165話 約束された勝利のケーキ 上

 海くんがなぜかケーキをセットで沢山作ってて戦慄してる優姫だよ。誰が残り食べるの!?

 

 

『ルールは、この直線通路からこのケーキを出すか、形が食べる以外で崩れる、もしくはミレーナを気絶させたら俺の勝ち、30分間ケーキをこのまま守るか、気絶しなければお前の勝ちだ』

 

 シンプルで分かりやすいルールだね。

 

『皿は冷却機能があるから時間経過で溶けて崩れることもないぞ』

 

『キャハハ!もちろんサシの勝負だから私がお前に負けを認めさせてもいいよな?』

 

『出来たらな。お前も負けを認めたら俺の勝ちは当然だろう?それとどちらかの味方が手助けをしても、助けられたら負けだぞ?』

 

 そうだね。でも砲撃はトラップだから味方じゃないよ。私が手動操作してるけどトラップだもん。

 

『じゃあケーキを私が受け取って、置いて両方が奥の壁に触れたらスタートな!!キャハハ!!ワクテカするな』

 

 海くんがケーキをミレーナに渡す。あれはアイスケーキで工程が無駄に多い。飯テロ味に味覚細胞耐えられるか心配なんだけど?とりあえずお皿はちゃんと、冷凍仕様だから溶けないよ。

 

 ミレーナは直線通路片側でケーキを置く。するとダンジョンがアラートを鳴らす。

 

「ん?空間の歪みを検知!?なにコレ??えっと解析結果は・・・うげぇ、ミレーナとケーキに接触不能!?そんな能力は卑怯じゃない?」

 

「ユウキ様も大差なく、卑怯かと思います。」

 

 キアリーさんが私に指摘してくれるけど海くんが負ける心配は・・・絶対に負けないね。

 

「そうかな?ダンジョントラップの操作は、ダンジョンなんだから当たり前だよ?」

 

「スキルで感知不能、凄まじい威力かつ継続攻撃ですよ?卑怯でしょう?」

 

「攻略しなければ使わないから、攻略するやつが悪い」

 

 そんな冗談?を言っていると海くんが、30ミリガトリング砲を構える。あれは毎分3900発の劣化ウラン弾という凄まじい威力と引き換えに、DPを大量に消費するやつだ。

 

 海くんは他に、アンチマテリアルライフルとアサルトライフルを装備してる。

 

『キャハハハ、そんな重そうな盾?棒?じゃあミレーナには勝てないぞ!それじゃスタートだぜ!』

 

 ミレーナが海くんと反対の壁を触れた瞬間海くんのガトリング砲から、重金属が音速を超えて吐き出される。海くんの精密操作により、カタログスペックを遥かに超えた集弾率で床のアイスケーキに襲いかかる。

 

 このガトリング砲は戦車の装甲も貫くらしい。

 

「あんな的狙えないけど、ファイア!!」

 

 76ミリ速射砲のオーバーバースト弾がミレーナ付近に襲いかかる。砲身が耐えられない量の発射火薬と火魔法の推進力そして、弾頭には爆薬入りつまり榴弾だ。

 

「接触不能でも衝撃は止められるかな?」

 

『退避!!退避!!死ぬぞ!!』

 

 近くにいた歪曲魔族が私達の猛攻に更に後ろに下がる。応援とかどうこうしてられるほど、生優しい攻撃じゃないからね。

 

『キャハハハってヤバ!死ぬ!!これは当たると死ぬぞ!!キャハハハ』

 

 衝撃波も無効化しますか。うーんとりあえずこっちは弾切れも故障も気にしないから、撃ちまくるしかないね。


『弾道がおかしい。ふむ、調整かけるか?いやケーキ置いてる床をぶっ壊して引っくり返す方が早いな』

 

『今度はミレーナの番だぜ!跳ね返してって危な!?』

 

「チッバレたか。もうちょいでケーキ置いてる床ごとやれたのに」

 

 床板を貫いたガトリング砲の弾丸は下の土も抉りもう少しでケーキが引っくり返えるところだった。海くんの射撃精度おかしくない?ここかなり遠いよ?

 

「舌打ちは辞めたほうが良いかと思います。可愛い顔が、台無しです。」

 

「そうだね。気を付けるよ」

 

 そんな話をしていると、ミレーナはアイスケーキを床が無事な所に置き直す。

 

『キャハハハ、油断も隙もないなっと』

 

 ミレーナは空間歪曲を利用して反射をしようとするもの海くんは射撃を止めるし、76ミリ速射砲は榴弾なので爆発して反射されない。

 

『反らせるなら返すのも出来るか。なら本気出すか』

 

『キャハハハ!煩い煩い!この攻撃煩すぎる!!』

 

 私はダンジョンの機能で監視盗聴できてるけど砲撃が止まらないから爆音が凄くて、海くんとミレーナは会話出来てない。というか砲撃を止めるつもりはない。衝撃波は無効でも爆音は無理らしい。

 

 ミレーナがその場でナイフを振ると、海くんは空間を越えてきたナイフの刃を回避する。

 

 いつもみたいに余裕なギリギリでもないけど、躱してしまう。

 

『キャハハハ、それ躱せるの!?ミレーナ楽しくなってきたぞ!それそれそれ』

 

 海くんはナイフの刃を見切りながらアンチマテリアルライフルをあらぬ方向に発泡する。

 

 そこにミレーナのナイフが転移してくる。見事にアンチマテリアルライフルから放たれた弾丸は、ナイフに命中し激しく火花を散らしてはじき飛ばす。

  

『うひょー、痺れるぜー!!こんなに早く対応されたのは初めてだぜ!!ヤバい!!ぶっ殺したくなってきたぞ』

 

 ミレーナは残忍な笑みを浮かべる。殺戮が愉快でしかたないそんな表情だ。


 対して海くんは、笑顔でまさに心の底から楽しそうだ。戦闘狂でも種類の違いってあるんだね。

 

「海くんは、カッコいいのになんでミレーナは恐怖なのかな?」

 

「この状況で楽しそうに笑顔のカイ様も、同類だとは思います。」

 

「海くんは爽やかで、スポーツが楽しいって感じ、じゃない?」

 

「戦闘、それも殺し合いなのに笑顔の時点でどうかと思います。それでもカイ様の笑顔がステキな事に変わりはありません。」

 

 キアリーさんも最後に惚気させるとは流石の海くんの笑顔だよ。海くんが最高なのは確定だね。

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