第百六十八話 婚約者、だと
そう、婚約に関する書類だ。
いや正確に言うと
分かるが……さてどうしたものか。
二人を、いやこの場合だとリンも呼ばないといけないのか? なら三人を呼んで話し合うか?
『どうしたのよ、朝から
「余計なお世話だ。ひーちゃんがきて余計に
『な、なによ、その言い
「
『むきぃぃ! まだまだピチピチの千十八よ! 』
「……ふっ」
いきなり現れた
正直誰かに相談したいところだが、ひーちゃんか……。
『ねぇ、何か馬鹿にしてない? 』
「……とんでもございませんよ。ひーちゃんさん」
ギギギという音を鳴らしながら座っている椅子に背を
そこからひーちゃんの小さな体が見えるがそれどころじゃない。
あああ、自由気ままな精霊が
『もしかして恋愛?! 恋バナ! 』
何て
『それなら
「いや、呼ぶなよ! 」
反射的に叫んで小さな彼女を
あちっ! これ実体化しなくても熱を持つのか!
『いやぁ~変態に
「誰が変態だ! エルベル憲兵に突き出すぞ! 」
『それだけはマジで
エルベルの名前を出すとすぐに謝ってきた。
手を離すと机の上で、少し浮いている状態で土下座する火の精霊。
シュールだ。
『で、あの反応からすると本当に恋愛事のような気もするけど、どうなのよ』
ね、ね、と土下座から起き上がり俺の
特に痛くはないのだが、うざい。
しかし話さないと永遠に付きまとわれそうなので手紙の事を話してみた。
『ハーレムね!!! 』
「そう言うと思った! だから嫌だったんだよ、相談するの! 」
『いいじゃない、全員
「そう言ってもな、相手の気持ちってもんがあるだろ」
どこか意味ありげな顔をしてこちらをみるひーちゃん。
何だろう。ニヤニヤしてどことなく人をイラつかせる顔だ。
少し顔を引くつかせながらも彼女を見ていると聞いて来た。
『……アンデリックはどうなのよ、その所は』
「その所とは? 」
『その二人のこと、好きなの? 』
……。直球だな、おい!
しかし、好き、か。考えた事がなかったな。
二人を思い浮かべて考える。
かっこいい系と美人系……。
『これは脈ありね』
何かぼそぼそひーちゃんが言っているが気にしない。
少し顔が熱くなるも、きっと朝の
「ご主人様、朝食の準備が出来ました」
『ま、後は自分で考えたら? 』
相談役とは一体? と思いながらも俺は朝食を取りに下におりて仕事に向かうのであった。
★
それから何日も雑務系と採取系をこなした。
ある日王城から
結局の所、話出せないままである。
これ、このままでいいのか? とある日の
「これじゃ変態じゃないか……」
暗闇の中、寝室で独り
向こうはどう思っているんだろうか。
もしかして俺の事を?
いやいや、それは流石に思い違いだろう。
一人思い
『ギャァァ! 』
「精霊さぁ~ん、まってぇ」
『嫌よぉ! 』
「ほら、変なことしないからさぁ」
何だ変態か……。
しかし一室割り当てたはずなんだがなんでこうも部屋から出るんだこいつら?
割り当てた意味ないだろ。
『嫌ぁぁ! 』
これは中々に
寝ようにも寝れない。
流石に注意しようと思いベットから出て
すると涙を浮かべながら逃げまとうふーちゃんと下着姿で追い
『助けてぇ』
「うひょひょひょひょ! お嬢ちゃん、何も怖くないからおいで~」
「ぐひぇ! 」
ブリッジで頭から突き落とした。
「少しは反省したか」
「……はい」
正座をしている緑の下着姿のエルベルを前に俺は見下ろし説教する。
が、どうも反省の色が見えない。
しかし毎回の事である。このくらいでめげる彼女でないのは知っている。
「はぁぁぁぁ……。せめてもう少し抑えてくれ」
「これでも抑えている! 」
そう主張するが、全くもって説得力がない。
ジト目で見るがこれは無理だと思い
エルベルを見ているとこれまで悩んでいたのが
考えても仕方ないか!
そう思いながらベットに向かうのであった。
★
「先日これをピーター様とコウ様から渡されたんだが」
「これは」
「あちゃ~。このせいで最近依頼に力入ってなかったんだね」
「あらあら」
エルベルを叱った翌日俺はケイロンとセレスそしてリンを執務室に呼んで開封済みの封筒を見せた。
もちろん婚約に関する書類だ。
三人に目を合わせて聞いてみる。
「で、書類だけなんだが」
「まぁ書類だけだね」
「正式なものになると王家に届けるものもありますがこれは別のものになりますね」
「つまりこれは説明書のようなものです」
……。つまり? 俺が? 勝手に? 勘違い? してたということ?
うわぁ! 恥ずかしい!!!
「正式ではないにしろ「こういう話があった」としておく方が家として
「え? なら勘違い? 」
「あれれぇ? 何を勘違いしてたのかなぁ? 」
うぐっ! 痛い、胸が痛い。
ケイロンがやけにニヤニヤしてこっちを見てくる。
いたずらっ子の目線だ。
「ま、考えておいてよ」
「リンは賛成なのですよ」
「正式な書類で内にしろ名前を書いて置くことを
そう言い残し彼女達はこの部屋を
え、それはどういう意味で……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます