閑話2  『早霧日記その2』

 七月十二日(火)

 今日も私、八雲早霧は日課である日記を書いている。

 今日は色々あった日なので、改めるには丁度良いかなって思った。

 それぐらい色々あった、そう、色々と……。


 まず朝、学校に早く行く為に蓮司を部屋に起こしに行ったら寝ぼけてて、私の事を『さっちゃん』って呼んでくれた。

 いつの間にか呼んでくれなくなったのに、急に言うからすっごく驚いたし、ドキドキもした。

 だから……学校に行くまでにもう我慢できなくなって、何度もキスをしちゃった。


 学校では久しぶりに友達のゆずるんと会った。

 やっぱりゆずるんは元気一杯で楽しくて、それと一緒に長谷川くんも元気になって、ああいつもの日々が戻ってきたなーって嬉しくなった。


 だけどもう、それだけじゃ満足できなくなっちゃって。

 知ってしまったキスの味。

 蓮司とのキスは朝だけじゃ物足りなくて、隠れて、部室の前で、何度も、何度も、何度も……しちゃった。


 友達に隠れてするキスは、いつものキスと違ってすごい……すごかった。

 


  ◆



 七月十三日(水)

 今日も嬉しい事があった。

 学校に行ったら蓮司の方から私を親友って呼んで、可愛いって髪を撫でてくれた。


 まるで教室の皆に見せつけられているようで恥ずかしかったけど……むしろ皆がいなかったら、私はあの場で我慢できずにキスをしちゃってたと思う。


 だって蓮司からアピールしてくれる事なんて滅多にないし、いつも私からいっちゃってるから……蓮司もしたいんだって思ったのはすっごい嬉しかった。


 ……でもそうじゃないって知って、その後ちょっとムカッとしちゃったけど。

 その変わり一緒に授業をサボったりして、二人だけの秘密がどんどん増えていく気がして、やっぱり嬉しくて。


 でも、最後の……帰り道でのキスは……いつも通りの筈なのに……何か違ってた。


 まるで蓮司と一つになれたみたいで……だから自分の考えが全部見透かされているような気がしちゃって、恥ずかしくて……顔が見れないし、見られたくなくて……。



  ◆



 七月十四日(木)

 私は同じ失敗はしない。

 恥ずかしくて、顔が見られないならマスクを付けていけば良い。

 完璧な作戦。

 今までの私なら首元にグルグルマフラーを巻いたりして関係ない完全防備で熱中症になってたと思う。

 失敗から学んで、私は成長出来る賢い子なのです。

 えっへん。


 ……失敗した。

 私は隠せてたから良いけど、蓮司の唇にずっと目が行っちゃったんだ。

 いつもキスする、親友の唇。

 昨日重ねて、まるで頭の中にビビビッと電気が走ったような気持ちよさだったその唇から目が離せなくて。

 そんな罪な唇の蓮司も、授業中にずっと私を見てて……ドキドキしちゃった。


 そして今日はゆずるんも長谷川くんもテストで遅れてきて、部室で二人きりで。

 そんなの、我慢なんて出来なかった。

 キスしたらどうなるか分からない。

 だから触るだけで我慢しようとしたんだけど、どんどん夢中になっちゃって。

 

 何も言ってないのに、蓮司がまるで私の服を脱がすように、優しく……そう優しくマスクを外してくれた。

 それがすっごい恥ずかしくて、やっぱり男の子なんだって思う大きな手が私の顔に触れて……一緒に口の中を、ぐちゃぐちゃにしあって……あぅぅ。


 また、悪い子になっちゃった。

 でも、蓮司と一緒ならどこまでも悪い子になれる。


 そんな気がするんだ。



  ◆



 七月十五日(金)

 蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。蓮司がキスをしてくれた。


 強引に、だけど優しく、蓮司から私に……。


 大きな手で、腰を抱いて……頬に手を添えて、求めてくれた。


 蓮司とのキス、幼馴染とのキス、親友とのキス、好きな人とのキス。


 自分からするのとは全然違って、驚いて強張る身体を優しく腕で抱いてくれた。


 頭が真っ白になっちゃった。

 蓮司も私が最初にキスをした時は、こんな感じだったのかな?


 そうだったら、嬉しいな……。


 ああ、どうしよう。

 もっと一緒にいたい。

 もっとキスをしてほしい。


 またあの腕の中に抱かれて、ちょっと乱暴な、大好きな親友からのキスを。


 もっともっともっともっと、蓮司から……されたいなぁ。

 


――――――――――――――――――


第二章 親友はキスをしたい 完


次回


★1000達成記念、お礼企画

番外編1 「ねえねえ。〇ッキーゲーム、しよっか?」


その後


第三章 早霧はキスをされたい

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