003話 勇者の聖騎士と泥棒
食事はとても美味しいコース料理でメイドさんに配膳してもらい、その後神殿内の豪華なお風呂にメイドさんと入り、神殿内の豪華なベットで1人でぐっすり寝たぜ。
さすがに初日からメイドさんに手を出したりはしていない。寝るときはメイドさんに退室してもらった。自家発電をしなければ寝れなかったからだ。
食事中に、この世界の常識を聖女シーナに教えてもらったことをまとめるとこんな感じだな。
・神の姿は滅多に見れないが恩恵はステータス、スキルである。
・MPは神への信仰、感謝が大きいほど早く回復するが信仰が全く無ければステータス0、スキル消滅になる。
・スキルで作れる物、知識、技術以外は禁忌で決して破ってはならない。最も大切な教義であり神託で明確に禁止されている。
・禁忌に触れる、知識チートなんてしたら殺害対象で歴史上の記録も成果も全て抹殺、消滅される。
・スキルは全てMP消費型で、アクティブ型となる。
・魔物は体内に魔力を貯める魔石を持っており、多くたまると進化し魔法を使用するほど強い個体も存在する。魔石は魔道具の動力になる。
・進化した強い魔物が魔王で同種の魔物をまとめ上げている。
・各魔王がそれぞれ国規模の土地を支配していて他種族を排斥しており、人の居住地域が少しずつ奪われている。
・魔王は複数いて魔王同士で戦争もしている。それでも人族領域へ侵略が抑えられていない。
・戦闘スキルが数個と幾つかの生活、生産スキルでステータス平均が100程度で一般人の大人相当。そして才能の限界がありそれ以上ステータスとスキルが上がることはない。
・戦闘以外のスキルも多くある。
・勇者は魔王を滅ぼし人類を救い、光陣営に貢献すると神託を受けた。
・勇者を支え最初の装備の手配と訓練を行うことも神託である。
聖女シーナに連れられて装備と師匠の紹介のため案内して貰い移動している。
頭琉ナナトは半日で調子に乗りに乗っているが勇者を咎める者はいない。
神が確実に存在し恩恵を与える宗教はそれほどに神は絶対的であり、スキルとステータスを失うことは魔物が跋扈する世界では死と同義なので教えと神の意思に逆らうという発想は誰にもない。
少なくとも信仰心が強い教会の人間には誰一人としていない。
つまり、太陽新オーが選び遣わした勇者に人間性の問題を指摘するなどありえないのだ。人間性などかけらも考慮されておらず、スキルとステータスに対する魂の適正のみで判断されているが知る由もなくまた、疑うこともない。
そんな勇者が案内された神殿内の部屋には二本の剣と白い軽鎧が置かれていて白い重鎧を装備した騎士達がいる。
それは俺の最初の相棒となる武具と教官役の聖騎士だろう。
しかしなぜか、みすぼらしい格好で痩せているが磨けばかわいいと思われる少女が女性騎士に組伏せられている。
聖女シーナがアイドルの様な完成された美人なら、組伏せられている少女は親しみやすい、クラスのかわいい女の子を思わせる少女だ。
なぜかズボンが捲られて下着も少しずれてギリギリ素肌が見えているので目を反らして、周りの騎士に視線を向ける。
組伏せている女性騎士は大人の女性で鎧越しでも分かるくらい素晴らしいプロポーションの美人で、柔らかな雰囲気を持っていて、気安く話しやすそうだ。でも少女を押さえつける様子から鍛え上げられた戦闘のプロと伝わってくる。
なぜズボンを半分脱がす必要があったのか疑問ではある。
「ムツナどうしたのですか?」
聖女シーナが確認の質問をする。
「申し訳ありません。賊に侵入を許し教会から盗みを働こうとしていたところを取り押さえました」
押さえつけている女性騎士が答える。
「なんで腕をとられて押さえつけられただけで、パンツがずれるのよーー!!」
組伏せられている少女が叫んでいる。思わず目を向けると確かに不思議な事だけど初めて見る女の子の生部位の素肌は眼福だ。
やっぱりエ○○ーとか○○とは違うぜ。
「はぁ、ムツナは聖騎士中で最強ですが、ムッツリスケベドジっ子なので諦めなさい。ナナト様、彼女が最強の聖騎士ムツナです。ムツナ、彼が昨日太陽神オー様に勇者に選ばれたズル・ナナト様です」
聖女シーナには名前で読んで貰うようにしたぜ。こういうところから恋人っては始まるだろ?
