第九話 宿屋『銀狼』 四
赤い顔のままケイロンはこちらを見て今日の予定を俺に聞いてきた。
「そうだな……。町を見て周らないか? 」
「いいね、それ。だけど晩御飯まで時間があるとは言えないよ? 」
「本格的な
「……確かにそうだね。
机
どうしたものか。
言ったはいいものの、帰る時が困る。
もし道に迷った場合、戻ってこれるかどうか……。
流石に
俺達は考え、
肩を回しながら首を動かすとそこにはフェナがいた。
ガルルさんとフェルーナさんはいない。
どうやら俺達に
ピクピクっと彼女の銀色の耳が動く。
こちらの話を
何というか看板娘、いや従業員としてあるまじきことだと思うのだが……まぁいいか。
俺達が困っているのを知ってか、フェナがこちらへ
「わ、私が町を案内しても、いいのよ! 」
少し緊張気味に言った。
……なんで彼女はそこまで
分からない。
だが実の所案内この町の人であるフェナに案内してもらうのはいい
少なくとも俺達二人よりかは町に
「ケイロン、どうする? 」
「僕はいい
「俺もそう思う。だが……」
そう言い、俺とケイロンはフェナを見る。
何かこう……残念さが
「な、何よ! 二人ともいいんなら、行きましょうよ! 」
何を
「ええ、夕食前まで町の
「ほう……。そういや、お前さん達冒険者だったな」
「ええ、今日登録したばかりのFランクですが」
「あぁ……なるほど、町の
なにか
ガルムさんは他に冒険者達と
「パパとママは昔
フェナの背後に金色の影が
「
笑顔で
浮いてます!
フェナが物理的に浮いてます!!!
小さな
痛そう……。
あれは
正面のケイロンを見ると、顔が引き
例え子供とはいえ、一人分の重さを片腕で持ち上げているのだ。
それも痛みを与えながら。
俺達の
多分、俺と同じようにケイロンもそう思っているだろう。
「お客様方は冒険者なのですか? 」
「「イ、イェス! マム!!! 」」
俺とケイロンは条件反射的に
「……そ、そんなに怖がらなくても……。コホン、で……言いたく無ければいいのですが、ランクは? 」
「「本日登録したばかりのFランクでございます! マム! 」」
少し
またもや気絶している娘を隣に
「あ~、今日は
「あら、そうなのですか? 」
考えているフェルーナさんにガルムさんが伝えた。
すると考え事がすっかりなくなったかのように
一体彼女の中で何が疑問だったんだろう?
そう思いながらも次の言葉を待つ。
「お
「登録と同時にパーティーを
「ただ、最初の
俺につられ、ケイロンもフェルーナさんをマムと呼んだ。
「マムはやめていただけると
そう言い長い金髪を前に
しかしながら雰囲気は
少し
それに頭を下げられたので、これ以上はやめておこう。
「分かりました、フェルーナさん」
「すみませんでした」
俺達も頭を下げる。
こちらの謝罪を受け取ったのか頭を上げ、ニコリとする。
その気配を感じたので俺達も彼女を見上げた。
「で、どうしたのですか? 」
「いえ……。冒険者は基本的に自由なので言いにくいのですが……」
そう言いながら
ガルムさんも少し困っているようだ。
「俺達ははっきり言ってお
「僕とデリクはつい最近会ったばかしですし。なので、何かあれば
この空気に
いうべきか、いわざるべきか、かなり
「最初の
「実際俺達もそうだったしな」
「ええ、なのでこれから
「まぁ、あれだ。最初の
二人は昔を思い出したのか、少し遠く
安全な依頼?
それはほんの
「最初……つまりFランクでも
「どんな依頼ですか? 」
「
俺達が受付の話を聞き流したのかと思い、少し顔を
「聞いてない、ですね」
「ええ、何でも先輩達にでも聞け、との事らしく」
二人で
あの受付嬢、本当に放り投げたからな。
何も知らないんだ。
「それは本当ですか?! 」
「
「その
「物凄い
あの時の事を思い出し、少し高ぶる。
俺達のちょっとした怒りを感じたのか、ガルムさん達は少し咳払いして
「あってはならん事なんだが……まぁいい。今回は俺達が説明しよう」
「ランクについては知ってますか? 」
「
「本当に最初だけじゃねぇか」
「え、えぇーっとですね。ランクはFからSまであります。でもまぁ大体、最高ランクはA。Sは
「今はいねぇんじゃねぇか? 」
「……引退した元Sランクならいましたけど……。あの人は今どこにいるのか……」
なるほど、ランクはSまでか。
フェルーナさんの
話の感じだと
「で、依頼を受けるわけだが……勿論失敗した時の
「これは依頼主の
その後色々と冒険者ギルドに関する話を聞けた。
この宿に来たのは正解だった。
正直、他の冒険者達に聞く
「そして冒険者の――ある
「それが、薬草採取にゴブリン退治、だ」
ガルムさんとフェルーナさんは
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