第百五十七話 王都のドタバタな日常 三
「そうえいばケリーさんはリンの初心者講習に参加しないのですか? 」
「……あれ以降、俺は
「
「どうも
冒険者ギルドの訓練場。ここでは様々な冒険者達が汗を流していた。
いや正確に言うと彼らは自分のランクに合う依頼の依頼
広い訓練場。俺達は周りの邪魔にならないように
「なぁ、何か前よりも訓練している奴の数、多くねぇか」
「ああこれか。お前さん達がモンスターを
「俺達のせいか?! 」
「
「ワタシ達には自由意志がなかった気がするが……」
「んなこまけぇこと気にすんな」
更に詳しく聞いてみるとどうも例年の数倍上を一パーティーで倒していたらしい。
そりゃいなくなるわ。そして失職するわ。
だがケリーさんも言っていたが仕方ない。彼らのつけを俺達は
それに職自体が無いわけだは無いだろう。
王都の依頼を見ると
「じゃ、はじめるか」
俺とスミナが武器を片手にケリーさんに向き合った。
「いやいやいや、ちょっと待て。勘違いしている! 今日は戦闘じゃねぇ」
「え? 違うんですか? 」
「てっきり「戦いの中で
「ちゃんと教えるって言ったんだ。そんなことはしねぇよ」
誤解を解くように手を前で振り慌てて説明した。
コホン、と
それに
この人の事だ。「警戒を
「まずは、『
そう言いながらいつの
あ、近くに事務員らしき人がいる。
ありがとうございます!
「その名の通り、攻撃を
そう説明しながら石を軽く
「これが普通の一撃」
もう一個の――少し大きめの――石を軽く投げ少し速い
「こっちが『
「「わかるか!!! 」」
ツッコむと「え? 」と言う表情をしてこちらを見ている。
「
「違います!
「あれは説明になってねぇ」
「わかった、わかった。こっちも手が少ない時に助けられたこともある。もう一回やるから見てろ」
そう言い再度
今度は目を見開き注意深く、見る。
実演をじーっと見ているとほんの
「分かったか? 」
「……同じところに二回
「おう、そうだ! 」
「初めからそれを言ってくれ……」
「やらないとわからないだろ? 」
「聞いてから見るのと、見るだけじゃ全然違うんだよ」
「ま、分かったのならいいだろ。ハハハ」
そして今度はいくつもの石を持ってきて準備を始めた。
まさか
「
そう言いながら複数石を
今度はかなり注意深く見ていたから
「えげつねぇな」
「だけどモンスターを倒すのが楽になりそうだ」
「一応の解説だ。『
「前にワタシの盾を攻撃していたのは『重ね』だったのか」
「そうだ。加えて『重撃』を『
俺達はそれを聞いて「うわぁ」と
そりゃ課長に怒られるわ。
これまでよくそれで死亡者が出なかったな。
「『
そう言い俺達に
「……
★
リンの今日の初心者講習が終わったらしくアルビナが彼女を訓練場へ連れてきた。
それを確認して俺達は
結局の所、
これは思った以上に難しい。
「流石です。リン殿下」
「いえ、この場では
「いえ、しかし……」
「リン、でいいですので」
そう言うやり取りが聞こえてくるが……どれだけ
ギャップがすごすぎるだろ!
「終わったか? 」
「ちょ、アンデリックさん。言葉使い」
「構いませんよ。許可を出している、いえ、言葉使いを他の人と
「で、でん「リンです」……。ハイ。リン様がそうおっしゃるなら」
少しばかし汗をかきながらアルビナがこちらに近付いて来た。
「ちょっと、ちょっと。アンデリックさん。どうなってるんですか」
「俺が聞きたい」
「どういういきさつでリン殿下が冒険者をやることになってるの~」
俺にかなり小さな声で
頭を
「それに初心者講習、いらないんじゃないの?! 」
「??? 」
「講師泣かせもいいところよぉ」
どうやら今日の
何があったのか聞いてみると悲痛な声を上げながら俺の服を両腕で
彼女の頭の中にある
うわぁ……。
これは確かに講師泣かせだ。
同情はするが、初心者講習の話を持ち出したのはアルビナだ。
「グッドラック! 」
「助けてぇよぉ!!! 」
そういうアルビナを放置し俺とスミナはリンの方へ行く。
「では帰りましょうか」
「ああ」
ギルドカードの
明日もまたリンの初心者講習があるのだが……。
グッドラック、王都本部。
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