005話 勇者とウサミミ
俺達は魔王の率いる魔物に対する防衛最前線に向けて移動するために、教会が用意した馬車に乗っている。
長い移動時間にこの世界の常識の復習を、聖女シーナにしてもらっている。
神は2陣営に別れており敵対している。2陣営は太陽神オーの光陣営(人族が中心)と月神ウーの闇陣営(亜人や獣人が中心)に別れており、どちらにも属さない者は魔物ということのようだ。光陣営の獣人もいるし闇陣営の人族もいる。
光陣営は教会の騎士が魔物を倒し、国家の軍隊が闇陣営や他国と戦うことになっており、それぞれの数は闇陣営より少ないが、それぞれに特化しているスキル構成になっている。
闇陣営は教会と国家で役割の区別は少ない、だから魔物でも光陣営との戦争でも戦える者が動員されるし、種族が多いこともあり、動員出来る人数は多いがスキルのムダがある。
覚えられるスキル数と上げられるステータス値と、スキルレベルの合計が才能なので、無駄スキルが多いほど才能の無駄遣いになる。
冒険者は広範囲に国家を超えて移動出来て魔物を倒して剥ぎ取ったりや草花などの素材を集めて売る職業ということらしい。主に闇陣営の制度で、闇陣営の主戦力だが光陣営側でも活動している。
ある程度は闇陣営と交易や人的交流もある。冒険者も基本的には属する陣営で活動するが、絶対ではない。教義も2陣営共に大差なくスキル以外の新技術!!ダメ絶対!!なので、個人で陣営対立による殺し合いはめったにしない。
戦力は質の光陣営と数の闇陣営で、結果は拮抗している。
問題は魔物で魔王になると、どちらの陣営も最強クラス人員、Sランク級の強さの複数人パーティーで、なんとか勝てるが、死者も確実に出るほど魔王は強い。
そして同種族の魔物をまとめ上げているから、たどり着く前に突破せねばならずかなり消耗してしまう。これでは魔王に勝つことも難しい。
大軍を送り魔王以外の魔物を排除しようにも魔王は複数おり、戦力が減ったところに他の魔王に攻められたら危険なので出来ない。
こうして放置しましており、いつの間にか魔物が進化して魔王が増える。増えた魔王は魔物の領域を広げて人間から土地を奪ってしまう。
だから両陣営ともに魔物に土地を徐々に削られている。
勇者が魔王討伐すれば領域、つまり土地を取り戻し、人々を魔物の脅威を排除して、世界救うことになる。
それに闇陣営と敵対しているが殲滅が目的ではなくて、神の序列争いで≪光陣営の太陽神と闇陣営の月神が現在同列1位≫ツートップなので優劣が付けばそれだけで良いらしい。
光陣営が魔王を滅ぼし、世界を救うと神々の序列争いに勝てるだろうとのことだ。
世界を救う役目のために、俺にチートを授けて美少女と出逢わせてくれた≪太陽神オーを単独1位≫にすることが俺の最終目標だ。
何より日本と違い俺の力が正しく評価される、この世界を救うのは悪くない。そうな事を考えながら復習していると魔物探知のスキルで、魔物の群れが進行方向にいることを知る。
「魔物発見~!13匹相手に1人が戦ってるよー!」
スティーは優秀で数も状況も正確に把握できる。スキルレベルは同じだが熟練度と適正の差だ。
「さすがスティーありがと、助けるとしよう」
「あんたのためじゃないんだからね」
顔の赤いスティーに声かけて方針を決める。勇者として決めるのもすっかり慣れたぜ。
「まずは妾が先制攻撃するから、後は任せるぞい」
様子が見えてくると、オークの群にウサギ耳の槍を持った少女が襲われているようだ。
「アースランス」
賢者ロリィの魔法で、オークの足元から土の槍が次々と、はえてオークの大半を串刺しにする。魔法の威力と発動、連射速度どれも素晴らしい。
俺は馬車から飛び出し、オークの頸を双剣ではねて、オークを全滅させた。人殺しはまだ難しいが魔物の悲惨な事件は見てきて、生かす意味なんてないと思っている。俺もすっかり異世界に慣れたものだ。
ムツナが馬車の護衛兼御者としているので、後方の守りも安心である。馬車が襲われたら即座に戻るけどな。
馬車が追い付きスティーがオークの解体を始めている。他に魔物はいないようなので、ウサギ耳少女に声かけてみる。
「大丈夫ですか?」
勇者たるもの紳士ではなくてはならない。
「助かりましたぁ。オーク狩りをしようとしたら誘き出しに失敗してぇ、殺されるところでしたぁ♪」
ウサミミがピコピコ動くのも、しゃべり方もかわいい!!勧誘せねばならない!!
「無事そうで良かった。街まで送りますよ」
「狩人ですしひとりで大丈夫ですぅ。それよりお礼をさせて下さいぃ。」
エロいことがいいな~。
「こうみえて勇者なのです。無償で助けて当たり前ですよ」
勇者だからだけでは、モテにも限界があるからな。あのマンガの節約勇者ように紳士でないとな。
「お金もないですしぃ、私は弱いですしぃ、身体くらいしかぁ、ないですぅ」
キタ~~~!!!待ってました桃色な生活!!
「雑用は必要よね」
「私達は魔王討伐が目的ですが、旅は戦闘だけでは出来ませんからね」
「なんでもぉ、ラヴィがんばりますぅ~」
そっちの身体なんだ・・・
こうして新しいメンバーのラヴィを加えて進んで行くのであった。
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