052話 間話 モテモテ二人目

 キアリー side



 新入りのサイオンがカイ様に急に惚れてて、押せ押せでした。


 詳しくは口を割りませんでしたがカイ様がモテるのは当然でしょう。 


 カイ様の強さはこの安心して眠り暮らせて、食事に困らず、衣服も新品を支給されるダンジョンの根本です。


 ユウキ様の力もあるでしょうが、魔力は大半をカイ様が供給してますしカイ様が義父ですから、カイ様の保護下にユウキ様はいると考えます。


 カイ様の隣に安心して居たいと願うの私は当たり前だと思います。外は魔物による死の危険が圧倒的に高く明日隣の誰かが死んでもおかしくはない。その危険を一手に排除している。


 しかもイケメンで欲深いわけでも無くて人生楽しむことを考えている。ここを守っても余力が十分にあるのでしょう。


 ※日本ならお金持ちで性格最高なイケメンが側にいる環境です。そりゃ惚れます。


 カイ様は夜も眠らないので夜食の差し入れをしています。


 サイオンを見ているとモヤモヤイライラします。これは嫉妬かな?私は本気でカイ様を好きなのでしょう。


 パーティーの仇も気にならないし恋敵のサイオンが確信させてくれました。


 なら数ヶ月ですが先に出会ってる私が有利なはずです。


 ノックをして、カイ様の個室に入ります。


「失礼します。カイ様、夜食をお持ちいたしました。」


「俺の分だけいつも悪いな」


 いつもなら、仕事ですから、お気になさらないで下さい。と言うところでしょう。


「カイ様のために心を込めて用意いたしました。」


「そうか、いつも助かってる」


 カイ様は食事を始めますが、ちょっと冷たい反応だなと思います。好かれてないのでしょうか?


「いえ、しごっ」


 私の口にカイ様が食べていたスプーンが夜食と一緒に不意に入れられます。


 カイ様は小さな少年イタズラっ子のイタズラが成功したときのような顔です。子供ぽいですが不思議と許せます。


「キアリーと一緒に食べた方が楽しいな」


 そう言ってモグモグとカイ様は夜食を楽しそうに食べています。


 カイ様は食べるのは早いので少な目の夜食はすぐ終わります。


「いきなりは卑怯です。それでは食器を片付けて来ます。」


「キアリー少し話そう、夜って暇なんだ」


 カイ様の冷たい態度からの優しさは卑怯です。


「片付けてまたカイ様のお部屋に参ります。」


 もちろん断る理由なんてありません。夜わざわざ呼び出す理由なんて男女なら一つなので着替えくらいはして、戻りましょう。


 即刻食器を洗い拭きあげて下着からすべて着替えてカイ様の個室をノックします。


「カイ様お待たせしました。」


「気にしないで入ってこいよ」


 確かに個室に鍵を掛けられないので簡単に入れます。扉をあげて中に入ります。


「それではお言葉に甘えます。何かご用件があったのですか?」


 カイ様がテーブルの横に座っているので私も横に座ります。


「最強疲れたからな~キアリーくらいしか、こんなこと話せないからな」


「そうですか?ユウキ様やサイオンも話を聞くでしょうし、ネイ様はしっかりしたアドバイスをして下さると思います。」


 ちょっとの嫉妬心と私が特別と確認したいというのが本音ですね。サイオンは私の仕事がメイドじゃないので様付けなくてもいいのです。ちょっと醜いかな?


「ユウキとサイオンは大騒ぎして余計気疲れしそうだし、ネイは休めで解決だろ?キアリーしかいないな」


 これは嬉しいです。やっぱり私はカイ様を好きで恋してるます。


「ありがとうございます。いつも楽しそうにしてるカイ様が疲れるとはどうしたのですか?」


「魔法の付与とかの研究とサイオンのスキル調べてたら流石に休憩不足でな、体力の限界までなかなか気が付かないからやり過ぎるんだ」


「カイ様の眠くならないのは便利なようでそんな問題があるのですね。」


「ということで少し休憩と気分転換はキアリーしか頼めないし、キアリーが一番落ち着くな」


 カイ様が甘えているのか、私の肩に少し頭を乗せて来ます。


「カイ様?・・・貴方は私の盾ですから、こんな時ならいくらでも甘えていいですよ。」


 カイ様の身体はムキムキな男と違って線が細いのですが、筋肉が無駄なく付いていて男の身体でカッコいいと思うのと、冒険者として身体の鍛え方が凄まじいことが理解出来て尊敬もします。


 ステータスがあっても肉体が弱すぎては、動きが直線的になる。カイ様の肉体は長く強い力を出すのではなく俊敏性と瞬発力を徹底的に鍛えている。だからこそあの回避力なのだろう。


 ※現代兵器の運用前提のため、反動を抑え込むことや重い砲弾の装填、素早く正確な動作を重視した遺伝子組み換えと、それに合わせて本人が鍛えています。


「キアリーって安心するし触り心地いいな」


「カイ様も男らしい鍛えられた身体をしていますよ。」


「いい?」


 これはムードも完璧だし、これは私がカイ様のものになります。


「よろしいですよ。」


 カイ様は私に体重をかけて、体勢の良いところを探しておさまります。


「キアリー、人肌って落ち着くな、わざわざ着替えてありがとう」


 そう言って目をつむります。


「いえ、おやすみなさい」


 完全に寝てるように休憩しているカイ様を押し倒す気はしないので、私はカイ様を抱きしめたのです。寝息ではないので意識はあるのでしょうが半覚醒みたいな状態なのでしょうか?カイ様のこんな顔を見られるのは私だけと思うと、とても幸せな時間になりました。


 朝までカイ様の顔をを堪能しながら僅かばかり眠ったのでした。睡魔族なので眠く成りにくく、短時間で良い体質に今日は感謝しました。

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