第六十三話 吸血鬼族とヴァンパイアそして訓練の日々
翌日北へ南へ
「昨日は
「あんまり手伝えなくてごめんね」
「いやいや、いいよ。それよりもエルベルが
「オレを何だと思ってるんだ?! 森でも血抜きはしてたぞ。あんな大量は初めてだったが」
円形の机を
俺が切り出すと、ケイロンがあやまりエルベルがつっこむ。
ケイロンは、仕方ない。前からこのタイプが苦手なのは知ってるからな。
「結局何種類あったっけ? 」
「十は
「俺がやったとは言えあの
「
思い出したのかケイロンが
エルベルは何も気にしていないかのように元気を振りまいていた。
「後処理はウォーカー男爵の所でやるんだっけ? 」
「確か
「なんだそれは。気になるな! 」
「企業秘密なんだって。だから僕にもわからないよ、エルベル」
昨日の会話を思い出しながら話す。
ケイロンが何か知っているかと思ったが企業秘密ならわからないのは仕方ない。
「吸血鬼族的には『血』は『調味料』って言ってたけどどういうこと? 」
我が
「僕は吸血鬼族じゃないから
「料理に入れるのか?! 」
「そうみたいだよ、エルベル。で、入れる動物の種類によって
「……
「まぁ『調味料』、と考えると良いよ」
「人の血は飲まないのか? 」
「それはヴァンパイアだね」
「吸血鬼族とヴァンパイアは違うのか」
「
「わ、わかった!!! 」
いつも
成長してくれてお父さんは
「で、実際どのくらい違うんだ? 俺はヴァンパイアを見たことないから
「そうだね。吸血鬼族は日中弱体化するけど
「夜見つけたら日中歩けるか聞いてみたらいいってことか」
「そういうこと」
「他は? 」
「そうだね……
ケイロンも水を口に付けそう言った。
へぇ、かなり違うんだな。
ケイロンの
この町に吸血鬼族の貴族がいるということは何かしら依頼がくるかもしれないということだ。知っておいて
「あ、
「
「うん。吸血鬼族も人族のように外での階級に加えて一族の中でも階級があるんだ。昨日のウォーカー男爵は高位吸血鬼族と呼ばれる階級なんだけどその上に最高位と真祖と言う階級があるらしいよ」
「じゃぁウォーカー男爵は一族の中でもかなり高い身分の人? 」
「聞いた話によると、そうだね」
「加えて人族の中でも
「ははは、彼らは長命で力が強いからね。日中の弱体化を受けない高位以上の吸血鬼族は人族の国でも
「なるほどな」
昨日のウォーカー男爵が倒して運んできた動物の数を思い出し
確かにあれだけの力があれば可能なんだろうな。
「なら
「国を
「……『すごい』の
「確かにそうだけど、
「え? いないのか! 珍しいなら会ってみたい!!! 」
「多分エルベルみたいのが多いから出てこないんじゃないのか? 」
「オレのせいか?! 」
「いやいやそうじゃない。例えだ例え」
会ってみたいと言うエルベルを
入ってくる光の
もうそろそろ、か。
「じゃ、午後の部の仕事に行きましょうか」
「そうだね。FとEランクの仕事はいつも
「行こう!!! 」
こうして今日もまた依頼に
★
ある日の
この日は午前中だけ仕事を受け、午後をまるっきり使って訓練だ。
「オラオラオラ!!! どうした! 受けてばっかか!!! 」
「くっ! 」
ガルムさんが目にもとまらぬ剣撃を
前半の魔力操作の訓練を終え、今はガルムさんとの戦闘訓練中だ。
フェナが『有名な』と言っていたのが良くわかる。
先読みを発動しているのに剣筋と動きが追いきれない!!!
が……。
「やられっぱなしじゃないですよっと!!! 」
受けた一瞬、木剣をずらし逆に
ピリピリと
するとそこに
「ほう……。さっきのを避けるか。そこだけ
「はぁはぁはぁ……いえ、何か
「そりゃぁ危機感知だ。文字通り危機を肌に知らせてくれる」
「はぁはぁ……はぁー。よかった」
『なら、次の段階に行ってもいいよなぁ!!! 』
ガルムさんから今までを
後ろに
「ギャァァァァァァァ!!! 」
結局の所、今月の訓練により魔力操作が更に上達し魔力感知の
こうしてズタボロになりながらもスミナとの約束である一週間が近づこうとしている。
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