081話 間話 どこかで読んだような
ふと気が付く。
ここはどこだ?
「あーうーあー?」
自らの声が赤ちゃんということを確認する。部屋がなんだか素人感しかないのだが?ベッドはなんとかベビーベッドの機能は果たせるか?
手を顔の前に持ってくると赤ちゃんのかわいい手。
これはおそらく転生成功だ。
記憶が維持できるのか?成長すると身体の持ち主に意識が取り込まれる?そんな不安がよぎるが最後に完成させた魔方陣は範囲内に魂がないエルフの赤ちゃんへ僕の魂を送り込む。それまでは魂を保管する。
完璧なはずだ。
だがおかしくないか?確かに魔方陣に性別の判別はしていない。50%のハズレつまり女の子だ。寿命が近くてそんな事を考えもしなかった。
もう女を抱けないという喪失感を覚えるも、また次の人生があると思えば大きな問題はない。我慢した後の男の肉体で味わう女は最高だろう。
しかしもう1つ失念していた。大賢者に赤ちゃんプレイは出来ない。
どうしよう
「あーうーあー」
声だけは可愛く愛くるしい。
たぶん転生はバレないけど魔法の確認は出来ない。暴走しても押さえ込めないし、確実に魔法がバレる。
そして尿意がやってくる。オムツ換えて貰うとかマジで無理。しかも父親はもっと無理、男に触られるとか耐えられない!!
人生最大の問題はオムツを汚せばやってくる。
もうすぐやってくる放尿は人生最大の問題はトラウマになりそうだった。
大賢者も赤ちゃんの肉体ではなにも出来ないのだった。
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8歳で村に変わった子が生まれた。
まるで私のような頭が良いあまり泣かない赤ちゃんらしい。私は転生だからか変わってるが頭が良いと思われた。
そのアーリィはめちゃくちゃ可愛い、まだ性的にではない、女の子だが間違いなく将来はめちゃくちゃ可愛いくなるだろう。同じ女の子として羨ましさも感じさせるほどだ。
どんなタイプでもエルフの中で飛び抜けた美貌を持つだろう。
自分自身、女の身体に引っ張られたのか男の肉体も魅力的に見える。男も悪くない。触るのも触られるのもだ。
だがこの村はというよりは規模的に集落だろう。ここはダメだ。男が貧弱過ぎる。大賢者の頃は魔法特化だったからステータスは片寄っていた。それでもこの集落なら魔法を使わずに楽勝だろう。こんな奴ら弱すぎてダメだ。
好みは女は胸が慎ましく美人より可愛い系が好きだ。これは前世の趣味である。基本女なら全て許容範囲内なので誤差くらいの趣向だけど。今の好きな男のタイプはムキムキで汗臭いよりは、細身でスピードファイター系のさっぱり系だ。
しかしながら実戦的な引き締まった肉体が前世の記憶にしかない。ガイトの奴は良い身体をしていた。今思えばもう少し観察しても良かった気もする。何にせよこの集落で結婚は諦めるしかなさそうだ。でも大人になるまではここで育てて貰おう。
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それから3年の年月が流れた。アーリィだけが、この集落の癒しだ。男共の鍛え方が足りなすぎる。魔法も下手なら身体も貧弱すぎる。同じエルフなのが悲しくなってくる。
俺と攻撃魔法なし、バフ無しでも1秒と戦えるやつは居ないだろう。本当に弱すぎる。
そんな悲観に暮れていたある日、3匹のハイオークがたくさんのオークを引き連れて襲ってきた。
「これはオークの進化した個体がいるな?おそらくトップはキングか最悪は魔王クラスだろうし、やっばいな。隠れて見つからないように始末するか」
飛び抜けて強い事を知られては面倒になる。魔法の研究がしたいのに集落を守るだけの人生はゴメンだ。
ハイオークをこっそり始末した頃には狩人達が帰って来ていてオークを倒していた。
しかし集落では、アーリィちゃんと兄のアスクがいないらしい。大人も食われたらしいが普通のオークに負けるのは弱すぎる。
オークに喰われたのか?森に逃げて迷子なのか?少し探してオークナイトが見付かった。
小川の近くで岩に脳天から落とされたように逆さまになり頭が潰されて死んでいた。
オークナイトの巨体を頭が潰れてしまう高さに上げるよりその力で攻撃するだろう。魔法にしてもオークナイト以外の攻撃の痕跡も脳天への一撃以外ダメージを与えた痕跡もない。
魔法でもスキルでもこんなことは出来ない。なぜならスキルの攻撃に、こんな結果になる技が存在しないからだ。不気味な殺され方に不安を覚えた大人達はエルフのより大きな集落に合流することにしたようだ。
こんな殺し方を魔物はしない、するならステータス値の高い人間だろう。ステータス値でゴリ押しするスタイルなら脳天落としを選択するかもしれない。
探知スキルに全振りして探し回っても、結局アーリィちゃんは見つからなかった。オークナイトを仕留めた存在が助けていたり、逃げ切っていれば会えるだろうからこれからも忘れないで探そうと思う。
そのために集落から出て冒険者になろう。年齢よりも学力と戦闘力が必要な職業で、何より封建社会で移動がしやすい数少ない職業だ。
魔法技術もスキル構成もステータス値も、全て教義を守る奴らには簡単には、負けないが目立つつもりはないからランクをDくらいまでゆっくり上げれば良いだろう。
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冒険者になりさらに8年が過ぎた。
ランクをDまで上げて魔法研究に必要な道具を買う金も貯まった。
アーリィが見つからないのは心残りだが、また引きこもり、魔法の研究に没頭しようと思っている。来世でまた可愛い子に会えるかもしれない。
今は最後の仕事と勝手に決めた魔物の素材を冒険者ギルドに納品している。
「これが報酬になります。それとエレンティアさんにシバル王国からダンジョン攻略許可証明書が発行されましたのでお渡しします」
冒険者ギルドの受付嬢がいきなりダンジョン攻略許可証明書を渡してくる。
「申請した覚えはありませんよ」
「エルフのジャス・パー男爵からも指名依頼で、ダンジョンマスターに配達がありますのでその兼ね合いです。エルフの少女がダンジョンマスターですから、エルフの女性冒険者の中でこの国の出身で腕が良くて年齢も近ければ無下にはされないと、判断したようです。受けるならこの手紙を届けに【ラスボスがヤバいダンジョン】へ行って下さい」
ダンジョンといえば高い魔法技術で造られていて、混沌神マゼマの管轄だったか。その魔法を研究に活かせるかもしれない。少なくとも見るくらいはありだろう。
「分かりました。配達依頼受けます」
少しくらい引きこもる時期が遅れても、大差ないだろうし数少ない魔法を学べるチャンスを逃す意味はないので、即断で行くことにした。
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