちょっと威力が高すぎて貫くときに粉々にして食べれなくなりました。
「にげろー!!」
あえて声を出して見つけさせて猛ダッシュで逃走を開始する。
「食べ物をダメにするとは許せん!食べ物の怨みを思いしりやがれ!!」
ウサミミ獣人の美女が全速力で追いかけて来る。想定外に速く食事を邪魔された怨みはなかなか強いようだ。
想定外でも防御以外のステータスは低い。本当は余裕で振切れるがあえてギリギリ逃げ切れない速度で走る。
ターゲットの体力消耗と誘導も作戦でウサミミには遠距離攻撃はないから手が届かなければいいのだ。
「撃たれる方が悪いんだよー」
体力を消耗させるために煽って諦めないようにする。そもそもダンジョンにソロで挑むものではないし、王家も冒険者ギルドも攻略をしないように言ってるのだらエマーシュが悪いのではある。
厳密にはラスボス部屋の攻略をしない、と王家が決めて冒険者ギルドが委託されて運用しているのだが、サイオンにとっては海くんが全てなので細かいことは気にしない。
外の世界に興味がないのが正しいだろう。
「うがー!撃つ方が悪いに決まってるでしょ!」
「なら追い付いてこないとねー」
「待ちなさいよー!!」
僕の予定通りに追いかけて来てる。このまま逃げるふりして黒光りカサカサ悪魔の大群部屋にご案内だ。
ギリギリ逃げ切れない速度で角を何度も曲がってなるべくマッピングが分からなくなるように煽って、追いかけることに集中させないる。
「あはは!そんな顔だとモテないよ」
ウサミミ美女が台無しになるほど怒ってまさに鬼の形相で追いかけてるのだがら、そっち系の趣味がなければモテないだろう。
しかも走りすぎて汗だく、怒りもあって真っ赤になって睨むんでるのだ。
「こんにゃろ!一発殴らせろ!!」
「おおこわいこわい、なぐらせないよー」
しばらくジグザグと迷路を走り周り目的の部屋の前にたどり着く。
「ゼェゼェ追い詰めたわよー!」
「まだまだとろくさいウサギからは逃げれるよー」
「逃がすかー!くらえ必殺突き刺し!」
スキルくらい使えよと思いながらもタイミングを待つ。
扉の前に立って、ウサミミ美女が突進を見極めて、ギリギリのタイミングで扉を開けてウサミミ美女の突き刺し回避して、背中を押してモンスター部屋に入って貰う。正確には中ボス部屋を利用した悪魔のトラップである。
「刺されたりしないって、それでは1名ご案内~♪」
即刻、扉を閉めれば黒光りカサカサ悪魔の大群から設定されたボスの一匹を倒すまで出られない中ボス部屋に閉じ込める作戦を成功させる。
「開かない!ちょっヤバイって、ぎゃーっ多すぎ多すぎぎゃーっ!!すばしっこいな、いっや~~!?飛ばないでよ!?服の中に入るな!?ホントに無理!たすけてー!!そこはダメっだって、ちょっと!?もが!!埋まる!!私ゴキブリに埋葬されてる!?」
「数千万匹からボス探し当てるの頑張ってね、ホント僕いい仕事した!カイに報告しなきゃ」
この後報告して、さらに黒光りカサカサ悪魔とエマーシュの戦闘でいろいろ情報を得て、優姫ちゃんと海くんに誉められるのであった。
ちなみにエマーシュは防御力にものを言わせて追いかけ回し少しずつ疲れた黒光りカサカサ悪魔を無理やり殺しに殺して、黒光りカサカサ悪魔の共食いもありなんとか脱出を成功する。そして迷子になりながらも村に帰還するであった。
死ぬより酷い目にあったか、黒光りカサカサ悪魔との激闘を本人が語ることは一生なかった。
この日から黒光りするものに酷く怯えるようになったとさ。
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