第十八話 店番 一
翌朝、俺達は依頼書をもって
いつもの
歩くごとに「お、おい。あれ誰だよ」「あんた……早く準備しな」等のようなやり取りがされている。
彼は男ですよ、男。
美少女に見える美男子を横に俺とケイロンは目的である熊獣人夫婦がやっている店へと
「すみません」
「あ~まだ開店前なんだ。開店まで待ってくれ」
声が
そしてどうやら
前はそこからベアおばさんが出てきたんだっけ。
しかしどうやら俺達を客と間違えているようだ。
「俺達、冒険者ギルドの依頼で来たのですが」
「お、依頼を受けてくれたのか!!! 」
依頼、という言葉に素早く反応して扉をガバッ! と
「お、この前の! お前達が受けてくれたのか! 」
「ええ」
「そうかそうか、助かった」
「「助かった? 」」
「もうすぐ売りに出す用の
腕を
物凄い売れていることは分かるが……やっぱりどこも人手不足なんだな。
「おや、この前フェナちゃんが連れていた子達じゃないか! 」
俺達が店主に手順を聞こうとすると奥からもう一人大きな影が見えた。
「ベア、こいつらが
「クマツ、そちゃぁ本当かい! 助かるね」
その声に顔を上げるとそこにはこの前紹介してもらったベアおばさんがいた。
店主さんの名前、クマツさんっていうんだ。
自己紹介もほどほどにし、受付での
「この裏にある
そう言われ、受付を正面から見る。
そこには小、中、大と書かれた茶色い
値段は小が銅貨一枚、中が銅貨二枚、大が銅貨三枚と書かれている。
しかし値段ほど少なくない。
少なくとも大の
「だから前においてるもんは売らずに店中に
「もし
おい、ケイロン。不安になるようなことを言わないでくれ!
「大丈夫だ。持ち上げて見てくれ」
そう言われ、俺が大の
ぐぐぐぐぐ……。
重い……。
何だ、これは?!
ケイロンの方を見るが、向こうも持ち上げれないようだ。
小ですら持ち上がらないとはっ!
「ははは、
「最も、俺達相手に
確かに。
クマツさんやベアおばさんを見て
何せ大きいはずの服がパンパンに
「あとは、そうだな。後ろの分を売ってくれればいい。その日で売れる量が違うから売れ残っても大丈夫だ」
「そうだねぇ、お金の間違いを気をつけてくれればいいってもんよ」
そう言い二人は準備をする。
木製のリアカーを持ってきて、そこに空の
物凄い大きさだ。どれだけ
「さぁ俺達は
「そうさね、ついでに
「
「ちゃんとリードしておくれよ」
何やら
ベアさんを後ろに乗せて。
★
二人が
「さぁやろう。服はこのまま……でいいんだよな? 」
「いいと思うよ。何も言わなかったし。それに周りの店を見て」
ケイロンにそう言われ店の内側から身を乗り出して
「あぁ~どこも自由な感じだな」
「多分私服がそのまま仕事服になっているんじゃない? 」
「なるほど」
「さて、
ケイロンは店の中を歩き、
俺はその
「あった、あった。デリクは……計算得意? 」
「足し算、引き算そして掛け算までは大丈夫だ!!! 」
「……君を教えた司祭様って何者? 」
「さぁ? でも色々教えてくれたなぁ」
ジト目でこちらを見るケイロン。
村を出てたった数日前の事なのに
「で、計算がどうしたんだ? 」
「これ書ける? 」
俺が整理された
その隣には売り出したものが。
「多分書ける。
「そうそう。僕が書こうと思うんだけどもし手が離せなかったら変わってもらってもいいかな? 」
「別にいいよ、そのくらい。それに……」
「それに? 」
「ケイロンが受付に立った方が売れ行きが良さそうだ」
そうからかう。
も、もう、と言いながらケイロンは違う作業に移ったがあながち嘘でもない。
こういうのは美男子がやった方が売れると思うのだ。
残念なことに。
前に村の女性に人気な司祭様が女性の行商に村でできた野菜を売ったことがあった。
その時……いつもより多めに買ってくれたんだ。
それからというもののその行商は俺達の村へ足を運ぶ回数が増えた。
売れ行きがまずく、困った時は……。
と、ケイロンを見てニヤリとする。
「さて、もうそろそろ他の店が回転し始めてるよ」
「あぁ。やろうか」
こうして俺達は初めてのレジ店員をするのであった。
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