第七話 宿屋『銀狼』 二
俺とケイロンは現れた狼獣人の女の子に驚き、口を開いたまま固まった。
「ふふ~ん! このフェナの
銀色の
彼女を見下ろす
「こらっ! フェナ! お客様になんてことを! 申し訳ありません、
そう言い、頭を下げる。
しかし彼女の金色の
どうやらフェルーナさんも興奮しているようだ。
だが流石
フェナ呼ばれた十歳くらいの
「い、いえ。大丈夫ですよ。よろしくお願いします」
「僕も大丈夫です、フェルーナさん。これから一か月ほどお世話になります」
「ありがとうございます!」
一か月、という長期間滞在を聞いてか物凄い勢いで顔を上げ笑顔でそういった。
彼女が顔を上げると
「嬉しいわ! 感謝するわよ! 」
ゴッ!!!
もう一撃フェルーナさんからの一撃が下った。
どうやらフェナのこの
「あ~すまねぇな。フェナは少し……甘やかして育ててしまったのか、話し方が……聞いての通りになってんだ」
「貴方、人の事を言えるんですか? 」
「……さて、昼食の準備を……」
「作るの私ですけどね」
ガルムさんも
頭を机に
「申し訳ありません、
フェルーナさんが
「
「お昼食べていなかったので……」
ケイロンが言い終わる前に「ぐぅ~」とまた音がした。
顔を赤らめ、
「かしこまりました。では作ってまいりますので少々お待ちください」
そう言いフェルーナさんは
「……相変わらずフェルーナは
「昼飯出来るまで時間かかると思うが……どうする? 先に部屋に行くか? それとも一階で待ってるか? 」
俺とケイロンは顔を見合わせ、考える。
ケイロンは……どうだろ?
彼の方を見ると、特に
せいぜい腰の
と、いうかこの
「ぼ、僕達は先に
そう言い俺の方を見る。
なるほど、
確かに、重い。
非常に、重い。
早く降ろすに
★
あわわわわ!!!
そう思い、僕はデリクを見た。
何か「ありがとよ! 」みたいな顔をしているけど、何か言ってよ!!!
だめだ……。何ともならない。
部屋が一緒じゃなかったらそう気にする必要もなかったんだけど……。
どうにかして
あ、でもどうしよう。
隠していたことが原因でパーティーを
流石に一人で冒険者をするには無理がある、よね。
お金はともかく……いや、大事だけど。それよりも依頼、だよね。
全部戦闘以外だったらいいんだけど……。
万が一! 万が一、緊急
少し体が震えたかと思うと同時にガルムが銀色の鍵を渡してきた。
それを受け取り、不安なままアンデリックと共にケイロンは部屋へと向かうのであった。
★
「……これは……
「ま、まぁいいんじゃないか、な? 普通の
ケイロンがそう言い、部屋の様子を見る。
この宿の一泊の価格は非常に
銅貨一枚で
しかも三食付きで、この部屋である。
広さは通常の
壁は
とてもじゃないが銅貨三枚で収まる宿ではない。
ケイロンは何、歩き回ってるんだ?
彼の行動を見て頭を
何かチャックをしているようだ。
机の裏や下、ベットの周りに頭を
「ん~特にないね」
「何してたんだ? 」
「
「ガルムさんが変なことするとは思わないけどな~」
「いい人っぽいけど、悪人は悪人のような顔をしているわけじゃないからね。普通の人に
「そんなもんかな~」
「
ケイロンに注意されてしまった。
ま、まぁ
健康的な白い顔を少しほころばせこっちを見た。
「調べて何もないんなら、それでいいじゃないか」
「確かにそうなんだけど……なんか引っかかるんだよね」
短い黒い髪を横に
一体何が引っ
しかし答えが出なかったのだろう、考えるのを
「
「あ、あぁ」
ケイロンの
急激に重くなった背中の袋を部屋の
置くとき気が付いたが、
ないとは言わないが、少なくとも実家の家よりかは
背中が軽くなったので、
腕を伸ばしたり、横に伸びをしたり。
ケイロンはケイロンで自分の剣を日に当たらない所へ置き、腰回りの運動をしていた。
「重かった……」
疲労を、述べる。
二人が
「お食事の用意が出来ました」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます