第四十四話 Eランク昇格への道 三 パン屋さんのお手伝い 二
パン屋『フラン』の開店時間は他の店よりも早い。
それは他の店との差別化を
夕方からはムギを
焼き終わった俺達は受付の手伝いをすることとなった。
「どんなお客さんがくるのですか? 」
「色々よ、色々。なんて言ったらいいのかしら。まぁお客さんが来たらわかるわ」
ケイロンが興味深くお客さんについて聞くと、答えずらそうにフラベールさんが言う。
多分ケイロンはパンがどのような
しかし来たらわかるとのことなので、まぁじっくり待とう。
恐らく特に注意なくそう言うのだから
開店準備やこれからの役割の説明が終わったら俺達は
店の前に行き『開店中』の
そして開店。
カランカラン。
開店間もなく扉に付けた
それと同時に最初のお客さんが入って来た。
開店と同時にまずやってきたのは……メイド服を着た女性だった。
お、おう……。
ハイレベルだぜ。
「「「いらっしゃいませ」」」
「おはようございます。フラベ……」
いきなりの出来事だが俺達はつつがなく対応。
しかしメイドさんはなにやら固まってしまった。
「あら、アイナちゃんじゃない。いらっしゃい」
「……こほん。いつもお世話になっております」
「今日は何にするの? 」
「そうですね……」
そう言いパンをそれぞれ腕に
それを受付まで持ってきてお
緊張しながらも
どうしたのだろう?
メイドさんの
ケイロンはケイロンで顔を
「フ、フラベールさん。かの……彼は一体? 」
「ああ~アンデリック君とケイロン君ね。今日冒険者ギルドから助っ人で来てくれたのよ」
「そ、そうですか……。ハハハ……では私はこれで」
そう言いメイドさんは
「
「驚きましたよ。一番最初がメイドさんなんて」
「
「心臓に悪いですよ、先に言ってください」
「ほほほ、少し驚かそうと思ってね」
「いや、何か失礼があったら
「あら本当。でもこれからが勝負よ。いっぱい来るんだから、さぁ起きてケイロン君」
フラベールさんのその一言でケイロンの硬直が解けた。
少し動きがぎこちないが、少しずつ元に戻っていった。
そしてここから本当に忙しくなったのである。
★
午前の部は本当に
メイドさんを
宿を経営している人を始め、
今俺達は休憩時間と
「このサンドイッチ
「そう言ってもらえると作った
フラベールさんは少しの間受付を離れた。
その時に何か作業をしていたと思ったが俺達の為にサンドイッチを作ってくれていたようだ。
ありがたい。
「それにしてもケイロン君はすごい人気だったわね。
「え、えぇ……。まぁ」
マダム達の話になり
前の戦場を思い出したのだろう。
少し目が
「前の依頼の時に人気者になりまして」
「デ、デリク?! また僕を売るつもりなの?! 」
「売るなんて人聞きの悪い。
もう、とポコポコ叩いてくるが気持ちいいくらいの攻撃力だ。
ちょっとした
「二人な仲良しね。仲良しはいい事よ」
「え、悪くないですね」
「そこは「めっちゃいい」とか言ってよぉ」
「フラベールさん相手に、は、恥ずかしいじゃないかっ! 」
「僕が大変な目にあったんだ。
フラベールさんの目が
だが今はその
助けてくれ……。
「さぁお昼はこれでおしまい。お昼の仕事にしましょう! 」
「「はい!!! 」」
★
「あ、お兄さん達だ! 」
「フ、フェナちゃん?! 」
『私もいるわよ!!! 』
「ト、トッキー?! 」
「「「え??? 」」」
午後の部、お客さんを
フェナはいい。フェナはいいんだ。問題はトッキーだ。
二人に「後から説明する」と言い、トッキーを店の
「どういうことだトッキー」
『どういうことも何も私は精霊なんだからどこにいても
「確かにそうだが、なんでフェナについてきてんだ? 」
『それは……』
「それは??? 」
『面白そうだから!!! 』
ダメなやつだ、これ。
この精霊の行動に頭を
それに面白そうってどういうことだ? 精霊ならではの面白さという物があったりするのか?
「まぁ、アンデリックの
九割面白がってんじゃないか……。
今は他のお客さんがいるのに加えてフェナとケイロン、そしてフラベールさんがいる。
変な行動をとれば依頼失敗に
「視える人を確認ってどういうことだ?」
『昔はそれなりにいたのよ? 視える人』
「へぇ、それは面白い事を聞いた。なら昔の方が精霊信仰が
『いや? 全然。見る限りだと、今の方が多いんじゃない? 』
「どういうことだ、わかりやすく説明してくれ」
「説明も何も精霊は気まぐれだし、私のような役職をもたな……
……それは君達のせいということですな。
しかし話を聞く
視える人が少ないのなら、外でトッキーと話すのはやめておこう。
変な目で見られる。
『あっちは用事が
「お、おう……」
じゃぁ! と手をあげてフェナと一緒に出ていくトッキー。
姿が太陽の光を
自由だな、あいつ。
フェナ達が出ていった後、聞きたそうな顔をしていたがそれよりもお客さんだ。
仕事が終わったら説明するということで納得してもらいその場を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます