メイドは聞いた!
「先ほどのお話に続くのですがお嬢様、例の男の子にデートの誘いを受けていましたよ? 」
「まぁそれは! 」
「それを先に言ってください! お嬢様の勝率が上がりました」
『デート』という言葉に食いつき、目を
この
出会いが少ない
「どこに行くかおっしゃってましたか? 」
「いえ「遊びに連れて行ってやる」とだけ」
「あらまぁ
「危険な一夜から始まるのですね。お嬢様の本格的な恋が」
仕事の手を止め
もしこの場にメイド長がいればすかさず
しかしメイド長は今日本家の人と
まだ彼女達の
「もし、
「何を
「そうです。私達がどこか遊びに行けるはずはないでしょう」
「もしもですよ。もしも。この
「え、アイナ。そっちの
「貴方……。結婚相手がいないからと言って……グスン」
「ち・が・い・ま・す!!! 遊びに行きたいですね、と言う話ですよ。
彼女達は下級貴族の三女や四女である。
サラとルナはドラグ伯爵家のとある使用人との
しかし
よって『もしも』の話なのである。
「……まぁアイナの
「いいですね、アクアディア。確か色々な水が出るのでしたわよね? 」
「そうですね。確か温泉と呼ばれていたような」
「疲労回復に
サラが一人アクアディアに
「私は職人の町『トレイン』でしょうか」
「トレインには何があるので? 職人さんしかいないイメージなのですが」
「あそこには
そう
その
「私は……」
「「いえ、アイナはいいです」」
「なんですか、それ! 私の話を聞いてくださってもいいじゃないですか」
「はいはい、どうぞ」
「
「え、今半分って言いましたよね? もう半分は?! 」
二人の
だがサラとルナは「早く話してください」と言い、相手にしない。
自分
「コホン。私はやはり王都『カルボ』です! 」
「「やっぱり」」
「やっぱりとは何ですか、やっぱりとは! 」
サラとルナの予想通りの答えが返ってきて
それに対してアイナの
「来月は王子
「行っても会えるわけではないですし」
「親が爵位を持っているといっても
「
「なら何だというのですか? 」
「いつもの貴方なら王子
二人のジト目を受けながらもチチチと右手の人差し指を横に振り「違う」と
「どうやら今年はお誕生日会に合わせて音楽
「「音楽
「そうです。だから一回でいいから聞いてみたい、と思いまして」
「「結局いつもと同じ」」
「同じじゃありません!!! 」
★
「昼の話じゃないですけどお嬢様方はどちらへ行かれると思いますか? 」
「
「
夕方食事を終えた彼女達は
今日は三人とも
なのでこうして集まり、話している。
夜間集まるのはあまりよろしくないので
「そうですね……。冒険者ということも
「確かにそうですが……ロマンがないですね。やはり古代神殿が確認されているシリル公爵領では? 古代神殿の
サラがいい、次いでルナが
だがそれに
「何
「魔族の方達が
「ええ。しかし危険が多いと聞いていますが」
「大丈夫でしょう。きっと
アイナがガタっと音を立て、椅子を倒しながら立ち上がり
「しかしお嬢様を
「私もそう思います」
「……『もしも』の話をしているのですよ。それにこれは全部、いわば私達の
「「それがお嬢様ではなくアイナだったら
「泣きますわよ? 」
三人とも笑いながら「もしも」の話をしていると「ドン!!! 」と言う音が
「貴方達! 自分達の部屋に戻りなさい!!! 」
「「はぁい」」
声でやっと
メイド長『モイラ』に怒られ自分達の部屋へ戻っていく。
翌日彼女の怒りによりアイナ達の仕事量が増えたのは言うまでもない。
★
ここは町役場の二階、町長アンドリュー・バジルの
奥の黒い机には疲れた顔をしたこの部屋の
「
そう言われた彼の部下達はソファーに座る。
だが彼らの顔色も悪い。
「では報告してくれ」
少し困った顔をしながら文官と武官は顔を合わせていた。
だが聞くしかないのだ。報告を。
でなければ行動
「……生存者一名。他行方不明となります」
「私が現場に
それを聞き、痛い頭を我慢しながら動かす。
「その生存者から何があったのか聞き出すことは? 」
「できませんでした」
「ただうわごとのように『化け物が』と
アンドリューの
「分かった。本件は我々の手に
「「了解しました! 」」
「
「了解しました! 」
「では、ご
アンドリューが
「……この町に化け物が
今日も帰れない
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