091話 会談 上

 なに?この空気?ちょっと困ってる優姫です。

 

 

「アーリィちゃん!?」

 

 そう言ったエレンティアさんがそのまま固まる、えっ・・・これどうするの?

 

「アーリィって誰?」

 

 そんな人はここにいませんよ。

 

「えっと・・・あぁ、ごめんなさい。Dランク冒険者のエレンティアです」

 

「びっくりしましたわー、こちらがダンジョンマスターのユウキ様、護衛のカイ様、ネイ元女王陛下です。あんまり失礼しないようにほんまに頼んます」

 

 ウレナイさんが紹介してくれます。

 

「座って話そうよ、お菓子美味しいよ」

 

 堅苦しいのは苦手なんだよね。それよりもなんでネイは話してくれないの?私は司会とか無理なんだけど。

 

「急に呼び出したのは我々ですから、あまり気を使わなくて大丈夫ですよ」

 

 ネイさんがフォローしてくれます。口調が変わると清楚なお姫様だね。元女王だから、もともと偉いけどね。私は違和感の方が強いけどさ。さて後は座ってお菓子食べよっと。

 

「ありがとうございます。こちらもダンジョンマスターのユウキ様に会う依頼を受けてるからいるので助かりました」

 

 うげぇ、面倒くっさ!!ネイに丸投げしよっと。

 

「あー、貴族様の手紙とかネイに任せるよ。この場の話くらいは聞くけどね。私達はゲーヘルとかいう汚物をやっつけたいから戦ったエレンティアさんに話を聞きたくて呼んだんだよ。怪我してる今がチャンスなんだけど、戦いに情報は大切だからね」

 

 海くんが情報は戦闘の基本、より詳しく知っている方が有利って言ってるからね。敵を知り己を知れば百戦危うからず、だよね。

 

「ありがとうございます。ゲーヘルはあの追い剥ぎですか?」

 

「そうそう、海くんがやっつけてくれるから安心してね」

 

 そしてエレンティアさんの情報は目新しい物はなく、体感の命中率や速射能力など話して貰いました。武器はゲーヘルのオリジナルという予想でした。

 

 お菓子はおかわり3回ほどしてもらいました。本当に美味しいね。

 

「こんなところでしょう。後は依頼の手紙の話を聞いてもらえますか?」

 

「もぐもぐ、うん。いろいろ教えてもらったし、いいよ」

 

「故郷のヴィーザ大森林に戻りたいのでトンネルを作ると王国が協力する理由が弱くなってしまうので、中止して下さい。同じエルフ同士協力しましょう」

 

「やだよ。トンネルあった方が私のダンジョン稼ぎ良くなりそうだし、エルフとか守るとかあんまり興味ないし、ヴィーザ大森林に住みたいエルフでオークやっつけたらいいじゃん。私が協力しても見返りないじゃん。場所をシバル王国が決めたいって言うから待ってるだけだよ、本音は早く開通させたいんだよね」

 

「あはは、依頼内容の伝言はお伝えしたので、達成証明だけはおねがいします。それよりも赤ちゃんの頃オークに里が襲われたりしませんでした?アーリィという3歳の女の子と兄のアスクが殺されたところを見た人はいません。そしてなぜか逃げる方向を見た先で、オークナイトが殺されていました」

 

「ん?なんか覚えがあるような・・・あー思い出した!そーいえばアーリィって私の名前だよ。海くんがオークから助けてくれたよ。私がアーリィって良くわかったね?本人もすっかり忘れてたよ」

 

 赤ちゃんの頃だしね。オークを華麗にやっつけた海くんのイメージが強くて、その前は巨乳なエルフと貧乳な母親エルフしか覚えて、なかったよ。

 

「とっても可愛いかったから気になってたの、あなたのご両親は生きてて、弟と妹も産まれてるよ。家族のためにもエルフの味方をお願いします」

 

「えーと、あの貧乳の人、生きてたんだ。兄はオークに食べられてから、あの森嫌いだし、私は優姫だし、家族は海くんとダンジョンの仲間だし、故郷もんー、やっぱりダンジョンかな?森に戻るのはエルフ達の自力で頑張ってね。でも両親に会うことがあったら元気にしてるって伝言よろしくね」

 

「ユウキ様がほんま、えげつないですなー。もう少しオブラートに包んであげんと傷付きますで」

 

 ウレナイさんにやんわりと怒られたけど本音だよ。

 

「確かに帰りたいなら、エルフが取り戻すのが筋ですね。私の両親と同じ所に住んでますし、伝言くらいはしましょう。何より元気に大きくなってて良かった、オークの食事を見てトラウマになる人は多いし納得します」

 

「うんうん、よろしくね。もう大丈夫かな?」

 

「なら個人的なお願いをしても良いですか?」

 

「私が出来ることならいいよ」

 

「ありがとうございます。私は魔法に興味があって、良ければダンジョンの魔法をいろいろと見てみたいんです」

 

「私はいいけど、海くんとネイはどう思う?」

 

「見せるくらいなら、トンネルを断りましたし、よろしいかと思います」

 

 ネイさんは賛成なのね。なら問題なし。たぶん海くんは私に任せると言うと思うよ。

 

「優姫の好きにすればいいけど、なぜ俺に怯えてるのかが気になるな、戦闘態勢でもないし武器も隠してるからな」

 

「そうなの?緊張してるだけに見えるよ」

 

「さすがにバレてましか、あなたの強さが冒険者なので分かったという事ですよ」

 

「それはおかしいな、俺は強い奴ほどナメられるだが?」

 

「そーいえば、海くんはステータスがないからか、冒険者に戦えると思われないね。本当は強いから気にしてなかったよ」

 

「これは他言無用の秘密です。カイ様ユウキ様気を付けて下さい。エレンティアもいいですね?」

 

 ネイさんがフォローします。無いものは仕方ないと思うんだけどなー。

 

「分かりました。・・・なら私の秘密を話しましょう。それでお互いに隠すというのはどうでしょう?」

 

「ええ、秘密の内容によりますが良いでしょう」

 

「それでは荒唐無稽ですが私の前世は大賢者レントなのです」

 

 こうして大賢者レントの真実を聞いたのです。ヘェ~昔はエルフ帝国があったり、大魔法使える大賢者だったんだ。しかも前世は男ならライバルにはならないね。

 

「その話を信じろと?嘘でない証拠がありますか?」

 

 ネイは信じてないみたい。でもあり得ると思うよ。ファンタジーあるあるじゃん。

 

「本当だと思うよ。証拠なら大魔法使って貰えばいいじゃん。ダンジョンで不老不死に成れるし、前世の別世界の記憶なら私もあるし、海くんは前世の世界から転移?してきたみたいだしね。何でもありでしょ?それより銃は前世の世界でほとんどの武器から置き換わった最強武器なんだから手に入れないとね」

 

「「「えっ、本当に!(ほんまに!)」」」

 

「なんでウレナイさんとネイと驚くの?」

 

「てっきり遠くから移住してきたエルフかカイ様の文化なのかと思ってました」

 

 あれれ?ネイに言ってなかったけ?

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