「意味分からないわよ~!!」
「頭琉ナナトです。よろしくお願いします」
「聖騎士ムツナだ。今後は君の剣の師として、パーティーメンバーとしてよろしく頼む」
本来はフランクな性格なのだろう。しかし組伏せている少女を無視していてギャグにしか見えないぜ。
「勇者様ですから、適切な態度が必要だと思いますが剣の師である間は許しましょう」
「心得ておりますがパーティーとしては戦闘で素早く意見を言えることも命を守る上で重要かと思います」
「なるほど、私は少人数の戦闘は経験がありませんからそうしましょう。パーティーメンバーに限り無礼講とします。私はいつも敬語なのでこのままですが、ナナト様もよろしいですか?」
「いいですよ」
美少女や美人とタメ口は距離が近づいた気がするからムツナに感謝しなければいけないな。
「私を放置するな~~~!!!」
少女が存在アピールしても聖女シーナは少女をスルーする。眼福継続ありがたや。
「ナナト様にお渡しする双剣は先代の勇者様が魔王討伐に使用した物のレプリカで刃潰しをしてあります。防具は今の低いステータスで装備出来る軽い物を選びました。まずはこの装備に慣れて下さい」
「シカトはツラいから許して下さいよぉ(泣)」
流石にパンツと中身を見せてくれてるからこのまま、ではなくてシカトはしづらいので彼女のことも聞いてみることにする。
「装備についてはわかった。盗みに入った彼女はどうなるのさ?」
「太陽神オー様の教会から盗みをしたなら極刑です。具体的には使い捨て奴隷として慰者兼鉱山労働者として鉱山送りですぐに人生が終わりですよ」
聖女シーナが答えてくれる。
「盗むつもりだったようだがまだなにも盗ってないから侵入だけだな。鉱山送りの慰者くらいで採掘作業は回避出来るかもな。採掘しながら犯罪奴隷の相手よりは少し長生きできるだろう」
聖騎士ムツナが盗みをしてないと教えてくれるが彼女が奴隷としてヤバい男達のオモチャになるのは確定らしい。
「状況的に窃盗も問えますが、侵入だけで十分でしょう」
聖女シーナの判断でも僅かに温情されるが、少女からみるみる元気が無くなり頭を垂れてしまう。
これもイベントか?悪い人には見えないし何より可愛いし話くらいは聞いてみようか。
「どうして教会から盗みをしようとしたのさ?名前は?」
「私はスティーよ。Bランクパーティーにいい斥候だからって引き抜かれたら、ハメられて装備も金も持ち物も全部奪われて襲われそうになったから逃げたんだけど・・・ステータスプレートもないし再発行するお金もないしで仕事できなくて、それでご飯を3日食べれなくて教会に助けを求めようとして凄い剣が見えたからつい冒険者として気になって持ってみたくなったの。ごめんなさい」
少女をハメた奴は許せないけど、冒険者って剣を見たら持つものかと疑問に思う。
「冒険者って剣が好きなのか?」
「悔しくてご飯食べてなくて、お宝に目が眩んだの」
3日絶食したことないけど、太ましい俺は1食も抜けないから仕方ないと思う。何よりイベントならば仲間に出来るでしょ。
「本当に優秀な斥候なら力を貸して欲しいな」
「一応Cランクの冒険者よ。ステータスと期間は十分だけどスキル数不足でBランクにはなれないけどね」
「Bランクの冒険者になるには最低10年はかかるはずですが、本当ですか?」
聖女シーナが質問をする。
確かに十代に見えるスティーが10年も冒険者をやってるとは思えない。
「6歳から冒険者やってるからね。もう14年目よ。読み書きと実力があれば年齢は関係ないから」
どうやらスティーは二十歳らしい。というか6歳から冒険者ってどうなってるの?日本ならあり得ないことじゃない?高校くらいにバイトしてた奴いたけどそれより前は聞いたことないし。
「なるほど、それでもその年齢でBランクに近いとはそれなりに優秀ですね。それではスティーが3ヶ月でBランクになり金貨三枚を準備出来たら今日のことは不問し勇者パーティーで斥候の候補にしましょう。そのための準備に金貨三枚を渡します」
どうやら聖女シーナは金貨三枚貸すから食事と装備を整えてBランクに成れたら奴隷落ち回避でパーティーメンバーになるということを提案したみたいだ。そして金貨はきっちり返せと言うことみたい。
俺の意思を尊重して先回りしてくれていて、聖女シーナと心がつながっている気がするぜ。
「勇者様と旅するためじゃないけど、勇者パーティーの斥候やってやろうじゃないの」
どうやらスティーはツンデレのようだ。ツンデレは王道!!大好物です。
「決まりですね。勇者様は装備をして午前は魔法の鍛練を私と、午後からはムツナと剣の鍛練ですよ。私は回復魔法特化でMPと魔力がスキル込みで約20万です。ムツナは魔力こそ低いですが防御力が12万で攻撃力と素早さは9万でMPは15万ですね」
「「すごい!!!」」
スティーと思わず同じ事を言ってしまう。
「真似すんな!!」
スティーに怒られつつも強くならないと聖女シーナと聖騎士ムツナにはモテないと気を引き締めるのであった。
この世界に召喚され美少女と美人に出会えたことを神に感謝するのだった。
こうしてスティーは冒険者としてランクアップを俺はステータスとスキルレベル上げをすることになった。
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