第十話 宿屋『銀狼』 五
真面目な顔をしてこちらを向き、
その圧倒的なまでの
これから話すことに
「なぁ兄ちゃん達。正直薬草採取とゴブリン退治の事、どう思ってる? 」
「ふぇ? それは……」
「簡単な依頼、と思ってるでしょう? 」
「え……まぁ……」
「森……この辺だと林になるが、薬草と言っても多種多様だ。特徴的な形をしてるもんなら、まぁ見分けるのに苦労はしないんだが
「持っていったら、間違っていたり、ね」
「あれは
「あの後責任をその冒険者に
「おおっと、話がずれてたようだな。だが、これはまだ良い方だ。森や林は時にモンスターになる。単純に迷って出れないこともあれば、
経験則か、やたら
しかし……これは
森や林は確かに危険なようだ。浅いところならまだしも奥へ行くとどこを歩いているのか分からなくなるってじいちゃんがいってたし、な。
「ゴブリン退治は更に難易度が上がります。体格の弱弱しいゴブリンと言えど剣等を持ち、集団で襲ってきますので」
「考えてみろ。そこら
「……
分かりやすい例えでガルムさんが
確かに……。
これは甘く見ていたかもしれない。
ここまで考えないといけないのか。
「俺達に兄ちゃん達を止める権利はねぇが……せめて危険を
「最初の内は
表情を暗くし、
もしかしたら昔何かあったのかもしれない、二人の表情はそう思わせるものであった。
しんみりとした雰囲気の中、床に転がっている銀色の塊がピクリ、と少し動いた。
経験者二人の言葉だ。ありがたく受け取っておこう。
「だわーー!!! 私、復活っ!!! 」
元気に拳を
しかし相当なダメージを受けたようだ。
少し白い肌色に銀色の
「ふぅ、ママも
胸を張る。張るほどの胸はないが……。
どれだけ自分がすごいか主張したいんだろう……だけど
少し
「で、どう? 行く? 行く? 行きましょう! 」
白い肌をこちらに向け、
どれだけ行きたいんだよ……。
隣のケイロンも
「どこに行こうとしているのですか? 」
「ひぃっ! 」
俺達にぐいぐいきている所で、フェルーナさんに
その白い右手がフェナを
やはり何かあるのだろう。少し顔に
「い、いやぁ~その……お客様である美少年? とお兄さんに町を紹介しようと思って……。ほ、ほら! この宿に来たということはこの町初めてかもしれないじゃない? 一か月も
「……それは良い心構えですが……晩御飯の用意に掃除はどうするのですか? 」
うぐっ! と
なるほど、仕事から逃げるための
なんとも……。
確かに善意百パーセントで言っているのではない事は雰囲気からわかっていた。
だが、こうも上から目線で言われると
「今日くらいは良いんじゃないか? 今日はこの近くだけだが、兄ちゃん達がどこに何があるのか確認する必要はあるだろ? 町の中の依頼を受けるなら」
「……確かにそうですが」
「新しい町に
少し困った顔で
腕を
彼女としては
家にも見えるこの宿。
思っている以上に広範囲なのかもしれない。
「俺が出来る所は俺がやるから、よ」
「ありがとう! パパ! 大好き!!! 」
ガルムさんが
その言葉に一早く反応し、物凄い
ドッ!!! と殺せなかった勢いがそのままガルルさんを襲った。
も、物凄い音が出た、な……。
だが特にダメージは
見ているこちらからすると、少し顔が赤くなるような――しかし
ジト目のフェルーナさんの瞳で今の状況に気が付いたのか顔を赤くしながらも
「はぁ、仕方ありませんね。ではお客様方、娘をよろしくお願いいたします」
そう言い、頭を下げた。
いえ、町の案内をしてもらうのは俺とケイロンなのですがっ!
まさか連れて行くだけで問題が起こる……何てことはないよな?
かなり不安になりながらも「いえいえ、こちらこそ」と言い、申し出を受けた。
フェナはフェナで親の
そこまでして働きたくないのか……。
俺達の
そしてフェルーナさんの目線にも気付いていない。
しかし本人は今にも行きたくて仕方ないようだ。
「じゃぁ行くわよ! 」
彼女が声
俺達は腕を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます