第四十九話 依頼を受ける日々 一 猪狩り
俺達は木々を分けながら山を進んでいる。
ここは北の山近くの
「この
「ああ、ケイロンの情報通りならこの辺だ」
「だけど
「これは仕方ない。それだけいるってことだ」
多くの巨大な
「これじゃどこにいるのか分からないね」
「いや、そうでもないぞ」
「どういうこと? 」
「
「どんな
「え? こんなものじゃないか? 」
「少なくとも僕にはわからないね」
目的の動物——
今はFランク依頼の【
以前はいつも
東の山とは違いこちらは
「デリク、大丈夫? 」
「あ、あぁ……それに自分が言い出した子だしな」
ケイロンが俺の方を見て心配そうに聞く。
やはり昨日の悲鳴が気になったのかもしれない。
コキリ、と肩を一回転させ
魔力操作に加え、ガルムさんの脳筋的なトレーニングのおかげで体が痛い。
しかし不思議なことに次の日、体調が悪いということはないから不思議だ。
「ま、特訓の事もあるがそれとは別に慎重にいこう」
「そうだね。ランクが上がったからと言って無理は良くないね」
「それに上がったからと言ってバジルの町にEランクの依頼が多いかと言えばそうでもないし」
「バジルの町はD以上が多いから仕方ないよ」
ギリッ! と木にナイフで傷をつけ、
前を向き臭いを確かめて進む。
「さ、無駄口はここまでだ。来る」
「了解」
俺は言葉と共に
立ち止まっていたらドドドドという音がし、俺達に
「デカ……」
「でもやることは変わらない、っね! 」
俺がその大きさに驚いているとケイロンがすかさず走ってくる
「刺突撃!!! 」
横に着いた、と思えば
ドゴン!!!
ドンッ!!!
ほんの少し首に
「凄い威力だな、ケイロンの武技は」
「そうでもないよ。なんならデリクも
「……
その威力を見て
「それにしてもおかしいな。武技ってこんなに威力あったっけ」
「……それは
「そんなものか? 」
「そう。そんなものだよ」
いやいやいや、と思いながらも笑顔の彼を見ると否定できない。
武技、つまり武術気力活用法技術は
ケイロンの言う通り
だが体力を
「これでよし」
「何か前よりも
「まぁ使える魔力が増えたからな」
「デリクはデリクで僕の事を言えないねぇ」
じーっとしたから
彼の
流石に身長の三倍程ある
「後はこれを下で待ってる人に渡せばいいんだよね」
「そうそう。ギルドの人が何人か来るはずだから渡して、俺達は次の獲物だな」
★
再度山に
一日に何回も
「ケイロン、大丈夫か? 」
「だ、大丈夫」
しんどいのはしんどいが恐らく今のケイロン程じゃないだろう。
山、とあるがどちらかというと
そこまで
俺に迷惑をかけまいとしている様子が
「三
「僕は大丈夫だから」
「だが、かなり消耗してるぞ? 」
「そんなことないよ」
「この依頼はいつも張り出されてるし、切り上げるか」
「後一体くらいは……」
今日彼は
魔力残量は
よし、戻るか。
「ケイロン、もど――「わぁぁぁぁ! 」「ドン!!! 」」
戻ろう、と言おうとした瞬間体ごと
★
「痛ててて……一体、何が」
「おお、悪い悪い! どうやら
「あ、あ、貴方は何をしてるんですか!!! 」
重みを感じる体の上から声が聞こえる。
頭がくらっとし、
どうやらケイロンが
「一体何が」
「お、すまない。っと」
何やら
俺も頭を振りながら
が、まだぼやけているようだ。目を
「オレの名前は『エルベル』! 『タウの森』のエルベルだ!!! 」
目を
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