第六十四話 スミナの奮闘 一 スミナとドルゴ
熱気を
「何を造ろうか」
彼女はこのアクセサリーを見ながらじっくりと考えていた。
なんだかんだで彼女は職人。何を作るにしても手は抜かない。
「一番やりやすいのは……やっぱ大きめのペンダント型だよな」
独り
熱さのせいだろうか、少し
それを見て「一回入れ
ついでと言わんばかりに扉の方へ行き扉も開けた。
すると
「そういやぁ本格的に空気入れ
「少なくとも
机に戻ろうと移動していたら、扉の方向から
それに驚き「うぉ! 」と声を上げ、
が、その正体に気が付き剣を降ろす。
「なんだ父ちゃんか」
「なんだはないだろ、なんだは」
「で、どうしてここにいんだよ。店の方はどうした? 」
「今日は誰も来ねぇよ。今月の常連はもう終わってる」
「分かんねぇぞ。新規が来ても」
「……後で戻るか」
はぁと小さく
ドルゴは何やら
「今日はやんねぇのか? 」
「……一週間くらいやめとくことにした」
「ほう、それはどういった風の
「父ちゃん、
「そう言うな」
ははは、と二人の笑い声が聞こえる。
ドルゴはこうしてきちんと話したのはいつ以来だろうかと振り返っていた。
そうだ。母ちゃんが死んでからだな、こうして笑うのは。
そう思い最後の言葉を思い返す。
『スミナを不幸にしたらクレア―テ様に
約束を守れているのか不安になり少し顔を
ったく、出てくるなら出てこい。そんでまた俺達を
ドルゴはスミナと一緒になって怒られていた過去を思い出し、少し
本気で笑うことがなくなったスミナ。
鉄を打つことばっかりになってしまったスミナ。
自分の好きなことをさせてあげれなくなった自分。
本来ならまだ自由にさせてやりたい
泣く泣く二つの真ん中をとった
しかしそれはこのバジルの町では
そしてアンデリック達との出会いは複雑な気分だった。
本当は両手を上げて送りたいが危険に
スミナを送り出すことが彼女にとっていい事なのはわかっているのだが心が
頭じゃわかっちゃいるんだが、と
「そのペンダント」
「あぁこれか。母ちゃんと作ったやつだな」
「……
「そんなこたぁねぇよ」
「そうか。だが……」
「あぁもう
いやだいやだ、と手を
「で、本当にどうしてここに来たんだ? 」
「いやぁ……」
「おめぇが俺に負けて
「なんだ、勝者が
「ちげぇよ。様子を見に来ただけだ。ま、落ち込んでなさそうで何よりだ」
「あったぼーよ! こちとら将来のパーティーメンバーから
「ん? 奴らは何か言ったのか? 」
ドルゴは職人と言えど娘を心配する一人の親。
男性であるアンデリックに何を言われたのか気になるのも仕方ない。
変なこと
「あぁ、俺をパーティーに入れた後のことも考えてだろうけどよ。一度
「……」
今までとは違う彼女に
「確かに言う通りだ。俺は鉄の事ばっかだった。だがこれからはそれだけじゃいけねぇ。
「それでアクセサリーを? 」
「ああ! 何を作ろうか考えてたところだ」
スミナがニコッと笑った。
ドルゴはアンデリック達が少なくとも娘の心配をしてくれるような人でよかったと安心する。
なんだ。わかってんじゃねぇか。なら
安心し、冒険者と聞いて思い出したことが。
そういえば……。
「何にやけてんだ。気持ちわりぃ」
「気持ちわりぃとは何だ、気持ちわりぃとは! まぁいい、おりゃぁ少しこれから
「お、おい、ちょっと待て、父ちゃん! いきなり
「
「こら、逃げるなー!!! 」と言うスミナの声を
★
宿屋『銀狼』前。
「あれ? ドワーフ族? 」
「ん? 誰だ、
「何一人でごちゃごちゃ言ってるの! 私は
「あぁ……客、といえば客だな。ガルムはいるか? 」
「パパの知り合いなのね! 中に入って! 今呼んでくる!!! 」
そう言い家、のように見える銀狼に狼獣人の女の子——フェナが入っていった。
フェナに続きドルゴも入っていく。
「パパ! ドワーフのお客さんよ!!! 」
「ん? お客さん? ちょっと待ってな」
ガルムの声が
いかん。
「お待ちどう。本日のご宿泊……で……」
「おうおうおう、
「今にも怒ってます」と言う表情をしたドルゴの顔と声に声が
昔武器の
「で、俺に何かいうことがあるんじゃないか? 」
「ひ、
「この町に引っ
「ガルム、娘ってのは分かんねぇもんだな」
「そうですかい? まだかわいい
「そう言ってられんのも今の
興奮も収まった
普段ならこのような事はないのだが大声が聞いたフェルーナが飛び出してきて
ドワーフ族はお酒が大好きである。ドルゴもその例に
もし客が来た時の
「ドルゴさんの娘さんは「スミナだ」、そうスミナちゃんは大変なので? 」
「いんや。元気だが、仕事
「だが? 」
そう言うと少し顔を
「『最高の武器』を
「それは
「ま、どうにかなるだろう」
少し顔を
ガルムは顔を赤らめているがドルゴにそのような様子はない。
「じゃぁな。生きてんなら連絡くらいしろ」
「はは、ドルゴさんにはかなわないですね」
そう言いドルゴは上機嫌で自分の店に帰って行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます