第百七十八話 まさかの報酬
結局の所あの後俺が
あの部屋——エカの部屋で
その
きちんとお礼を言い今
「心配しましたぞ! 」
「少年、無茶はいけねぇぞ」
「ぶ、無事で何よりです」
涙を浮かべながら
「ごめん、ごめん。まさかあんなことになるとは全く思ってなくて」
「王城から
「止めるの大変だったんだぜ? 」
「レ、レストさん、本気だったので」
「止めてくれてありがとうございます! 」
泣くレストさんに厳しい目線を送る二人。
しかし本当に助かった。
一歩間違えたら
だがそれだけ心配してくれたということで
「無茶はあまりしないでくださいね」
「ありがたきお言葉ぁ! うぉぉぉ! 」
「こりゃ、戻ってくるまでに時間がかかるな」
「ご、ご主人様、
「ああ、そうするよ。ありがとうアリス」
「い、いえ! ではこちらに」
人族のメイド・アリス
「これからどうする? 」
「そうだな、ケイロン。俺は体の調子を戻したいかな」
「
「……ギルドの依頼最優先! 」
「そう言うわけにはいきません」
毎回おなじみ『次何しようか会議』を行っているのだが大きく方針が二つに割れて困った。
俺やエルベルそしてスミナは冒険者業を、ケイロンとセレスそしてリンは
もちろんのことそっちの仕事もやらないといけないことは分かっているので、やらないとは言っていない。
「早めに
「体力を戻すために体を動かすなら
「リンも早めに書類は片付けた方が良いと思います」
「いやいや、
「
「オレも
「早めにやらないと後で
「確かにそうだが……」
「なら
「お金を
「まだまだ大丈夫なはずですわ」
「そうだね。それに体が
そう言いケイロンは俺の方を見た。
完敗だ。ぐうの音も出ない正論だ。
両手を上にあげて降参をする。
「俺の負けだ。
「ええー! 依頼受けたい! 」
「ワガママ言うんじゃねぇ、駄乳エルフ」
「ちびっこドワーフも依頼を受けたいって言ってたじゃないか」
「そりゃそうだがよ。アンにも他の仕事があんだろ」
「……分かった。じゃぁ、お前と行く……」
「おいおい、どういう風の
「ならリンも行くのです」
「リンも来てくれるのか! 」
「はいなのです。巨乳のお姉ちゃん。前衛はいた方が良いと思うので」
「よし、行こう! 今すぐ行こう! 」
「ちょ、引っ張るな! 」
「行くですよぉ」
エルベルがスミナを引っ張り扉の方へ向かう。
それに続くようにリンが向かい、俺とセレスとケイロンが残された。
「じゃぁ行こうか。三階へ」
「……了解」
抵抗
★
「一つワタクシが夢の中で手に入れた情報をお伝えしないといけません」
「どうしたの、ティナ」
「なに
俺とケイロンが
余程緊張しているのだろうか、
そして息を少し大きく吸い込み口を開いた。
「話を聞くところによると
「そうだね。僕もそうだ」
「報酬ね。そう聞くと俺は……戦闘経験になるのか? 」
「ええ、恐らく。しかしワタクシは違いました」
「「え?? 」」
驚き俺達二人はセレスを少し強く見た。
セレスの緊張が強まったのだがそれを気にすることなくケイロンが質問攻めする。
彼女の緊張が高まるのを感じて身を乗り出すケイロンの肩を
そして少し
「ワタクシが
「て、転移魔法の知識?! 」
「それって……結構まずいんじゃ? 」
ケイロンが
「なにがまずいんだ? 」
「本来転移魔法のような知識は国で管理されていますので「知っている」という状態が好ましくありません」
それを聞き
あ~胃が痛い。
「もし使用できるということが分かればセグ家そのものがカルボ王国の軍に
「そこまでする? 」
「やるでしょう。しかし今は「知識がある」という状態で「使える」状態ではありません」
「やっぱり難しいの? 」
ええ、とケイロンの言葉に軽く
「なので使える状態にして情報の
「……使わなかったらいいんじゃないか? 」
「いえいえ、何を言うのです?! せっかくの知識なのです。使わないでどうするのですか! 」
ええ~、ばれたらまずいんなら使わないのが一番だろ。
「いいですか! この魔法は使ってなんぼのものです。ええ、そうですとも。危険性は
バンバン、と机を叩きながら
「コホン。そもそも場所を限定すればそこまで危険な物ではないのです。事前に王家に転移先の登録をして
「……それ
「ケイロン、大丈夫です。まず使えるようにしたら王家に連絡。
どんどんと一人ブツブツと呟きだしたセレスを見て俺とケイロンは顔を見合わせて呆れる。
結局の所、転移魔法を使いたくて仕方がないということのようだ。
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