209話 卑怯?殺し合いだからな
海くんは馴れて会話くらいは出来るようになったみたいで、どんな脳の構造をしてるのか気になる優姫です。
海くんは知恵熱暑そうなので、氷枕使ってるよ。本当に人間って高速思考のやりすぎで発熱するんだね。
「敵が逃げてるけど追わないの?」
前衛の救助は諦めて本陣は逃げてるみたいだよ。
「30ミリガトリング砲は重くて大きすぎる。ゴブリンでは運ぶ余力はないし、塹壕なしで戦うと迫撃砲の直撃も耐えた精鋭に壊滅的被害を与えられかねない。それに一度安全圏に後退しただけだろう」
そんなヤバイ奴ら居たのかぁ。気が付かなかったよ。海くんは見えたのかな?
「まだ近く4万も敵は残ってるし、攻勢に出れないのは分かるけど、どうするの?」
サイオンが質問します。
「補給線を叩くか、奇襲でちまちま削るかだな」
「補給線は叩き潰してるよね?」
街も街道も農村もゴブリンと、海くんとエレンティアでぶっ壊したからね。
「補給への攻撃は、情報収集してからだな。情報が揃うまでは、奇襲で体力と兵力を奪うのが確実だな」
「海くん、このエレンティアとミレーナで突撃して勝てないの?」
「エレンティアのMPが尽きるだろうな。その状態で退却が確実に出来るとは思えない。キングタランクトクラスの実力者が数百はいるようだからな」
「うげぇ、そりゃ正面から戦えないね」
「ユウキ、花形戦力が強い気がするけど、本当は地味に削って追い込んで、最後に切り札で派手にやって実力を隠すんだよ?もし切り札に対策されても逆転目を先に潰してしまえば負けない。結果として最強の花形戦力に見えるしね」
「そういえば、海くんが狙撃しても反撃されない距離で指揮官壊滅させてから、エレンティアが消し飛ばしたね」
確かに最後のエレンティアの大魔法は無くても勝ってた気がするよ。
「次は追撃の警戒が緩む夜だ。そこまでは待機と休息だ」
「それじゃ私はちょっと寝むいし、仮眠しようかな。何かあったら起こしてね」
「かしこまりました。」
なんかいつも自堕落な生活してる気がするけど、戦時だしいいよね?私は自室のベッドで寝入る事にしました。
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「ユウキ様、カイ様が夜襲を仕掛けますが、ご覧になりますか?」
「ふわわ〜、よく寝たし、海くんの戦いは見ないとね」
起きて、共有スペースに移動すると海くんは氷枕モードでサイオンはとろける寸前かな?寝る前と変わってないね。
「おはよう、さて敵は寝かせない作戦でいこうか」
「ずっと攻撃する感じなの?」
「見てのお楽しみだな」
ゴブリンは日暮れ直後の夜闇に、紛れて数匹ずつのチームに別れて展開しているみたい。
そして迫撃砲をそれぞれ1門準備している。それでも展開してるのは5門だけだし他に隠れてるゴブリンも居ないみたいです。少なくない?
海くんの操作なのに少しずつズレたタイミングで迫撃砲に弾を滑り込ませる。
それぞれ5発を発砲したところで退却を開始するゴブリン達だけど、撃ち込まれた方はてんやわんやしている。
『なにが起こった!?』『火を消せ!!』『敵襲!!敵襲!!』『水だ!!食料テントが燃えてるぞ』『松明を増やせ!!第二波が来るぞ!!』『どこからやられた??』『あっちか?』『向こうから音がしたぞ!!』
発射角度や距離の違いで着弾時間までの差があるから、タイミングをずらしたみたいだね。
爆発はきっちり5発が同時に5回だよ。このせいで砲撃位置どころか、方向も分からないみたいだね。
ターゲットは食料や武器などを、保管していそうな大きなテントの場所に迫撃砲を撃ち込んだのかな?
当然ながら迫撃砲で撃ち込んだ弾の爆発で火災が発生してるみたいです。
「爆発音と仲間の死を昼間に、体験してるし暫くは警戒して寝れそうにないね」
サイオンの言うとおり、確かにこれじゃすぐに寝つけないね。
『哨戒を出せ!!』『敵を見つけろ!!』『陣を勝手に崩すな!!』『新手のスキルか?』『複合魔法じゃないのか?』
「損害は大して与えてないが、心理的な効果は十分だろうさ」
4万人に飛ばせる爆弾をたったの25発だし、消火も魔法を使ってスムーズに進んでて、確かに物理的な被害は小さいかもね。
「これで終わりなの?」
「落ち着いて疲れも感じる頃に、また夜襲する予定だな」
これは雨の夜に静かなのに忘れた頃に、どでかい雷が鳴るみたいなやつだね。あれは寝れないらしいんだよね。私は普通に寝れるけどさ。
「実害があるから無視して寝れないし、大騒ぎするから叩き起こされるし、強制的に徹夜させるんだね」
海くんの作戦は本当にえげつないね。味方なら頼もしいよ。
「身体を休める訓練とか、ぐっすり寝てても飛び起きて、対応する訓練とかやった意味がわかるよ」
サイオンが少し遠い目をしてる。よっぽど辛かったのかなぁ?
「サイオンそんな訓練したんだね。準備というか、やるられる事を前提に準備してるのかぁ。軍人さんは大変だね」
「カイには勝てないけどね」
「海くん寝ないし、どんなに訓練しても無理じゃない?」
「実演されると、無意味で辛い気がする訓練も、身を護るためなんだなって実感するよ。徹夜でまたガトリング砲の塹壕突破作戦とか死ねるもん」
「思い付いて実行する人もあれだけど、予測して訓練してる方も凄いなぁ。そりゃ軍人さんしか戦争出来ないわけだよ」
ゴブリンは迫撃砲を背負って見つかることなく逃走にいつの間にか成功してました。
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