120話 ダンジョンマスターの切り札

 バンパの宰相を殺り損ねた優姫だよ。何も考えずに突貫すればよかったのにね。



 バンパ王国の一行が突破を諦めて戻って来ました。


「あんなもの勝てるわけがなかろう!!殺す気か!?」


 やっぱり宰相がマジギレしてる。もう早く追い返そう。


「そうなの?うちのゴブリンと互角なんだけど?もしかしてゴブリンにも勝てないの?」


「魔物をしたがえておるからと偉そうに!この場で不敬罪を適用するぞ!!」


 やばくない?でも、もう止まれない、ええい女は突貫よ。


「でも詐欺師なんでしょ?もう一度、証明するためにゴブリンでやる?」


「ゴブリンなどよゆ・・・待てデスアークタランクトと互角のゴブリンならAランクのエンペラーではないのか!?」


 なんか宰相の相手なれてきたなー。偉い人というか怒りやすい嫌味なお爺さんだね。


「たぶんそうだけどやってね♪」


 バンパ王国の宰相の後ろに控えてる護衛が全力で首を振っている。絶対勝てないみたい。


「その前にそもそも突破出来ることを証明しろ!!」


「いいけど、突破出来たらどうするの?帰って結婚はなしにしてくれる?」


「それとこれは別だろうが!不可能を要求していなかったと証明しろと言っている!!」


「はい、はい、分かりました。突破出来たらあなた達は詐欺師です」


「魔物での突破は認めないし、八百長も認めないからな」


「はい、はい、うるさいなー。ちょっと待ってね」


 海くんとエレンティアはいざという時のために裏で待機してます。なのでお願いしましょう。私の入って来た入口を開けて海くんに声をかけます。


「海くん!話し聞いてた?」


「アークタランクトを倒せばいいんだろ?」


「お願いします」


「了解、エレンティアも来い」


「アークタランクトなら普通の魔法で消し炭にすればいいかな?」


 エレンティアどんだけ自信あるの?海くんのカッコいいとこ見たいから海くんにやって欲しいかな。


「このダンジョンの魔物で戦力だから全滅はさせないくれると助かるかな」


「消し炭はなしだ。それでもなんとでもなるだろ」


 海くんとエレンティアがボス部屋の攻略に向かいます。


「部屋の入口から見ても良いか?」


 宰相って面倒なお爺さんだね。


「好きにすればいいよ」


 バンパ王国から来たうるさい観客も海くん達の後ろを追って行きました。


「エルフの少女は、なかなか腕が良さそうだし魔法の自身はあるようだが、人間の男は全く強そうに見えないが大丈夫か?」


 近衛騎士団長さんが心配してくれます。


「大丈夫だよ。たとえ総攻撃されてもかすらせもしないよ」


 銃弾を至近距離で避けれるから、アークタランクトがいくら速くても銃弾よりは遅いでしょ。


 ※海くんは銃弾の弾道と発射タイミング、銃口の向きを予測して回避しているので銃を相手に見てから回避出来ません。ゲーヘルが滑降銃を使ったために弾道予測が難しくかすり傷を多く受けていました。


「カイは弱そうに見えるから油断させて、一撃必殺というタイプだからね」


「キーナンも手合わせしてもらいませんか?実力をお互いに知るには良いでしょう?」


 ネイが海くんと近衛騎士団長の試合を提案します。


「シバル王国の切り札の近衛騎士団長の実力をそう簡単には見られませんよ」


 レイナ女王陛下は乗り気じゃないみたい。


「彼はこのダンジョンのラスボスでサブマスターです。シバル王国にとっても彼の実力は価値がある情報でしょう?」


「まさか彼が特級戦力なのですか?いくらなんでもAランクの魔物を殲滅出来るとは思えませんよ?」


「報告によればラスボスがヤバいダンジョンのラスボスの男性はBランクの冒険者パーティーすら勝てない実力者。少なくともAランク上位かSランクに届くほどの実力がなければ無理でしょう。もしアークタランクト4匹相手に勝てるなら、Sランクは確実でしょう」


 騎士団長も海くんの噂知ってるんだね。ちなみにアークタランクトは5匹なんだよね。魔王殺しのゲーヘルにも勝った海くんなら大丈夫でしょう。


「そういえばそんな報告がありましたね。やはり髙ランク特有の気配がないと実感がわきませんね」


「まずは彼の戦いぶりを見てから決めても遅くはないでしょう。本当に強いなら武人としても手合わせしたいですから」


「ちょうど始まりますし終わったら手合わせの日程や方法決めましょう」


 話してると海くんとエレンティアがボス部屋前に着いて、後ろにはバンパ王国の観客がいます。


 戦闘の準備が整い海くんのチャレンジが始まります。

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