063話 間話 不思議な村3
エマーシュ side
短剣のメンテナスも出来たし、道具屋によって生活必需品を買ったらファミリーに連絡しましょうか。
わざわざ店の入口を全面ガラス張りにしてる店です。ガラスは高価なので一般の家や店では使えず、貴族達の屋敷や豪商の本拠地本店くらいしか使わないはず。
これはダンジョンの村を拠点にした豪商かと思いながら、店に入ります。店内は大きくはないけど、とにかくなんでもある。
調理道具やら皮革の水筒やら、軽食に保存食、魔道具や武具、衣類に家具、日用品、品揃えは多くて、同じ商品は少ない。
そしてなぜか接客は会計のみのようだ。普通は案内がいて特徴や値段を説明してくれるものだ。
「えっと、・・・」
絶句するしかない先鋭的な店舗です。小さな村なら行商に何でも頼むから一時的にこんなに品揃えになっても、店舗としてはおかしい。
普通は街に店を構えるから手広くやり過ぎるとトラブルの原因になるからだ。
村で店が少ないから可能なのだろうが、それなら行商の方が儲かるはずだよね?
「初めての方ですか?」
名札に店長コービニとかかれた熊獣人の男が声をかけて来る。
「凄いお店ですね、さぞ有名な商会なんでしょうね」
聞いたことないけどおそらく大手商会に店を任されて自分の名前を付けたのだろう。自由過ぎる気はするが、それだけの実力者なら上手くやれば、私に貢いでくれるだろう。そんな算段をつける。
「この村の豪商はウレナイ殿ですよ。入り口の宿兼レストランをやってますが物流が本業なので、いろいろ仕入れさせて貰ってるだけですよ」
「??なんでこんなにいろいろ商品を少しづつを仕入れたので?」
普通は得意なジャンルの商品を見極めて、需要の分だけ買わないと、売れ残るって潰れる。だから気になりすぎる。これは外れ商人かね?
「ライバルがいませんから、このコービニに来ればなんでもいつでもある村の店となってるわけですよ」
「なるほど小さな村だからこそですか、ライバルの商人は行商として来るでしょ?」
「ウレナイさんとサビス兄弟が本拠地にしてる村に出店するのはケンカ売るようなものですからなぁ、ウレナイさんかサビス兄弟の紹介じゃないと恐ろしくて行商とて商売出来ませんよ」
「あのサビス兄弟商会!?」
冒険者ギルドの素材取引で急拡大した商会で高値で買って安く売るから潰れるはずがなぜか儲ける謎の商会のはず。
裏社会と繋がりがあるのは確実と思われるがファミリーの末端の私には分からない。そんな商会を絶対に敵に回したら消されるだろう。
豪商クラスは国家並みの資金力は確実にあり、裏社会と繋がりが方に差はあれど、影響力があるものだ。裏社会の存在とはいえオモテニモ繋がってないとマフィアとて資金が足りないだろうし、隠れ蓑に商会を使うことは多いのだ。
冒険者は学が必要なのと貴族の子が多く、10名を超えるパーティーは少ないから隠れ蓑には向かないのだ。それに冒険者ギルドは自浄能力が高くて、犯罪者とバレたら資格剥奪くらいでは済まない。
とにかく、商会特に大手はヤとかマとかがつく人と仲良しだったり仲間とか部下とか上司だったりなのだ。
「そのサビス兄弟商会ですよ。兄弟で今やこのラスボスがヤバいダンジョン村にいますよ。私はウレナイ殿とサビス兄弟のおかげで安心して商売できますよ」
「なるほど、ではこの村に居るときはここに買い物に来ますね」
表側から裏に金が流れている。裏側からは情報と労働が商人へ供給されてるわけだ。
労働は日雇いでの石材運びなど重労働から暗殺とか盗みとか、とにかく、まともなやつからヤバいやつまで、含まれる。
この村のはスラムは無さそうだけど農家と商人の下働きに同業者が紛れてる可能性は高そうだ。
「休みなく24時間営業ですからいつでも来店してください」
「どうしてそんなことに?休みがないのはおかしいでしょ」
売れない時間帯になんで店を開けてる?夜とかみんな寝てるでしょ?
「冒険者は不規則な生活ですからね。いつでもやってると案外買って貰えるんですよ。飲んでて酒が無くなったとかツマミが足りないとか、夜寝てる魔物を狩りに行くから準備品を買いに来るとか」
「普通は事前に買いだめするでしょ?」
そもそも贅沢な生活が出来る稼ぎなら店が開いてる時間に買いだめするなり、奴隷か下働きに買わせたり出来るのだ。
シバル王国は融和的で奴隷に消極的なので犯罪奴隷か貴族くらいしか奴隷はいないが国によっては市民は全て奴隷を持っており、なにも働かない事すらある。
他種族なら全て奴隷なんて排他的なこともある。
「夜は案外人が多いですよ。ウレナイ殿とかサビス兄弟とかも夕方から夜に来ますよ。冒険者は酒のんでて、閉店時間まで呑んだくれて家で続きなんてことで良く買いに来ますな」
「あー、夜は気をつけないと絡まれそうですね」
飲み屋が閉店してから買いに来るってことね。ウレナイは自分が卸してここで買い戻すって金の無駄じゃない。こっちも三流商人ね。
愛人になるならサビス兄弟ね。
「お客様は美人ですからね、冒険者は特に注意ですよ。村長はレイナ女王陛下のご指名なので、トラブルは村長に相談すると、良いですよ。まぁ襲われる前に逃げ切れたらですがね。ガハハハ」
豪商に絡まれた方がヤバいでしょ。こちらから手玉に取るけどさ。
レイナ女王陛下の指名の村長と豪商の主なら豪商の方が権力が強そうだ。冒険者ならよっぽどでなければ村長で大丈夫そうね。
「そうなんですか、女王様が気にかけてる村なんですね。奈良安心して生活出来そうですよ」
「ウレナイ殿は村長と仲が良くて、ネイ元女王陛下がダンジョンからも守ってくれてるいい村ですよ。商人が入りにくいのとオークが村の近くで増えてるのが玉に傷ですな」
その独占は村長かレイナ女王からの豪商への見返りだろう。物流の豪商なのだから商品や物資の運搬を独占してるのだろう。職人も街から出るとなると難しい。街の稼ぎ手なのだから領主は街からは簡単に出さないし、民にも移動の自由はないのだから。
「いろいろありがとう」
この村の情報収集は進んだので商品を見て回ることにする。
商品は幅広いけど、サイズとか種類は少なくて、専門店よりは品揃えが落ちる感じね。
そ大きくはない店舗だし仕方ないのか。
私はダンジョンに潜る予定なので保存食や水筒、生活必需品を購入した。
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