第三十三話 スタート
「……ク」
ん~、起こさないでくれ。
今、体がしんどいんだ。
「デ……ク……て」
もう少し待ってくれてもいいだろ……。
依頼の後なんだから。
ん? というか依頼?
依頼はどうなったんだっけ?
「デリク。 起きてよ、デリク。起きないと本当にいたずらしちゃうぞ……」
「うぁぁぁぁぁ! やめろぉぉぉぉ!!! 」
俺は
隣には
周りを見渡すと俺が泊まっている銀狼の部屋だった。
どうやらベットで寝ていたらしい。ふかふかの
「俺は一体……」
「無事だったんだね、デリク!!! 」
ケイロンのテンションに少し
その時肌に着くような
……ふぅ。フェナには見せれない状態だぜ。
全裸だった。
それにしてもこの状態の俺に何をしようとしてたんだ。
「ケ、ケイロン……。何をしようとしてたんだ? いたずらって」
「そ、それは……。いいじゃない! 」
と、顔を
すると
「実はな。ケイロンが兄ちゃんの体を……「わわわわわ!!! 」」
ガルムさんが黒い瞳をこちらに向け
ケイロンはガルムさんの説明を止めに入ったが、止まらない。
「おいおい、そんなに
ケイロンが何をしようとしていたのか伝えようとすると、隣にいたフェルーナさんのアッパーが
「
その言葉と共に気絶したガルムさんはフェルーナさんに引き
バタン!
フェナはその様子に顔を青くし、震えている。
しかし……何をしようとしてたんだ? 本当に。
「なあ、フェナ。何をしようとしたたんだ? 」
「そ、それは……」
何か言おうとすると、
それを感じたのか銀色の
……そ、そんなにヤバい事なのか。
「ま、まぁいいか。実際されなかったんだし」
「そ、そうよ! あまり深く
フェナが震えながらも、言う。
彼女は彼女で下に置いてあった木の
俺とケイロンが残されてしまったわけだが……。
まずは状況を確認しないと。
「な、なぁケイロン。あの後どうなったんだ? 」
「デリクがデビルグリズリーを討伐し依頼は無事終了だよ」
そう
ケイロンが腰を
倒せていたのか。
勝利を
しかしながらケイロンの顔色は
「デリク、体は大丈夫? 」
「ん? 大丈夫……のようだな」
体をくまなく動かし見て確認する。
腕よし、足よし……
「きぃぃぃやぁぁぁぁ」
「うわっ! ちょっ!!! 」
ベットの隣方向から本飛んできた。
ケイロンが飛ばしたもののようだ。
それをキャッチしケイロンの方を向き
「な、何をしている、ケイロン! 怪我が無くても怪我をしてしまうじゃないか! 」
「か、か、か! いや、せめて服を着てからにしてよ!!! 」
「別にいいじゃないか! と、言うよりも服を着たら足の状態が分からないだろうが! 」
だけど、だけど、とか言いながら顔を赤くしぼそぼそと言う。
いや、別にいいじゃないか。男同士なんだし。
「も、もう! 僕は外に出て待ってるからその
そう言いサクサクと
その様子を見ながらも、足や他の部位を調べようとすると一冊の本が俺の
「今さっきの本か。こんな本、持ってたか? え~っと、
【増補版!!!
「……」
パラ……。
「ロッチ、ぼ、僕は……」
パタン。
「
何も、何も見ていない。
体をくまなく……くまなく確認した後、ケイロンを呼んだ。
本を机の上において。
★
俺は本の事には
「まぁ何というか……今は混乱状態だね」
「依頼は達成したのにか? 」
「うん。まぁ依頼もそうだけど……他の事もあって……」
物凄い言いにくいようだ。
確かにただのゴブリン討伐のはずがデビルグリズリーが出てくるんだ。
「デビルグリズリー、だもんな」
「それに加えあのゴブリンの数。異常だよ」
「今はどうなっているんだ? 」
「商業ギルドと冒険者ギルド、そして行政で話し合っている所らしいよ」
「なんか
「まぁ今回はモンスターだけの話じゃないから、ね」
そう言いながらケイロンは
あれからどのくらい
「なぁ、
「三日だよ、三日。 もう起きないかと思ったよ……」
「そ、そんなに寝てたんだ。そりゃ悪かった」
「あの後運ぶのも大変だったんだから……」
なんとも申し訳ない。
二人で話しているとコンコンコンとノックの音がした。
「お兄さん達! お昼ご飯ができたわよ! さぁ食べなさい! ゲフッ!!! 」
……
お昼という言葉に反応してか「ぐぅ~」という音がお腹からした。
「ハハハ、三日も寝てたらそうなるよね」
「腹減った……食べに、行くか!!! 」
服を着た状態で立ち上がり、昼食を取りに一階へ行った。
笑いながらも俺達はこの
★
「何で……何でこうなったのよ……なんで……」
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