閑話5 『早霧日記その5』

 七月二十五日(月)

 どうもどうも、早霧ちゃんです。

 えへへ、えへへへへへへへ、えへへへへへへへへへへへへへへへへ。


 ……へって書きすぎて、へが変に見えてきちゃった。

 

 やっと日記が書けるー!

 スマホは入力速くて便利だけどやっぱり紙じゃないとしっくりこないよね。

 だけど蓮司の家でスマホのメモに書いていたものを日記に書き写すのは面倒だなーと思う年頃なのです、えっへん。


 こうして読み返すと、色々あったけど楽しかったなぁ。

 最初は喧嘩からだったけど、ちゃんと仲直りできたし、何ていうか、今までよりも仲良しになったと思うし……えへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ。


 ……への角度ってこれであってるっけ?


 じゃあそろそろ、今日あったことを書いちゃいましょうかねえ、へへへへへ……。



 えー、今日は待ちに待った自分らしさ研究会ことボランティア部がお願いされたラジオ体操のお姉さんをしてきました。

 集まってくれたみんな、元気いっぱいですっごい可愛かったなぁ。


 特に後から来たアイシャちゃんと厚樹くん!

 アイシャちゃんはイギリス人のハーフで金色の髪が奇麗な女の子!

 しかも許嫁の厚樹くんのことがすごく好きなんだって!

 この二人は昔の私と蓮司を見てるみたいで、すっごい応援したくなるんだぁ。


 昔のこと。

 そう、昔のこと。

 

 家に帰って、お姫様って言ってくれた蓮司とキスをして、そこで分かったの。

 【親友なんか】って言われちゃった時、もしかしたらって思ったけどやっぱりそうだった。


 蓮司はあの日のことを忘れちゃってたんだ。


 苦しかったけど、嬉しかった。

 だってそれを正直に言ってくれて、まっすぐ私の目を見て教えてほしいって言ってくれたから。蓮司は優しいから……私が傷つかないように誤魔化すことも出来たはずなのにね。


 だから話したの。

 私と蓮司の、大切な親友の思い出を。


 そりゃあさー、やっぱり最初は辛かったよ?

 だって蓮司はこれを忘れちゃってるんだって気持ちと、その原因は私のワガママで振り回して怪我と高熱を出させちゃったことだもん。


 けど。


 話してる内に私もあの時のことを思い浮かべて、楽しかったって。

 やっぱり私、蓮司のことが大好きなんだなって……。


 話し終わる時には胸がいっぱいになって、でも、蓮司は泣いちゃってた。

 蓮司は優しいから、今までのこと全部全部ひっくるめて私のことを傷つけたと思っちゃったんだ。


 ……逆なのにね。

 親友の意味を忘れちゃってても、ずっと一緒にいてくれたのにね。


 好き、蓮司が好き。

 私は蓮司のことが大好き!

 ちゃんと思いだしてくれたから、これからはもっと甘えちゃうもんね!


 明日はまたアイシャちゃんたちとラジオ体操をして。

 水曜日は部活で久しぶりにゆずるんと長谷川くんに会って。

 木曜日はみんなでゴミ拾いをして。

 金曜日は暇だから蓮司と一日中一緒にいて。

 土曜日はまた部活で今度はひなちんも来てくれるらしくて。

 それで日曜日は夏祭り!


 うん、今から楽しみだなぁ……!

 ああ、早く蓮司に会いたいなぁ……!



――――――――――――――――――


第五章 俺はあの日のキスを思いだしたい 完


次回


第六章 俺たち幸せを分かち合いたい



――――――――――――――――――――


2024年10月4日

※追記

 以前は次からの章を最終章と書きましたが、当時の想定以上に話が膨れたため最終章はまだまだ先になりました。

 これからも二人の物語を応援していただけますと幸いです。


 ゆめいげつ。

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