第百六十話 王都のドタバタな日常 六
自分の部屋が欲しいと言い出した精霊達。
不法侵入し、
だが太陽の光を
分かるが……一応聞いておこう。
「理由を聞こうか」
寝室で
彼女達は
『あの変態が感知できない部屋が欲しいのよ! 』
「それは無理だろ。エルベルの精霊感知は異常だ。部屋を用意してもすぐに感知されるのがおちだ」
『それでも欲しい! 』
『そうよ! それに自分だけの部屋って少し
確かにそれは分かる。村を出るまでは一人だけの部屋というものに
今も実は
『な、何よ、その眼は! 』
『ダメだよ、ひーちゃん。暴れたら。最初の作戦がダメになった所で私達の
「なるほど、
『『『うぐっ! 』』』
「しかし……なんだったんだ? あれ? 」
『……前の
火の小精霊をクルクルと
一体何十年、いや何百年前の話だよ。それ。
『あの後の奥さんのお願い事、よく通ってたよね』
『うん、うん。行けると思ったのにな~』
『まだよ! チャンスは残されてるわ! 』
部屋を与えるか、か。
客室を使えばどうにかなるんだろうが、万が一にでも大量のお客さんが来た場合が困る。
それに従業員に
ならば彼女達に与える部屋は無い方が良い。
見えないだろうが、誰かと一緒にいる状態というのは精霊達が言っているのとは違うのだろう。
『あのエルフ、
『
『ゴーストよりも恐怖を感じたわ! 』
エルベルは、俺達がいない
これは
ならば精霊達を違う場所へ一か所に集めて様子を見る方がいいのか?
『一精霊一部屋を
「よーし、部屋を与えようと思ったがやめた」
『『『そ、そんな! 』』』
『ひーちゃん、謝って! 』
『今ならまだ希望はあるわ! 』
『もらえるかもしれなかったのに! ひーちゃん、謝って! いっぱい、いっぱい、謝って! 』
『わ、私が悪いの?! だって
『もらえないくらいなら一か所でももらえた方が良いに決まってるわよ! 』
『そうよ、つっちーの言う通りよ』
『『そうだ、そうだ! 』』』
欲を出した火の精霊に全員が
ひーちゃんは泣き出しそうだ。
少し火が
ちょ、やめろ! それは
「わ、わかった。わかったから泣くな、ひーちゃん」
『いいの? 一精霊一部屋もらえるの? 』
「……一部屋だけだ。それ以上は無理だ。他の
『分かったわよ。我慢するわ』
『ひーちゃん、何上から目線なの?! 』
『ありがとうございました! ほら
『『『ありがとうございました!!! 』』』
そう言いながら彼女達は部屋をすり抜けていった。
その後『後からでも部屋を増やしてもらえるかもしれないわ』『今は
ここはアクアディア子爵家ではない事を忘れてないだろうか?
★
寝室で一休憩? した後
ケイロンとセレスの
「こっちは、こうだね」
「お、ありがとう」
この手の仕事をあまりしたことのない俺は
書類の作成はバジルの町の町
と、言うかあれ一回きりだ。
「なぁ、やっぱり無理があったんじゃないか? 」
「そんなことは無いよ」
「ええ、陛下より認められているのですから問題ありません」」
二人はそう言うが村人から冒険者、そして騎士爵からの子爵と言う不思議な流れを
「しかし十二で貴族家当主は……。普通は十五からじゃないのか? 」
「あれは
「地方、それもかなり小さな貴族家で
「だから大丈夫」
「あっ」
「どうした? 」
書類を渡された時に手が触れただけなのだがどうしたのだろうか。
少し目が
しかし……思ったよりも
「アンデリック、書類を」
「ああ、悪い」
少し感触を思い出しているとセレスに注意されてしまった。
俺は書類に顔を向け、羽ペンをとる。
「……これは、何だろう? 」
「どれです? 」
そう言いながら青く長い髪が邪魔にならないように手で分けながら俺の書類に顔ごと近づけた。
俺の顔の隣に彼女の顔が超至近距離にある。
近い、近い!
あ、でもなんかいい匂いがする。
「——となります。って聞いてます? 」
「え? あ、あぁ」
「これは聞いてませんね。もう一回説明しますのでよく聞いていてください」
「助かるよ」
このようなやり取りを何回も
そして
「なんとももどかしいですね」
「あ、あの三人はいつもこのような事を? 」
「バジルの町を出てからになりますね」
「なるほど。殿下、頑張ってください! 」
「私も応援しますよ、黒タイツ殿」
「え? 貴方の立場なら殿下を応援するのはよろしくないのでは? 」
「いえいえ、あの空間にリン王女殿下が加わると更に面白い事に……ふふふ」
「へ、変態です。その物凄くにやけた顔、変態です! 」
「全身黒タイツ殿には言われたくないですが……」
「うぐっ! 」
そこには誰もいないように見える。
しかし二人、確かに
ここは三階だが。
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