048話 負けられない時に負けたら
ちわーす優姫ちゃんだよー。
手入れしてるとはいえ海くんのサバイバルナイフ丈夫だよね。
年単位で耐えられるし硬いものに叩き付けていろいろ切ってるのにまだまだ切れるってすごっい業物だよね。地球の技術力って凄まじいよ。
そんなことよりサイオンをこのままだと殺してしまうし情報を引き出さないとね。
「パパファイト!!捕まえて~!」
「交渉するつもりなのか?まぁいいけどさ」
「僕は乙女だからチビってない!」
「完全に煽られてるのな」
「なんかムカつく、ストーンアロー!」
海くんはやっぱり石の矢をギリギリ、当たってるよね?くらい紙一重で避けてしまう。回避どんどん上手くなってるよね!?どうなってるの?
「これは絶対当たらないやつだ!ヤバい強すぎだって」
ガキン!スカッガキン!
ボウガンはやっぱり射出が出来ないようでスカッと音がしてる。
海くんはサイオンのボウガンを持って絡めとり、サイオンに投げ技をかけようとするけど、ボウガンを放すことでサイオンは投げから解放させる。
キアリーさんの冒険者パーティーの斥候を倒した技?かな。
「やっば、僕のクロスボウとられた!」
海くんはクロスボウを投げ捨てると追撃に移る。こういうところが海くんの軍人ぽくて、油断とか情けとかかけないで戦闘続行する。
戦闘中はムダ口も言わなくなって遊びが減るし華はないけど質実剛健、実用一辺倒だからね。私の質問には答えてくれるけどね。
サバイバルナイフが顔を狙いそれをを避けようとサイオンの視線が海くんの右手に集中したところで海くんの左フックが放たれる。
「うがっ」
海くんのフェイントに見事に引っ掛かりサイオンは拳を脇腹に受けてしまう。
この闘いで初めての大ダメージはサイオンになった。
ダメージ後の隙にさらに海くんは手を緩めず連続で拳とサバイバルナイフで攻め立てる。チャンスには蹴りももちろん使っている。格ゲーならコンボを決めてる気持ちいいところだね。
サイオンはなんとかサバイバルナイフだけは避けているけど拳と蹴りが次々と命中し始める。むしろ海くんがサバイバルナイフだけ当たらないようにしてるまであるかな?
「ダメージで鈍ってるけど、それ以上に僕の動き読まれる!?」
「モーションが同じだからな分かりやすい」
おや?珍しく海くんが敵の質問に答えてる。なんかあのチビったリアル僕っ娘むかつく。
「モーションとかぜんぜん分からないけど?」
私にはモーションとかより攻防が早くて何が同じなのかさっぱり分からないですよ。
「優姫は才能ないな」
「スキルなんだしはある程度攻撃が分かるけど、それにしてもここまで当たらないのは異常だって、あぐっ」
上段回し蹴りがサイオンの顔面に突き刺さり、ぶっ飛ばされる。
「うわぁ、女の子の顔にあの威力、痛いし腫れたら引きこもるよ」
あれはサイオンに同情するけど、海くんは女の子でも凶悪な一撃を入れられるならラスボスとして安心して任せられるよ。
「肝臓の一撃も普通に耐えたし防御力あるから死にはしないさ」
立ち上がろうと半身になったところでサイオンのお腹に容赦なく踵落としを叩き込む。
「うげっ」
床とサイオンが叩きつけられてさらに床と海くんの踵に挟まれてうめき声しか出なくなってる。
いまの踵落としは肺から空気が全部強制的に吐き出さされたほどの威力だろう。
もちろんここで手を抜かないのが海くんクオリティ、サイオンをうつ伏せにして背中に腕を固めてしまう。
ドラマとかで刑事が犯人を取り押さえる時のやつだね。
「優姫、ご要望のどおりに捕まえた」
「イタタ!これ力入れた方が痛いんだけど!?なんで!?もう僕の負けでいいから外してくれない?」
海くんは私に判断を任せるみたいです。
「チビってないサイオンさんでいいかな?」
腕は固めたまま尋問ですよ。
「僕はサイオン セルナファス、セルナファス帝国の姫だけど、裏切られて閉じ込められ氷漬けにされたんだ」
「セルナファス帝国?ネイさんに聞いてみるかな、私はダンジョンマスターの優姫だよ、彼は海くん」
自己紹介はきっちり丁寧にしないとね。
「セルナファス帝国を知らない?大陸最大の帝国でエルフは全て支配下なんだ。知ってるはずでしょ?」
「私は、国とかぜんぜん知らないの。ネイさんはシバル王国の王族だから分かると思うよ」
「シバル王国?そんな国ないはずだけど?」
ん?なんかこの先大国に絡まれるイベントの予感がするよ。
「出口無い部屋に居たし遠くの国なのかな?確かヴィーザ大森林の近くって言ってたよ」
「ヴィーザ大森林は知ってる、セルナファス帝国領土だし、エルフも海から山の鳥人もセルナファス帝国の一部なんだ」
「あれ?ネイさん鳥人で女王だよ。もしかしてセルナファス帝国滅んでる?、海くん今って何年かな?」
「西暦は地球だけだろ?知らないぞ」
「もしかして僕、閉じ込められて氷漬けにされて永い時が経ってる?」
「凍ってたかは知らないけどたぶんそうだよ。リアルチビった僕っ娘さん」
「チビってない26歳だから!乙女だから!氷漬けの時はノーカウントだからね」
「私の部下として働くならチビってない26歳と認めるし秘密にすると誓うよ」
「うぐぐ、まぁ国が弱体化してるなら問題ないか。ユウキ様よろしくお願いいたします」
こうしてサイオンさんを味方に引き込んだのです。
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