第二百九十九話 さぁ、自白させよう 二
「おやおや、珍しいお客さんだ」
「ゼノス殿。知っているとは思うが」
「分かっているとも、分かっているとも」
パムの隣には
彼の
「まずは自己紹介を。私はこの領地で情報官をしている一人でゼノスと
「ご
そう言い出された手を
「セグ子爵閣下にはお聞きしたいことが山ほどあるのですが時間は
「
そう言いエリシャが少し前にでた。
するとゼノスが少し体を硬直させる。
「か、かなり高位の魔族の方とお見受けしますが……。あ、貴方が行うので? 」
「うむ」
左様ですか、と言ったゼノスにはどこか納得したような表情が浮かんだ。
「もしかして魔族って闇属性魔法に
「ええ。と言っても魔族でも一部ですが、他の種族よりかは、と言ったところでしょうか」
なるほどな。
もしかしたら闇の精霊であるミルがエリシャについているのもそう言ったことが関係しているのかもしれない。
「では、始めよう」
「
「ぬ。光属性を使えるとは」
「はは。これでも職業
ゼノスが
苦笑いしているゼノスを見る限り魔族はあまり光属性魔法は得意ではないようだ。
実際にエリシャが光属性魔法を使っている所を見たことないし、恐らくそうなのだろう。
少しづつ彼らが動き――痛みに苦しみだした。
「ぐぉぉ! 」
「いてぇぇぇぇぇぇ!!! 」
「あ、痛み止めのような魔法をかけてなかった」
「そのようなもの罪人に必要ありません」
「だが……。この状態で聞けるのか? 」
「大丈夫じゃ。
「なにその恐ろしい魔法」
「恐ろしいとは何じゃ。一時的にでも痛みを忘れるのじゃ。
「じ、
俺達の言葉に一早く反応したのは比較的けがを追っていない彼らの上位者だった。
俺達の方にキリッと顔を向け、言う。
「どんな
「いや、もうすでに「何かしてますよ」と
俺の鋭い一撃を受けて固まった。
やってしまった、という顔をしている。
この場合「あそこにいただけだ」等と、答えるのが正解に近い気がするんだが。
最初から
「くっ! ならば一層のこと殺せ! 」
「そんな
「うむ。その通りじゃ」
これじゃどっちが犯罪者かわからないが、大事な情報源。
しかも痛みで悲鳴を上げていない特典付き。
完全悪役のゼノスとエリシャの瞳がギラリとひかり犯罪人を見つめていた。
そして……。
「では始めるかの。我が問いに答えよ。
黒い魔法陣が奴を
★
「あー
「あれは
「やった
俺達は地下の上の休憩室のようなところまで上がり、休んでいた。
俺達とゼノスやパムがいる中、語られた言葉は
まず
次に訓練と
そしてある組織の指示により俺達の馬車を襲うように指示された事が明らかになった。
「よく、抑えたな」
「……うん」
震えるケイロンの手に軽く手を添える。
少しは治まったようだ。
責任感の強いケイロンのことだ。きっと
「私共はすぐさま伯爵閣下に連絡をいたしますのでこれにて」
そう言いパムは出て行った。
残された俺達だがどこかやるせない気持ちでいっぱいだった。
では防げたのか、と言われれば防げなかっただろう。
「気に
そう言い軽く
少々やるせなさを感じながら俺は体の中の空気を入れ替えるために外に出た。
まだあまり時間は立っておらず昼過ぎのようだ。
日は高い。
「パパ? 」
「お、レイもいたのか」
「うん」
「悪いけど
「うん」
ニカっと笑い上を向くレイを持ち上げ剣に戻す。
ここはドラグ伯爵領。
少し
人型を取れる剣なんて知られたらそれこそ大騒ぎになる。
レイを狙う者も出てくるかもしれない。気を付けなければ。
「おい。あそこにいるのはさっき入ってたケイロン様の
「はは。ケイロン様も物好きだ」
前を向くとそこには騎士風の兵士が数名いた。
ああ、ここに入る時にいたガラの悪そうな奴らか。
「あん? なんだ、てめぇ。その顔は」
「
ゲハハハハ、と
が、あのエカテーほどではないな。
「……。急に人を馬鹿にしたような顔をしやがって」
「やっちまうか? 」
「だがそれはまずくねぇか? 」
「大丈夫だって。訓練って言ってりゃ」
彼らにはどうも俺は貴族家当主には見えないらしい。
いや俺が俺を見ても多分見えないだろうが。
「おい。こっち来いよ。しごいてやる」
「え……。俺そっちの気はないのですが」
「バッ! 馬鹿!!! ちげぇ! 」
「ぶっ殺してやる」
「はは、お前馬鹿にされてやんの」
「こいつやっぱり
「俺も少しイラついていたので……。
俺は彼らについて行き訓練場へ向かった。
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