第百八十四話 エリシャとセレスティナ
俺達は黒いフリフリ服のエリシャと共に冒険者ギルドの訓練場へ来ていた。
俺達の前には攻撃をしてきた冒険者達が武装解除状態で正座している。
エリシャを中心に俺達
そしてその職員達——特に魔族の職員が彼ら冒険者を見る目はかなり冷ややかだ。
それも仕方ない。
魔族の中でも王族と呼ばれる
「コホン。では
一人、高い台に立ってそう言った。
全体に緊張が走る。
エリシャ
「
そう言い終わると台から下りてきて後ろを向いて俺達の背後にたったったっと回ってきた。
その瞬間空気が
ギルドの処罰もそうだが社会的な信用も一気に失っているので赦しても彼らには
「ありがとうございます、殿下。ギルドを代表してお礼申し上げます」
「冒険者ギルド? と国は相互不干渉とのこと。ならば私もその
「ええ、しかしそれはその地に住む者を
ギルマスのロビンソンさんが笑えない
実際問題エリシャは本当の
なので事前にこういったやり取りを決めておきスムーズに事が進むように話し合っておいたのだ。
エリシャ自身も最初から何か処罰を与えるようなことは考えていなかったようなのでなおさらだ。
が、ギルドとして
ロビンソンさんは表情を硬くして犯罪者予備軍の方を向いた。
「君達はギルドの規則に従い処罰される。
今までとは違う
★
「ふ~ん。僕達がいない
「むむむ、ライバルの登場です」
「いや……。はい、すみません」
俺達は
なぜこういうことになったのかと言うとケリーさんとロビンソンさんに頼まれたからだ。
あの後エリシャは冒険者ギルドに登録してFランク冒険者となった。
正直身分証代わりである。
一人でやっていくか、ケリーさん達と働くのかと思いきやケリーさんは俺に押し付けてきた。
何でも「パーティー名の
恐らくギルド職員として招き入れた場合問題がおこるのだろう。
それに一人にしておくには危険すぎる。攻撃される恐れのあるという意味でも、過剰防衛してしまう可能性があるという意味でも。
まぁ確かに『王族』ならばこっちにもいるし身分差になれていると言えば慣れているのだが、納得できない。
そんな彼女は今エルベルと
「
「リンも初めて見たです」
「これはウォーカー男爵に連絡とった方がいいかな? 」
「いや、どうだろ。僕は、どっちでもという感じかな」
「その男爵さんは吸血鬼族なのです? 」
「ああ、確か
「一度彼女がどうしたいか聞いてみたら? 」
ケイロンの
こちらの視線に気が付いたのかぴょっと椅子から下りてきて俺の方へ向かってきた。
横にいるリンを通り
「どうしたのじゃ? 」
「これからどうすんだ? 」
「どうするも……一緒に冒険者? とやらをやるんじゃないのか? 」
「いやぁ知り合いの吸血鬼族がバジルにいるんだが会いに行ってみるか? 」
「ほぉ。それは興味深い」
赤い瞳をギランとさせてこちらを
「
「基本的には貴族街にいるよ。後はお店か、
「
「う~ん。
変わってるな、と一言
「バジルに戻るのか! 」
「ん~リンはどうする? 」
「お兄ちゃんいるところリンがいるのです! 」
「なら後は……セレスか」
「出来ましたわ!!! 」
バン! と
音に驚きビクッとなるがセレスとわかり警戒を解く。
彼女の方を向くと目が血走っている。
こ、こぇ……。
隣にいるエリシャが震えているじゃないか。
振動が
「で、出来たのか? 」
「ええ、知識として教えられましたが基礎理論は現在の魔法理論を応用すればなんとかなりました。四元素魔法に光と闇、そして時間と空間指定をして
話ながらすごい
エリシャの震えが止まらない。
気になって横を見るとガクガクと震えているようだ。
「——であるからにして……あれ? その少女は
「やっと気が付いたのか。エリシャ、彼女は俺のパーティーメンバーの一人だ。
「ぇっ! え、あ……」
俺が
「わら……わ、わ、我は
「
「ひぃ! 」
「魔族の王族! 大精霊に続き歴史にあまり出てこない
「やば……」
「
涙を流しながら手を組み
その
誰かこの混沌とした状況をどうにかしてくれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます