074話 慈悲はない
旅行なんかよりも銃の研究が趣味になりつつある優姫だよ。成果は出てませんけどね(´・ω・`)
ミュウニーちゃんが強すぎる。海くんほどじゃないと思うけどオークならあっさり一撃なんです。ぶっちゃけ海くんの本気もミュウニーちゃんの本気も知らないけど海くんは最強なのです。
街道ではなく最短距離のヴィーザ大森林を突っ切っているのですがオーク、オーク集団、色違いオーク、オーク・・・ひたすらオークばかりで海くんが飽きたのでミュウニーちゃんと交代したのです。
二人とも森を猛ダッシュしながらすれ違い様に倒しています。これは速いけど、なんで海くんとミュウニーちゃんの発想が同じて仲良さそうなんですかね?
やり取りなんて「早い道は?」「森を駆け抜ければ最速です」「それで行こう」「魔物が多いです」「強いか?」「微妙です」「邪魔なのだけ倒そう」「承知しました」そして走り出す二人。
おかしくない?なんで打ち合わせそれだけなの?それなのに何故か意思疎通が完璧なのですか?
なんか阿吽の呼吸で羨ましいです。おかしいなぁ私のほうが海くんとの付き合い長いけどさっぱりだよ??
大森林といっても次の日の夜には抜けて、街道に出て暫くするとウレナイ商会の定期便と合流して馬車で3日目、ダンジョンを出発して4日目で目的のトオイノナンデ伯爵領の端にたどり着いたら領都まで更に1日、移動しました。
こうして海くんはトオイノナンデ伯爵の屋敷を見上げています。
『さてと喧嘩を売りますか』
『どうしますか?正面から乗り込みますか?それとも伯爵の寝室に夜の間にお手紙届けますか?』
ミュウニーちゃんかなり怖い事言うね。殴り込みも忍び込みもやられる方は嫌だろなー。どっちが嫌かは性格によるのかな?
『んー、どっちも楽しそうだな~』
『中に居るので目の前に手紙を届けて殴り込みはどうですか?』
『んー、近くに水あるし派手に正面突破するか』
『承知しました』
ミュウニーちゃんは海くんだけなら、従者モードで他人がいると人懐っこい普通の女の子に変わります。
密偵って凄・・・・・・。
思わず思考がフリーズしました。なんと海くんが魔法で川から水を運んできて、氷のドームで屋敷の土地全体を半円形に覆いました。そしてまだまだ空中に水は余ってます。
ここまではよくあるし、閉じ込めるなんていろんな作品でもやるしまだまだ普通だね。
しかしえげつないことにドームのてっぺんに穴を開けてそこから空中の水を水を大量に注ぎ始めたのです。
『これは派手というよりも・・・破滅なのでは?』
ミュウニーちゃんも引いてるよ。海くんハッチャケてるなー。
『強いやつがぶちギレて出て来て来たら楽しいじゃん』
『・・・装備品、えー特に武器は金属なので沈んで溺れてるかと・・・たぶん』
『30キロくらい背負ってて、水没してからの脱出法って基本じゃん』
『そんな事はないはずです。・・・たぶん』
ミュウニーちゃん壊れた!?海くんの基本って現代戦闘で海上で撃墜とか、艦艇の撃沈とか、湖に落とされたりされた時の事だよね?この世界ではそんな訓練してないと思うよ。
『あらら、本当に全員沈んでるし。んー煮るか、かき混ぜるかどっちがいいかな?』
海くんよ、料理するって言い回しあるけど、屋敷は食材じゃないよ。
『えっ?どういう事!?煮るか、かき混ぜるか?ん?ん?あー、まだかき混ぜる方がいい・・・』
ミュウニーちゃんのキャラと思考力が崩壊してる!?海くんやめてたげてー!!
『かき混ぜで行ってみよー』
『行ってみよー、オー』
アッ、ミュウニーちゃんいろいろ諦めたな。
氷のドームが水で満たされると、フードプロセッサーのような激流が発生して屋敷が粉々になり、あっという間に黒というか、汚水色というかにドームが変色します。しかも回転が層のように交互に逆回転が発生してるのでめちゃくちゃです。フードプロセッサーより破壊力ありそう。
『・・・かき混ぜるって違うおかしいよ・・・こんな魔法ないよ、怖いよー』
ミュウニーちゃんの諦め程度では海くんの行動を理解するにはまだまだ甘くて精神まで崩壊し始めてる。
なので海くんに半泣きで抱きついても許そう。私もやべぇ攻撃って思うしね。こんなの普通思い付かないよ。
『あっこれ水どするかな?放置したら洪水になるな。宿が水没したら面倒だな』
そこなの?もう街は絶対大騒ぎで手遅れだよ。世間知らずの私でも分かるよ。街で一番防御がしっかりしてる領主邸が水没からのフードプロセッサーの様になんて想定外の中の想定外だよ。
『洪水、水たくさん、かき混ぜられる、怖い、助けて』
ミュウニーちゃんの精神ダメージがついに会話出来ないところまで来てるよ。気が付いて海くん!!こっそり見てるから連絡しないつもりだったけど、やっぱり連絡して助けてあげようかな?
『とりあえず土を削って溢れないように埋めるか』
『もう見ない、知らない、水怖い』
ついにミュウニーちゃんが顔も海くんに押し付けてシャットアウトモードの抱き付きに移行しました。ガチ泣きしてるのかな?密偵を泣かせるってなんでそうなるの?
あれは本気の怯えだし許そう。私って心が広いなー。
海くんは水と土を混ぜて屋敷があった場所を泥の山に変えました。屋敷の原型もありません。
終わってもミュウニーちゃんが使い物にならなくなったの、で海くんは直ぐにダンジョンに帰還を始めました。
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後日談
詳細を聞いた私達は、
「おおー、海くんのおかげで悪は滅んだね」
「カイは怖くなんてない」
「伯爵家には迷惑かけられましたが、ここまで復讐されては同情します。」
「トンネルの交渉が難航してるのにー♪更なるトラブルでレイナ、ハゲちゃいそー♪」
私、サイオン、キアリーさん、ネイの順番です。
おまけを追加
レイナ女王は
「どうしてこうなった、どうしろというのだ、もう女王やだ、ネイに押し付けてくる」
と仕事と王位を放棄しようとして、皆に怒られましたとさ。
なおトオイノナンデ伯爵の屋敷は魔王の仕業ということにする。そんなネイのアイディアで解決しました。理由?何かいろいろ捻り出したらしいよ。
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